えんみゅ~ -えんためみゅーじあむ-

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えんみゅ~

おもしろい!! おすすめ映画 【16作品】 更新日2020年9月5日 <随時更新>

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 レビュー済みの映画の中でおすすめ作品をジャンルごとにまとめました。今後も随時更新。
 
 好きな映画監督はアンドレイ・タルコフスキー、アルフレッド・ヒッチコック、アレハンドロ・ゴンサレス・イリャニトゥ、黒沢清、北野武など。
 
 好きなジャンルはホラーとサスペンス映画です。
 

アクション

 

ザ・レイド GOKUDO

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 大傑作だったインドネシア産アクション映画『ザ・レイド』の続編。
 
 舞台がほぼ建物内に限定されていた前作と違い、外に飛び出し傍若無人に暴れまわった結果、処理できる限界を超えてしまうほどのアクションシーンの迫力に、途中から畏怖の念すら覚え出しました。
 
 映画としての完成度は落ち着きのあった前作のほうが遥かに高いものの、あまりにも過剰すぎるアクションの大盤振る舞いぶりに戦慄を覚えたのは今作のほうです。
 
  • 役者の体が心配になるほど肉体を酷使するハードなアクションの連続
 

サスペンス

アナイアレイション 全滅領域

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 宇宙から飛来した隕石によって生じた世界を飲み込もうとする人智の及ばぬ光、シマー。シマーに覆われ隔離されたエリアXに挑む調査隊は驚愕の光景を目撃する。
 
 未知の世界であるシマー内部の光景を下品にならないグロテスクな造形美、アレックス・ガーランド監督お得意の神経質なまでの照明へのこだわり、そしてバーニー・ピリングの素晴らし過ぎる編集のテンポで見せ切った大傑作。
 
 目に映る全てのものが琴線を優しく撫でる、官能的なまでの映像美を堪能できます!
 
  • シマーというあらゆる生物の遺伝子が混じり合う異常な空間を説得力ある映像で表現しきるセンス
 

刑事ジョン・ブック 目撃者

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 船上での生活を描く『マスターアンドコマンダー』と同様、特殊な価値観を持つ集団や日常から隔離された空間での集団生活を映像で体験させる手腕はピカイチなピーター・ウィアー監督による、一人の刑事とアーミッシュの親子との異文化交流を描いたサスペンス。
 
 サスペンス映画なのに、中盤はサスペンスが迷子になって緊張感がなくなってしまうという問題点はあるものの、確かな手腕を持つ職人監督らしく、映画的な魅力溢れる隙の無い贅沢な傑作に仕上がっています。
 
  • アーミッシュのコミュニティでの生活を体験できる
  • これぞ映画という間の取り方が徹底しているピーター・ウィアー監督の才能
 

ドッグマン

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 イタリアで小さなドッグサロン「ドッグマン」を経営するマルチェロが、古くからの悪友であるシモーネの恐喝と暴力に怯える日々を静かなタッチで描く陰鬱な物語。
 
 カメラの存在をほぼ意識させない高度な撮影に、マルチェロとシモーネという二人の主要人物に血を通わせるマルチェロ・フォンテとエドアルド・ペッシェという二人の役者の完璧な演技が見応え抜群です。
 
 ただただ陰惨で見ていて楽しい話では決してありませんが、人間同士のコミュニケーションがまるで成立しない恐怖を味わえ、一本の映画としては破格なまでの完成度です。
 
  • マルチェロ・フォンテとエドアルド・ペッシェという二人の役者の卓越した演技力
  • 同じ人間同士なのに会話がまったく成立しないという卑近な恐怖
 

トレイン・ミッション

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 会社をリストラされ金策に困る主人公が、10年乗り続けた通勤電車で帰路につく中、謎の女から10万ドルの報酬の代わりに怪しい依頼を押し付けられるアクションサスペンス映画。
 
