小説とは活字を読むものではなく、その文章を生み出した作家の個性を読むものだと思います。そのため、レビュー済みの小説を作者ごとにまとめました。
その人の作家性を把握できる数の著作を読んでいる場合は特徴も併せて書いています。代表作は基本的に自分が実際に読んだ作品のみを記載しています。
おすすめ度
☆☆☆ 超おすすめ
☆☆ かなりおすすめ
☆ おすすめ
あ行
日日日(あきら)
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
鏡の国のアイリス SCP Foundation |
2018年
|
-
|
安曇 潤平(あずみ じゅんぺい)
得意ジャンル
・ホラー小説
代表作
・山の霊異記シリーズ
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
山の霊異記 赤いヤッケの男 |
2008年
|
☆
|
山の霊異記 黒い遭難碑 |
2010年
|
-
|
山の霊異記 幻惑の尾根 |
2013年
|
-
|
天野 純希(あまの すみき)
得意ジャンル
・歴史 時代小説
代表作
・南海の翼 長宗我部元親正伝
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
南海の翼 長宗我部元親正伝 |
2010年
|
☆
|
信長、天が誅する |
2019年
|
-
|
乾 緑郎(いぬい ろくろう)
得意ジャンル
・SF
・歴史 時代小説
・ミステリー
代表作
・完全なる首長竜の日
・海鳥の眠るホテル
・機巧のイヴシリーズ
・ツキノネ
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
機巧のイヴ #1 |
2014年
|
☆☆☆
|
機巧のイヴ -新世界覚醒篇- #2 |
2018年
|
☆
|
機巧のイヴ -帝都浪漫篇- #3 |
2020年
|
☆☆
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
完全なる首長竜の日 |
2011年
|
☆
|
海鳥の眠るホテル |
2012年
|
☆
|
ツキノネ |
2019年
|
☆
|
作家性
乾緑郎小説の特徴は、作品のリアリティを地に足着いた職業描写から構築していくことです。例え架空の世界が舞台だとしても、仕事の細部を綿密に描くことでその場所で生きる人々の息遣いが感じられ、あっという間に体に物語が馴染んでしまいます。
それ以外も、登場人物の自然な長所や短所の設定の仕方や、その人が抱える些細な悩みから壮絶なトラウマまで、等身大の人間の苦悩を描く手腕に長けており、どれほど悪人に見えても普段はひた隠す弱みがポロッとこぼれる瞬間があるなど、人間観察力の鋭さが窺えます。
文体は極めてシンプルで派手さはないものの、作家としての足腰が頑強で、その隙の無い確かな力量が魅力です。
井上 靖(いのうえ やすし)
得意ジャンル
・歴史 時代小説
代表作
・風林火山
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
風林火山 |
1955年
|
-
|
岩井 志麻子(いわい しまこ)
得意ジャンル
・ホラー
代表作
・ぼっけえ、きょうてえ
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
ぼっけえ、きょうてえ |
1999年
|
☆☆
|
雨穴(うけつ)
得意ジャンル
・ホラー
代表作
・変な家
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
変な家 |
2021年
|
☆☆
|
冲方 丁(うぶかた とう)
得意ジャンル
・SF
・歴史 時代小説
代表作
・蒼穹のファフナー(アニメ脚本)
・マルドゥックシリーズ
・天地明察
・光圀伝
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
マルドゥック・ヴェロシティ #1 |
2006年
|
☆
|
マルドゥック・ヴェロシティ #2 |
2006年
|
☆☆
|
マルドゥック・ヴェロシティ #3 |
2006年
|
☆☆
|
マルドゥック・フラグメンツ |
2011年
|
☆
|
マルドゥック・アノニマス #1 |
2016年
|
☆
|
マルドゥック・アノニマス #2 |
2016年
|
☆
|
マルドゥック・アノニマス #3 |
2018年
|
☆
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
微睡(まどろ)みのセフィロト |
2002年
|
-
|
天地明察 |
2009年
|
☆☆☆
|
光圀伝 |
2012年
|
☆☆☆
|
初めての一冊はコレ!
