えんみゅ~ -えんためみゅーじあむ-

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「夜廻(よまわり) 」(steam版) 〈レビュー・感想〉

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トレーラー

評価:60/100
作品情報
ジャンル ホラーアドベンチャー
発売日 2015年10月29日(Vita版)
開発国 日本

短評

 
 かわいいデザインとは裏腹にフロム・ソフトウェアもビックリなほどの高難易度仕様で、ゲームオーバー数は数十回を軽く超える。
 
 非常に出来の悪いアクション部分はストレスしか溜まらないものの、魅力的なアートスタイルやオープンワールドのようなエリア移動のないシームレスな広いマップなど、好みな部分も多く、やや完成度の低さが惜しまれる作品。
 

イライラストレス地獄の元凶である、底の浅いステルスもどきシステム

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 本作は、行方不明になった姉を探すため、街中に溢れかえるお化けを回避しながら目的地を目指すというステルス要素のあるホラーアドベンチャーゲームです。
 
 ただ、ステルスとしての基本がまったくできていないので、終始お化けを回避しながら進むという移動部分はストレスばかり溜まります。
 
 まず、ステルスの基本中の基本である相手の行動パターンを観察することで隙を探し、最適な解を模索するという当たり前の部分からして適当です。
 
 一部の敵以外は視界という概念がないのか、距離だけに反応するのみでプレイに工夫のしようがなかったり、プレイヤー側が能動的に可能なライトのオン/オフや歩く/走るを切り替えたり、アイテムを使用してやり過ごせる敵がほんの僅かしかなかったりと、ただ機械的に突っ込んでくるだけの敵をやり過ごすか、ただ強引に敵の横をすり抜けるかだけの淡泊なプレイが多くなりがちで、あまり頭を使って困難を突破できたという達成感がありません。
 
 能動性のないステルスなどトライ&エラーがただの作業にしかならないのは必定で、死んだ目でゲームオーバー地獄を耐えながら、ひたすら突っ込んでくる敵を受け身で避け続けるという拷問の様なストレスプレイが続きため息ばかりが漏れました。
 
 敵の種類が一見多く、豪華に見えなくもないですが、一体一体に個性のようなものが薄く、「この敵はこんな癖があるから、このように回避するんだ」というノウハウのようなものも一部の特徴のある敵以外は蓄積されず、ただされるがまま単調な動きの素早い敵に接触されては即死ゲームオーバーの繰り返しで嫌気が差します。
 

ホラー要素と死にゲー要素が大ゲンカ

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 本作は『サイレン』の一作目と同じで、あまりにも高難易度すぎてゲームオーバーが頻発すると、次第にホラー部分への恐怖感が薄れ、緊張も弛緩し、恐怖をもたらすはずの敵がただの煩わしいだけの障害物と化してしまうという失敗に陥っており、ホラーとしての満足度は非常に低いです。
 
 街のそこら中にお化けが大量に配置されているという節操の無さも、プレイヤー側が想像力を働かせ、本来はそこにいないものを勝手に想像し怖がるといった楽しみを奪っており感心しません。
 
 死にゲーだから悪いとは言いませんが、死にゲーとしての完成度が低い上にそれがホラーエッセンスまで阻害しているとなると、死にゲースタイルにしてしまったことは百害あって一利なしだと思います。
 
 ホラーであればアクションよりかはアドベンチャー要素(謎解きなど)を強化したほうがジャンルとの相性が良かったはずです。
 
 ストーリーも、行方不明のお姉ちゃんを探すというだけでは明らかに単調そのもの。もう少しマップが広大なことを利用し、それこそサイレンの一作目のようなリドルストーリー的なアプローチで、街の様々な場所を探索したり、ドキュメントを読んだりすることで、徐々にスケールの大きな街の忌まわしき歴史や、ミステリアスな事件の真相が浮かび上がってくるなどといったカタルシスを子供目線という独自設定を最大限利用する形で見せて欲しかったです。
 
 せっかく広大なマップというホラーをやる上で色々なことが試せそうな非常に魅力的な舞台を用意している割には、物語の最初と最後で大して街への印象が変わらないため、舞台がキャラクター化して浮き上がってこず、淡泊な印象にとどまっています。
 
 もう少し訪れる場所に緊張感を持たせるような最低限の物語性は欲しかったです。
 

 

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最後に

 
 クリアまで約5時間ほど。
 
 マップが広大でそれを子供が描いたような大雑把な地図で探索していくという試みは好きだったり、全体的にデザインセンスは非常に好みだったりと、優れた部分は幾らでもあります。
 
 しかし、ホラーとしては独自の怖がらせ方を確立できておらず、死にゲーとしては『ホットラインマイアミ』のような大傑作の足元にも及ばない残念なバランスの作品でした。
 
 ただ、夜中に子供がたった一人で街を探索するというコンセプトは気に入ったので、続編が出たらまたプレイしたいです。