 過去作の『フライトゲーム』のシチュエーションの焼き直しをしている印象が強い上に、終盤が蛇足で退屈など、欠点も多く決して手放しで褒められる作品ではありません。
 
 それでも乗客とほぼ顔見知りという10年間乗り続けた通勤電車の中で、普段はその時間にいないはずの乗客を探し出すというアイデアは魅力があります。
 
 サスペンスの名手であるジャウム・コレット=セラ監督作品の中でも、編集と音楽使いだけで映像作品としての格式とサスペンスとしての機能性を両立させてしまう過去・現在・未来様々な時間が混じり合う冒頭シーンが見事で、このシーンの完成度だけで満足でした。
 
  • 10年間という年月を主人公の人生と共に駆け抜ける編集テクニックの凄み
 

ナイトクローラー

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 脚本家出身であるダン・ギルロイ監督のキレ味鋭いシナリオに、撮影監督であるロバート・エルスウィットの撮影センスがこれでもかと映える大傑作サスペンス。
 
 ロサンゼルスという街が醸し出すサスペンスの匂いを封じ込めたような美しく鋭利で冷たい撮影と、変人主人公を見事に演じ切って見せたジェイク・ギレンホールの怪演、無駄のない引き締まった、それでいてメッセージ性も強い脚本と、サスペンス映画としては文句の付け所のない完成度。
 
 こんな映画に年に一本くらい出会えれば幸せです。
 
  • 倫理観の欠如したパパラッチをこの上ない説得力で演じるジェイク・ギレンホールの怪演
  • 扇情的なニュースばかりを追い求めるジャーナリズムの暴走を風刺するダン・ギルロイ監督の脚本
  • ロサンゼルスの美しさを堪能できるロバート・エルスウィットの脅威の撮影
 

ノー・エスケープ 自由への国境

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 アメリカとメキシコの国境地帯の砂漠を舞台に、メキシコ移民を憎むアメリカ人によりメキシコ人の不法移民者たちが人間狩りのターゲットにされるサスペンス映画。
 
 サスペンス映画としては極限までムダを排しシンプルにまとめ過ぎたせいでやや刺激不足です。
 
 ただ、砂漠や岩山といった一見地味な舞台をうまく映画的に演出しており、映像作品として大変見応えがあります。
 
 メキシコ人の不法移民と、それを敵視するアメリカ人という社会問題を盛り込みつつ、しっかりサスペンス映画としても超一級にまとめあげた傑作!
 
  • 極限まで無駄を削ぎ落とし、構図を作り込んだ撮影の美しさ
 

ボーダーライン ソルジャーズ・デイ

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 暴力に支配されたメキシコと、アメリカという大国の暗部を描くシリーズ第二弾。
 
 前作は、監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ、脚本テイラー・シェリダン、そして『ノーカントリー』や『トゥルー・グリット』、『007 スカイフォール』など、数多くの傑作映画の撮影監督を務めたロジャー・ディーキンスと、華々しいメンツが集結し非常に完成度が高い一作でした。
 
 しかし、それと比較しても、まったく後れを取らない理想的な続編に仕上がっています。
 
 綺麗にまとまり比較的見やすかった前作に比べ、非常に癖が強くやや取っ付き辛くなったものの、前作ではどうしても表現し切れなかった登場人物たちの人間らしさを掘り下げた結果、シリーズにより奥行きを持たせることに成功し、今作を見た後だと一作目の味わいが遥かに増します。
 
 何よりも、麻薬カルテルに家族を殺害され復讐にのみ生きるベニチオ・デル・トロや、CIAという組織に人生を捧げてきたジョシュ・ブローリンらの、ズシンと腹に響く、壮絶な人生を体現するかのような気迫がこもった表情やセリフの重みが圧巻でした。
 
  • 1作目に比べ、より血が通った人間として描き直されたベニチオ・デル・トロとジョシュ・ブローリンの渋みのある佇まい
  • 組織の命令と戦友との約束の狭間で逡巡する苦悩
 

マンディ 地獄のロード・ウォリアー

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 カルト集団に愛するマンディを奪われたレッドは、犯人たちにマンディが味わったのと同じ地獄の苦しみを与えるため立ち上がる。
 
 終始、白昼夢のようなサイケな映像と音楽が続くためとても見やすい映画ではありません。しかし、繰り返し視聴するとそのアートに突っ走った作風の虜になってしまうほど魅力的です。
 
 アート映画としての側面と、ニコラス・ケイジ主演作らしいB級ジャンル映画的な面白さが混じり合い、比類無き領域へと到達してしまった大傑作カルトムービー!
 