・天地明察
江戸時代の前期を舞台に、まともに機能しなくなった暦法である宣明暦 を改暦するため、変化を嫌う権力と長きに渡って政治的な攻防を繰り広げた渋川春海の人生を力強く描いた伝記小説です。
冲方丁の代表作と言っても過言ではない時代小説で、他のどんな小説にも遅れを取らないほど面白さが突き抜けています。文体がライトノベル調なため時代小説としては読みやすく、自分の好きな物への愛と情熱で世の中を変革するストーリーは最高で、読んでいると自然と胸が熱くなります。
旧時代的な人間など気にもせず未来だけ見続ける情熱的な登場人物の魅力、退屈さなど微塵も寄せ付けないストーリー、人間にとって失敗することがいかに大事なのかという失敗をポジティブに捉えるメッセージ性と、小説のどこを切り取っても冲方丁らしさの結晶で、初めて読むならこの本がベストです。
作家性
冲方作品の特徴はスタイリッシュで知的かつ、韻を踏むように言葉が並ぶリズミカルな文体です。作風に応じて文体を細かく調整するため冲方小説を読んでいるという強烈な快感が味わえます。
文体へのこだわりの強さと相性が良いのか、サイバーパンク小説は出色の出来です。
根っからのSF体質で、テクノロジーの発達に伴い人間の生活習慣や価値観がどのような影響を受けるのかという視座はじめ「この人は体がSFで出来ているんだな」というのが一発で分かるほど濃厚なSFオーラを発しているのも特徴。
それに加え、人物の内面に深く潜り自身でも気付いていない本当の自分を発見させることで殻を破り成長させる人間ドラマも得意としており、キャラクターが活き活きしているのも魅力の一つです。
小野 不由美(おの ふゆみ)

得意ジャンル
・ホラー
・伝奇
・ファンタジー
代表作
・東亰異聞
・屍鬼
・十二国記シリーズ
・残穢
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
魔性の子 |
1991年
|
☆
|
丕緒の鳥 |
2013年
|
☆☆
|
白銀の墟 玄の月 #1 |
2019年
|
☆
|
白銀の墟 玄の月 #2 |
2019年
|
☆
|
白銀の墟 玄の月 #3 |
2019年
|
☆
|
白銀の墟 玄の月 #4 |
2019年
|
☆
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
東亰異聞(とうけいいぶん) |
1994年
|
☆☆
|
黒祠(こくし)の島 |
2001年
|
-
|
残穢(ざんえ) |
2012年
|
☆
|
作家性
小野不由美作品の特徴は、硬質な文体と、神経質とも思えるほどの細やかな風景描写、読者に厳しい現実を突きつけるような硬派なメッセージ性です。
この世のどこにも自分を甘やかしてくれる都合の良い他者も、心地良いだけの安息の地も存在しない、フィクションへの安易な逃避も絶対に許さないという極めて厳格な態度が貫かれた小説が多く、作者の現実主義な性格が透けて見えます。
そのため、多くの小説は硬質な文章が手強く、『十二国記』など特定のシリーズを除き、全体的に読み辛い傾向があります。かと思いきや、『東亰異聞』のような妖しく甘い文体で書かれた伝奇小説もあり、作家としての守備範囲の広さは圧倒的です。
か行
鎌池 和馬(かまち かずま)
代表作
・とある魔術の禁書目録(インデックス)
・ヘヴィーオブジェクト
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
ヘヴィーオブジェクト #1 |
2009年
|
-
|
ヘヴィーオブジェクト 採用戦争 #2 |
2010年
|
-
|
ヘヴィーオブジェクト 巨人達の影 #3 |
2010年
|
-
|
ヘヴィーオブジェクト 電子数学の財宝 #4 |
2011年
|
-
|
ヘヴィーオブジェクト 死の祭典 #5 |
2011年
|
-
|
ヘヴィーオブジェクト 第三世代への道 #6 |
2012年
|
☆
|
ヘヴィーオブジェクト 亡霊達の警察 #7 |
2013年
|
-
|
貴志 祐介(きし ゆうすけ)
得意ジャンル
・ホラー
・SF
・ミステリー
代表作
・黒い家
・天使の囀り
・青の炎
・クリムゾンの迷宮
・新世界より
・硝子のハンマー(防犯探偵・榎本シリーズ)
