著者 | ミニマリストしぶ |
出版日 | 2022年3月10日 |
難易度 | 易しい |
オススメ度 | ☆ |
ページ数 | 約207ページ |
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本の概要
この本は、ミニマリストとしてYouTubeでも活躍する著者が、なぜ家の中にある無駄な物を手放すことで人生の幸福度が上がるのかを語るという内容です。
著者がミニマリストになるまでの赤裸々な半生を交えながら、ミニマリストになるとなぜ幸せになれるのかという理由が過不足なく語られており、ミニマリストが読むと確実に共感できる一冊です。
ミニマルな生き方の効能
自分は元々オタクだったこともあり、家中にアニメや映画のDVDやらブルーレイ、クリエイターのインタビューが載っている古い雑誌に設定資料集やらグッズ、大量のマンガに小説、ゲームの攻略本、一般書籍、ゲームハードにソフトの山、デジタルガジェットやら、収納にパンパンに詰め込んでもまで溢れるばかりの物に囲まれる暮らしを送ってきました。
しかし、ここ数ヶ月ほどミニマリズムに憧れ、家中のガラクタを捨てる作業に没頭し家中の8割くらいの不要な物を処分。今では身も心もすっかりミニマリストになりました。
キッカケは他人が作った創作物をひたすら消費・消化し続けるという毎日に心底虚しさを覚え、人生の軸を他人ではなく自分中心に戻したいと強く願ったためです。
元々去年から経済的自由を求め投資を始め倹約生活にも馴れていたこともあり、あらゆる物を手放し、物から解放され自由になるというミニマリズムという考え方もすんなり受け入れられ、特に葛藤もなく家中の物を処分するという行動に移れました。
倹約生活とミニマリストは相性が最強です。物を所有すること自体が嫌になるため買い物への欲に強力なブレーキがかかるようになります
そして、家中の思い出が宿る品を処分していく過程でまさに自分が求めていた物やしがらみ過去への執着からの開放感を味わえ、本当にミニマリストになって良かったと切に思えました。
物を増やすより減らしたほうが幸福度が上がるという考え方は100%正しいと実感でき、今でもまだ家の中の物を減らし続けている最中です。
ミニマリスト系の動画や本はそこそこ目を通しましたが、この『手放す練習』という本は、割と自分が物を捨てていく過程で覚えた感覚に近いことが数多く書かれており、読んでいて共感することが多々あります。
ただ、ミニマリストになるためには強烈なキッカケがないと難しく、他のミニマリストの話をどれだけ聞こうと、どれだけ物を捨てると幸福になれるかを説明されたとしても、自分がそうなりたいと強く願わない限り実行に移すことは困難だと思います。
これは過去の自分がそうであり、ミニマリストなんて空っぽの部屋で暮らしている生きていて何が楽しいのか分からない気持ち悪い人たちくらいの認識しかありませんでした。
そのため、自分が自分の人生を強く変えたいと思わない限りミニマリズムの真の魅力に気付くことは難しく、この本を読んだ程度でいきなりミニマリストになるということはまずあり得ないと思いますし、キッカケにすらなる確率は低いと思います。
それでも、毎日の暮らしに何か言語化できないような拭い去れない不安を抱え、長年言いしれぬ消費の虚無感に苦しめられている人にはミニマリストという生き方は救いになる可能性が高いとも思います。
身軽さと美意識の徹底こそミニマリズムの真髄
ミニマリストになって最も良かったと思えることは何かと聞かれたら、多分多くのミニマリストが“身軽さ”と答えると思います。
テレビで災害のニュースを見てもかつての自分ならこのようなことが我が身に降りかかったらどうしようと深刻な気分になったのが、今なら家に物がまったく無いため躊躇なく家を捨ててどこにでも逃げられるため、精神的に楽になれました。
ミニマリストになるとこの住居に縛られない“身軽さ”という感覚がどれほど生きやすさに貢献するのか肌感覚で理解できるため、日々の不安が大幅に減ります。
この『手放す練習』ではこの単純な身軽さに加え、スラック(ロープのたるみのこと、何かあった時のため余裕を常に確保しておくという考え方)についての記述もあり、これは自分にとって盲点でありいいことを学べたなと思います。
よくミニマリズムの本質は自分が本当に好きなことにのみ一点集中し、それ以外の不要なものを全て捨てることであると説明され、自分も最初はその美意識にこそ惹かれました。
しかし、いざミニマリストになってみるとどちらかというと何か急なことが起こっても大丈夫という余裕や余力を常に持っていられる気軽さのほうが心地良く、まさにこのスラック(たるみ)という考え方がしっくりきます。
この身軽さや余裕・余力という土台があってこそ好きなことに全力で集中する際の疑念や不安を断ち切れるため、人生を生きやすくするために最も大切なことはスラック(たるみ)なのではないかとすら思います。
その他も、自分が感覚的に理解していたことを理論的に補強するような内容が多く、ミニマリストが読むと「そうそう、それ!!」とミニマルな生き方の素晴らしさを再認識するキッカケにもなり、読んで損はありません。
おわりに
全体的に自分語り要素だらけですが、結局ミニマリストが何なのかより、なぜ自分はミニマルな生き方に共感したのかという動機と、ミニマリストになると日々の暮らしがどう変わるのかという実体験のほうが遙かに重要で、自分自身の話を避けてミニマリズムを語るのは不可能だと思います。
投資を始めるともっと早くから投資に興味を持てば良かったと後悔するように、ミニマリストになるとなぜもっと早くに物を手放し身軽な状態で生きてこなかったのかと悔しくなります。
少しでも今の生活に違和感があるならミニマリズムが人生を大きく変えるキッカケになると思うので、本を読むでも他人の体験談を聞くでもミニマリストが投稿するYouTube動画を見るでもどんな手段でも一度ミニマリズムについて調べてみるといいと思います。
家中の全ての物を自分のコントロール下に置き、厳選されたお気に入りの物にだけ囲まれ、物に所有される状態から自分が物を所有する適切な状態へと改善し、いつでもどこにでも飛んでいける身軽なフットワークを味わえばもうミニマリスト生活から元の生活には戻れなくなるはずです。
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