  • サイケデリックを通り越してアートの域まで到達している音楽と映像のハーモニー
  • 映画に親しみやすさと笑いを添えるニコラス・ケイジ
 

メキシコ 地獄の抗争

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 アメリカに出稼ぎに出て、20年ぶりに故郷に帰ってきたベニーは、地元の麻薬カルテルの跡目を巡る争いに巻き込まれ、地獄を見ることとなる。
 
 メキシコの麻薬カルテルの内部抗争をコメディタッチで描くという異様な作風でそのデタラメさに心底驚かされるバイオレンスコメディ。
 
 情け容赦のない暴力と死の連鎖に、漫才やコントのようなふざけたやり取りが挟まれ、不謹慎なギャグに笑っていいのかどうかすら真剣に悩まされる、色々な意味で考えさせられる映画です。
 
 一見ふざけた映画に見えつつ、メキシコの現状を憂う誠実なメッセージも込められており、作り手の圧倒的なバランス感覚とセンスが成立させた文句なしの傑作!
 
  • 凄惨な暴力とふざけた笑いが交互する狂った作風
  • 作風のぶっ飛び具合とは正反対の非常にハイレベルな撮影の手腕
 

ローマンという名の男 信念の行方

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 監督・脚本ダン・ギルロイ、撮影監督ロバート・エルスウィットというナイトクローラーコンビによる映画二作目。
 
 脚本の不出来さ相まっていまいちコンセプトの魅力を引き出せておらず、一本の映画としては不満が多く残ります。
 
 しかし、デンゼル・ワシントンの演技により命を吹き込まれたローマン・J・イズラエル ESQ.という主人公の存在感が素晴らしく魅了されました。
 
 弱者救済のために戦う精神が次の世代へと継承されるというしごく真っ当なテーマを扱った映画なのにもかかわらず、デンゼル・ワシントンの好演(怪演?)のおかげで凡庸な作品に落ち着くのを避け、好感触の映画に仕上がっています。
 
  • 弁護士ローマン・J・イズラエル ESQ.という癖の強い人物に魂を入れるデンゼル・ワシントンの好演
  • 脚本の完成度が低く疑問符が浮かぶ場面も多い
 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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 1969年に起こったカルト集団によるシャロン・テート殺害事件をモチーフにしつつ、そこに時代に取り残されることに怯える落ち目の役者の苦悩の日々を掛け合わせる奇妙なハリウッドおとぎ話。
 
 観客に楽しい一時の夢を見せていた古いハリウッドが黄昏時を迎え、過酷で辛い現実を突きつけるニューシネマの時代が到来するその前夜を切り取ったハリウッド映画史を体感するような内容のため、ある程度映画の歴史を知らないと楽しめない作りです。
 
 そんな古いハリウッドの終わりと、時代遅れで落ち目の役者の哀愁を重ね、最後は切なくも優しい夢で終わるという、タランティーノ映画とは思えない、ハリウッド黄金時代映画のような品の良い余韻が堪能できる傑作!
 
  • 60年代から70年代というハリウッドが劇的に変化するその瞬間に立ち会える喜び
  • タランティーノ映画とは思えない繊細な余韻のエンディング
  • ストーリーらしいストーリーがないためやや見辛い
 

 戦争映画

1917 -命をかけた伝令-

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 1917年、第一次世界大戦の最中、イギリス軍の兵士二人が敵の罠にハマりかけた味方を救うべく最前線へと攻撃中止の伝令を伝えるため危険地帯である戦場を前進し続ける戦争映画。
 
 サム・メンデスとロジャー・ディーキンスという大傑作『007 スカイフォール』を作った二人が再びコンビを組み、全編ワンカットの長回し風に作るという気が遠くなるような労力と、タルコフスキー映画を彷彿とさせる絵画的な映像の美しさを両立させてしまった、戦争映画という枠を超えた大傑作中の大傑作。
 