・悪の教典
・罪人の選択
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
硝子のハンマー |
2004年
|
☆☆
|
狐火の家 |
2008年
|
-
|
鍵のかかった部屋 |
2011年
|
-
|
ミステリークロック |
2017年
|
-
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
十三番目の人格 ISOLA |
1996年
|
-
|
黒い家 |
1997年
|
☆☆
|
天使の囀り |
1998年
|
☆☆☆
|
クリムゾンの迷宮 |
1999年
|
☆
|
青の炎 |
1999年
|
☆
|
悪の教典 |
2010年
|
☆
|
ダークゾーン |
2011年
|
-
|
雀蜂 |
2013年
|
-
|
罪人の選択 |
2020年
|
☆
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
極悪鳥になる夢を見る |
2013年
|
☆☆
|
エンタテインメントの作り方 売れる小説はこう書く |
2015年
|
☆
|
初めての一冊はコレ!
・ホラー小説なら『黒い家』or『天使の囀り』
・サスペンスなら『クリムゾンの迷宮』
・SFなら『新世界より』
・本格ミステリーなら『硝子のハンマー』
個人的に一番おすすめなのは『天使の囀り』です。最高傑作は『新世界より』ですが、こちらはSFとして濃密すぎる上にボリュームが長大であまり読みやすい作品ではありません。その点『天使の囀り』はテンポ良くかつ完成度もずば抜けて高く欠点らしい欠点がありません。
『クリムゾンの迷宮』も謎のゲームに参加した者たちが生き残りを賭け互いに殺し合う過酷なサバイバルデスゲームもので読みやすさという点においてはトップクラスです。
作家性
貴志祐介作品の最大の特徴は、どの作品もリーダビリティ(読みやすさ)を重視して書かれていることです。そのため一度小説に夢中になると時間を忘れ一気読みしてしまうことが多々あります。
作家としての姿勢も大人で、作品のメッセージ性が強く読者に何かしらの問題を提起するような真摯な姿勢で書かれた小説が大半のため、ただ楽しいだけでなく苦い後味を残す作品も多くあります。
SFを書く際にはまずその世界の異様さを象徴する架空の生き物をベースに世界観を構築することが多く、生き物への造詣の深さも貴志祐介作品を読む醍醐味の一つです。
それに、関西人ということもあるのか、ほとんどの小説に笑いが散りばめられており、コテコテのものから知的な笑わせ方まで幅広いユーモアを堪能でき親しみやすいのも特徴。
読みやすい上に、アイデア・プロット・メッセージ性・情報のディテールと平均値がおしなべて高くハズレが極端に少ないため、どの作品でもほぼ安心して読める信頼できる作家です(中には雀蜂 のようなトンデモ作品もあります)。
木下 昌輝(きのした まさき)
得意ジャンル
・歴史小説
代表作
・宇喜多の捨て嫁
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
宇喜多の捨て嫁 |
2014年
|
☆
|
信長、天を堕とす |
2019年
|
-
|
京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
得意ジャンル
・伝奇
・ミステリー
代表作
・百鬼夜行シリーズ
・嗤う伊右衛門
・遠野物語remix(リミックス)
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
魍魎の匣 #2 |
1995年
|
☆☆☆
|
狂骨の夢 #3 |
1995年
|
☆
|
鉄鼠(てっそ)の檻 #4 |
1996年
|
☆☆
|
絡新婦(じょろうぐも)の理 #5 |
1996年
|
☆
|
塗仏(ぬりぼとけ)の宴 宴の支度 #6(前編) |
1998年
|
☆☆
|
塗仏(ぬりぼとけ)の宴 宴の始末 #6(後編) |
1998年
|
☆☆
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
嗤う伊右衛門(いえもん) |
1997年
|
☆☆
