著者 | 勝間和代 |
出版日 | 2016年4月27日 |
難易度 | 易しい |
オススメ度 | ☆ |
ページ数 | 約145ページ |
リンク
本の概要
この本は、作家・評論家・YouTuberでもある勝間和代さんが汚部屋を片付けたことで人生が好転した実体験を綴る片付け本です。
理論家の勝間さんの本らしく、ただの片付け・断捨離エッセイではなく、なぜ人は物を溜め込んでしまうのか、なぜ片付けを先延ばしにしてしまうのか、なぜ片付けは人を幸福にするのかが論理的に解説されています。
片付けをこれから始めたい人は予行演習的に、すでに完了した人は自分の辛かった片付けの記憶が蘇り物を溜め込む恐怖を思い出すことで今後の予防策として利用するなど、両方役立つ内容です。
どれだけ自身がずぼらで物を大量に溜め込んでしまったのかを赤裸々に語るエッセイとしても、片付けをすることで幸福度が上がるメカニズムを解説する本としても楽しめる一冊です。
共感多数、片付けエッセイとしての魅力
まず、この本は単純によくある片付けエッセイとして楽しく読めました。
著者の勝間さんはどの本でも自分のだらしなさを隠さずオープンにする人なため、確かにこの部屋でまともな生活を送るのは不可能だろうと思うほどの汚部屋ぶりもそのまま公開しており、部屋が綺麗になっていく喜びを疑似体験できます。
自分が最も共感したのは久しぶりに物置 を開けた時の絶望でした。本の中でも片付けをする際は物置から始めるのは絶対にやめたほうがいい、物置から始めると片付けから逃げたくなるといった記述がありますが、これは激しく同意です。
自分も最近ミニマリストになるため家中を一気に片付けましたが、勝間さんと同じく開かずの物置の片付けをしようと扉を開けた瞬間その事前の予想を凌駕するゴミの量に軽くめまいに襲われ死にたくなったほどです。
古い雑誌の山に、買い集めた漫画・アニメ・ゲームのグッズ群、買った記憶すらない巨大なコルクボードやら額縁 やらといった想定外のゴミ、邪魔なので取り外したままどこかへ消えたと思っていたスライド式の本棚のスライド部分のパーツの残骸やらが山のように積まれており、確かに片付けを物置から始めようとしたら絶対に心が折れると断言できます。
一番謎だったのが、子供の頃に欠かさず読んでいた電撃プレイステーションというゲーム雑誌の付録で付いていた4コマ漫画が段ボール2、3箱分出てきたこと。元のゲーム雑誌のほうはとっくの昔に処分済みなのに、なぜかオマケの4コマ漫画のほうだけ山のように保管されており、これを処分せず物置に放り込んだまま記憶を消去した過去の自分に殺意すら覚えました。
片付けにおいて物置とは計画性のないダメな自分と対峙する場所であり、乗り越えなければならない最大の関門だと思います
このように、読んでいると自分の片付けで辛かった記憶がまざまざと蘇りもう絶対に物を溜め込むのは嫌だという気分になるため、物を溜め込んでいる最中の人も、すでに片付けを終えて若干油断している人も読むと片付けに対して身が引き締まるので読んで損はありません。
勝間式、片付けが人生を劇的に好転させる理由
この本は、片付けを中心としているものの、ミニマリスト・倹約についての本として読むことも可能です。
著者の勝間さんはミニマリストではなく、この本も別段ミニマリズムを志向するものではありませんが、結果としてミニマリズムを扱った本と大差ない内容でした。
勝間さんはどの本でも人間の意志など脆弱でまったく信用できないため大事なのは習慣・環境作りであり、良い習慣と快適な環境を整えることだけが人を幸福にすると何度も繰り返している通り、この本も習慣と環境に関する本なため、他の勝間さんの本と主張が完璧にリンクしています。
この本は、片付けを一過性で終わらせるのではなく、いかに掃除をしなくてもいい習慣・環境を構築するのかという点に絞って解説されており、それはそのまま生活習慣の改善こそが幸福への近道というミニマリストの考え方にも通じるため、ミニマリストが読んでも納得の内容でした。
特に本の中で最も心に響いたのが、
“汚い部屋に住んでいる最大のリスクは自分を信じられなくなること。自己管理が出来ないという事実を常に目の前に見せられ続ける”
という一文でした。
自分が部屋を片付けて最初に感じたのも、やればこれほど部屋を綺麗にできるのだという自信でした。
片付けをすると、どれほど高級な家具や家電に囲まれていたとしても部屋が汚いという目に見えないストレスが生活全てのパフォーマンスを低下させるボトルネックであると気付け、片付けが人生を幸福にするというのは大げさでも何でもなくただの事実なのだと実感できます。
幸せに生きたいなら部屋を綺麗にするのは必須であり、この本は部屋を片付けることがそのまま幸福な毎日への扉であることを教えてくれます。
おわりに
日々の習慣・環境作りこそが何よりも大切と説く勝間さんと片付け本との相性は最高で、ヘタをすると勝間本の中でも上位の読むべき本かもしれません。
下手なミニマリストの本を読むより、習慣作りのプロとも呼べる勝間さんの本を読むほうが得る物が多く、片付け本だけでなくミニマリスト本としてもオススメです。
リンク