 そして、自慢の映像に頼るだけでなく、そのままだと印象が弱まる箇所を補強し、起こる出来事を自然に飲み込ませてしまう脚本の完成度も素晴らしく、映画全体のレベルがあり得ないほど高い。
 
 映画を見ている最中に「自分はこういう戦争映画が見たかったんだ!!」と気付かされるほど映像のこだわりと脚本の気配りが心地良く、これまで見たあらゆる戦争映画の中でもダントツで好きになりました
 
  • タルコフスキー映画のようなこだわり抜いた構図と退廃的な雰囲気を堪能できる映像美
  • 映像により深みを与える脚本の完成度の高さ
  • 全編ワンカット長回し風に撮られているせいで二回目以降は移動シーンがややダラダラ長く感じる
 

ヒューマンドラマ

フロリダ・プロジェクト -真夏の魔法-

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 舞台はアメリカ・フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのすぐ側にあるカラフルな安モーテル「マジック・キャッスル」。
 
 犯罪歴があったり、身分を証明できなかったりでアパートにもプロジェクト(公営住宅)にも入居できず、モーテル暮らしを余儀なくされる貧しい子供たちの生活からアメリカの住宅・貧困問題を暴いていく社会派映画です。
 
 ある程度経済的に余裕がある人間しか入れない魔法の王国への強烈な皮肉が込められたような安モーテル「マジック・キャッスル」と、本物のディズニー・ワールドを対比させるという舞台立てのセンスに魅了されました。
 
 子役たちはじめ、どの役者も本当に長期のモーテル暮らしをしている人にしか見えないほど演技が自然で、カラフルな外観の建物とあふれ出る生活感のギャップが哀愁を誘い、アメリカにはこのような生活を余儀なくされる低所得者もいるという現実を静かに突きつけられます。
 
 そしてラストの安モーテルと本物のディズニー・ワールドが繋がる瞬間、幻想的に見えるのと同時に両者の距離が物理的に近いという生々しい現実をも物語り、社会の歪みは全て子供にのし掛かるという重いメッセージとして胸に響きました。
 
 映画としてきちんと楽しい部分もありつつ、子供の目線から貧困を描くというコンセプトも貫かれ、一本の映画としても社会問題を提起する作品としても完璧と言っていいほどの大傑作でした。
 
  • 裕福な人間しか入れないディズニー・ワールドと、その近所にある低所得者の吹き溜まりであるカラフルな安モーテルを対比させる舞台設定のセンスの良さ
  • 子役のブルックリン・プリンスの驚異的な演技力
  • 子供の目線でアメリカの貧困問題を訴える真摯なメッセージ
 

伝記

スティーブ・ジョブズ (2015)

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 スティーブ・ジョブズの人生からMacintosh、NeXTcube、iMacという三台のPC発表会直前のみを切り取り、ジョブズのビジョンや人生の葛藤を描くという大胆な構成の伝記映画。
 
 とにもかくにも大胆過ぎる構成がスタリッシュでカッコ良すぎなのと、ジョブズを演じるマイケル・ファスベンダーの気合い入りまくりの演技の魅力に尽きます。
 
  • 超絶スタイリッシュでカッコイイ大胆極まりない構成
  • 撮影はあっさりで映像作品としてはさほど魅力がない
 

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

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 マクドナルドの創業者(ファウンダー)であるレイ・クロックが、どのようにマクドナルド兄弟が生み育てたハンバーガー店の権利を奪い、マクドナルドを乗っ取ったのかという、実話を元にした伝記映画。
 
 題材としては攻めているのに、娯楽映画として教科書的とも思えるほどの丁寧かつ堅実な作りで大変見やすい作品です。
 
 実話そのものが持つ面白味や教訓こそを生かすためか、演出が控えめで非常に品が良い作品に仕上がっており、監督のセンスの良さが堪能できます。
 
  • マクドナルドという誰しもが知る大企業の創業者にまつわる実話がそもそも面白い
  • 映画として一切の隙がない堅実な完成度