|
遠野物語remix(リミックス) |
2013年
|
☆☆☆
|
作家性
京極夏彦作品の最大の特徴は本を読む際の快感を最大まで高める小説デザインの徹底ぶりです。
目を楽しませてくれる表紙から、一つ一つ厳選され尽くした言葉、読書のテンポをコントロールする場面の繋ぎ方を始めとした各種リーダビリティ(読みやすさ)への配慮と、その徹頭徹尾こだわりが行き届いた読書体験は格別です。
作家として無類の才能があるだけでなく、デザインセンスまで優れており、小説を読むという行為がいかに贅沢なのかを教えてくれます。
小池 真理子(こいけ まりこ)
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
墓地を見おろす家 |
1988年
|
-
|
小松 左京(こまつ さきょう)
得意ジャンル
・SF
代表作
・エスパイ
・果しなき流れの果に
・継ぐのは誰か?
・日本沈没
・ゴルディアスの結び目
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
エスパイ |
1965年
|
☆
|
果しなき流れの果に |
1966年
|
☆☆☆
|
見知らぬ明日 |
1969年
|
-
|
継ぐのは誰か? |
1970年
|
☆☆
|
日本沈没 |
1973年
|
☆☆☆
|
ゴルディアスの結び目 |
1977年
|
☆☆
|
さ行
澤村 伊智(さわむら いち)
得意ジャンル
・ホラー
代表作
・比嘉姉妹シリーズ
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
ぼぎわんが、来る |
2015年
|
☆
|
清水 カルマ
得意ジャンル
・経済小説
・歴史 時代小説
代表作
・官僚たちの夏
・秀吉と武吉
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
秀吉と武吉 -目を上げれば海- |
1986年
|
☆☆
|
鈴木 光司(すずき こうじ)
代表作
・リング
・らせん
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
リング |
1991年
|
☆☆
|
らせん |
1995年
|
☆☆
|
ループ |
1998年
|
-
|
た行
武内 涼(たけうち りょう)
得意ジャンル
・歴史 時代小説
・伝奇小説
代表作
・源平妖乱シリーズ
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
不死鬼 源平妖乱 #1 |
2019年
|
☆☆
|
信州吸血城 源平妖乱 #2 |
2020年
|
☆
|
鬼夜行 源平妖乱 #3 |
2021年
|
-
|
恒川 光太郎(つねかわ こうたろう)
津原 泰水(つはら やすみ)
得意ジャンル
・幻想文学
代表作
・妖都
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
妖都 |
1997年
|
☆☆☆
|
な行
野島 一人(のじま ひとり)
得意ジャンル
・SF
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
デス・ストランディング(ノベライズ) |
2019年
|
-
|
野尻 抱介(のじり ほうすけ)
得意ジャンル
・SF
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
南極点のピアピア動画 |
2012年
|
☆☆
|
は行
火坂 雅志(ひさか まさし)
得意ジャンル
・伝奇
・歴史 時代小説
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
天地人 |
2006年
|
☆☆
|
藤木 稟(ふじき りん)
得意ジャンル
・SF
・伝奇
代表作
・イツロベ
・陰陽師 鬼一法眼シリーズ
・テンダーワールド
・アークトゥールス
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
イツロベ #1 |
1999年
|
☆
|
テンダーワールド #2 |
2001年
|
☆☆☆
|
アークトゥールス -全ての物語の完結と始まり- #3 |
2009年
|
☆☆
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
陰陽師 鬼一法眼 -義経怨霊篇- #1 |
2000年
|
☆
|
陰陽師 鬼一法眼 -朝幕攻防篇- #2 |
2000年
|
-
|
陰陽師 鬼一法眼 -今かぐや篇- #3 |
2001年
|
☆
|
陰陽師 鬼一法眼 -切千役之巻- #4 |
2002年
|
―
|
陰陽師 鬼一法眼 -鬼女之巻- #5 |
2003年
|
―
|
ま行
光瀬 龍(みつせ りゅう)
得意ジャンル
・SF
・歴史 時代小説
代表作
・百億の昼と千億の夜
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
百億の昼と千億の夜 |
1967年
|
☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆ |
三津田 信三(みつだ しんぞう)
得意ジャンル
・ホラー
・ミステリー
代表作
・刀城言耶シリーズ
・のぞきめ
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
厭魅(まじもの)の如き憑くもの #1 |
2006年
|
-
|
凶鳥(まがとり)の如き忌むもの #2 |
2006年
|
☆
|
首無の如き祟るもの #3 |
2007年
|
☆☆
|
山魔(やまんま)の如き嗤うもの #4 |
2008年
|
☆
|
水魑(みづち)の如き沈むもの #5 |
2009年
|
☆
|
幽女の如き怨むもの #6 |
2012年
|
☆
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
どこの家にも怖いものはいる #1 |
2014年
|
☆
|
わざと忌み家を建てて棲む #2 |
2017年
|
-
|
そこに無い家に呼ばれる #3 |
2020年
|
-
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
禍家(まがや) |
2007年
|
-
|
七人の鬼ごっこ |
2011年
|
-
|
のぞきめ |
2012年
|
☆☆
|
作家性
数ある三津田信三作品の中でも刀城言耶シリーズの特徴は読者の興味を引っ張り続ける構成の巧みさです。序盤こそゆったりですが、一章ごとにラストに衝撃展開がありそのまま次の章を連続で読ませてしまう工夫が施され、勢いが付くと途中から一気読みしてしまう吸引力があります。
しかもラストの推理パートの楽しさが突出して高く、次から次にリズミカルに謎が氷解していくくだりは快感を伴います。
作品によっては怪異が生まれてしまった痛ましい背景を丁寧に描くことで被害者に優しく寄り添うという、ホラーとして真っ当な姿勢も垣間見え安心して読めます。
宮尾 登美子(みやお とみこ)
得意ジャンル
・純文学
・歴史 時代小説
代表作
・櫂
・陽暉楼
・一絃の琴
・寒椿
・岩伍覚え書
・天璋院篤姫
・クレオパトラ
・宮尾本 平家物語
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
櫂(かい) |
1972年
|
☆☆☆
|
陽暉楼 |
1976年
|
☆☆☆
|
寒椿(かんつばき) |
1977年
|
☆☆
|
岩伍覚え書 |
1977年
|
☆☆
|
一絃の琴 |
1978年
|
☆☆☆
|
鬼龍院花子の生涯 |
1980年
|
☆
|
伽羅の香 |
1981年
|
☆☆☆
|
序の舞 |
1982年
|
☆☆
|
天璋院篤姫(てんしょういんあつひめ) |
1984年
|
☆☆
|
朱夏 |
1985年
|
☆☆☆
|
東福門院和子の涙 |
1993年
|
―
|
クレオパトラ |
1996年
|
☆☆
|
仁淀川 |
2000年
|
☆
|
宮尾本 平家物語 #1~4 |
2001年~
2004年 |
☆☆☆
|
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
義経 |
2004年
|
―
|
初めての一冊はコレ!
・『櫂』
宮尾登美子作品でオススメといったら『櫂』一択です。この作品は完成度で他の宮尾登美子小説を完全に凌駕している上に、宮尾登美子小説が有する特徴をほぼ網羅しているため、入門作品であり究極の小説なので、これ以外にはあり得ません。
作家性
ほぼ全ての宮尾登美子作品に共通する特徴は、男社会で沈黙を強要された女たちの苦労多き人生が描かれるという点と、徹底したリアリズムです。
純文学・歴史小説とジャンルは違えど、苦労人の女性が主人公という点はほぼ一致しており、どの作品でもその時代・その場所で抑圧され、男に苦しめられ搾取された者たちの哀しみが描かれます。
リアリティへのこだわりも半端ではなく、歴史小説を執筆する前に数年かけて史料を読み込み、取材し、関係者にインタビューをするなど、一作一作手抜きをせず、その時その時の全力を作品に込めているため、「この人の作品なら絶対に大丈夫」という強い安心感があります。
特に優れているのが作者が若かりし頃、実際に暮らしていた大正・昭和の高知を舞台とした小説で、本当に大正や昭和の人々の暮らしを垣間見たような気になるほど生活描写のディテールが細かく、現実よりも現実らしいと感じる瞬間すらあるほどです。
実家の父親が遊郭や料亭に芸妓(芸者)を紹介する特殊な職業を営んでいたという特殊な生い立ちゆえの葛藤も作品にそのまま刻まれており、小説を読むと作者の真摯な姿勢が伝わってくるのも信頼がおける要因の一つです。
や行
山本 兼一(やまもと けんいち)
得意ジャンル
・歴史 時代小説
代表作
・戦国秘録 白鷹伝
・火天の城
・雷神の筒
・利休にたずねよ
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
戦国秘録 白鷹(はくよう)伝 |
2002年
|
☆☆
|
火天(かてん)の城 |
2004年
|
☆☆
|
雷神の筒 |
2006年
|
☆
|
利休にたずねよ |
2008年
|
☆☆
|
作家性
山本兼一作品の特徴は、戦国時代を舞台とした小説では背景として扱われる職人や芸術家など、戦国武将を影で支えた人物にこそ注目する斬新な着眼点です。しかも、史料の読み込みや取材・調査が徹底しており、一つの道を究め、文化的な偉業を成した人物の描写に説得力があります。
武将より芸術家を、合戦より物作りを好んで描く山本兼一作品を読むことで、戦や国盗り、武将の成り上がりや権謀術数 といった派手さや血なまぐさ、腹黒さが優先される戦国時代に爽やかな文化の風が吹き込まれ、より一層戦国の世に深みが生まれます。
夢枕 獏(ゆめまくら ばく)
得意ジャンル
・伝奇
・SF
代表作
・上弦の月を喰べる獅子
・黒塚 -KUROZUKA-
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
上弦の月を喰べる獅子 |
1989年
|
☆☆☆
|
黒塚 -KUROZUKA- |
2000年
|
☆
|
ら行
わ行
和田 竜(わだ りょう)
得意ジャンル
・歴史 時代小説
代表作
・のぼうの城
・忍びの国
・小太郎の左腕
・村上海賊の娘
タイトル
|
出版年
|
おすすめ
|
---|---|---|
のぼうの城 |
2007年
|
☆☆
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忍びの国 |
2008年
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☆☆
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小太郎の左腕 |
2009年
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☆
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村上海賊の娘 |
2013年
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☆☆
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作家性
和田竜作品の特徴は、作中で歴史資料や文献を細かく引用し史実に目配せをしながらも、リアリティは無視する破天荒すぎる作風です。
史料の引用が小説に歴史的な厚みを出すためではなく、読者を戦国時代の人々特有の気質や気性に無理なく馴染ませるためにこそ活用され、初めて触れた際はその大胆不敵さに衝撃を受けます。
平均的な歴史小説の作法とは一線を画する娯楽活劇特化型スタイルと、現代の人間とはかけ離れた死生観や人生哲学を持つ登場人物が暴れ回る作風とが完璧な相乗効果を生み出しており、間違いなく和田竜作品でないと味わえない妙味があります。
海外の小説
タイトル
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出版年
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おすすめ
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ストーカー |
1972年
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☆☆
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デューン 砂の惑星 [新訳版] 上・中・下 |
1965年
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☆☆☆
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闇の奥 |
1902年
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☆
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