トレーラー
評価:85/100
ジャンル | アクションアドベンチャー TPS |
発売日(日本国内) | 2016年5月10日 |
開発(デベロッパー) | ノーティドッグ |
開発国 | アメリカ |
ゲームの概要
このゲームは、『アンチャーテッド』シリーズの4作目です。ストーリー(というか、キャラクター同士の関係性)は過去作からそのまま続いており、しかもシリーズの集大成的な位置付けなため過去作を先にプレイしておいたほうが無難な内容となっています。
度を越した戦闘のしつこさが不快極まりなかった2、3とは打って変わって落ち着きを取り戻しており、バランス感覚はシリーズ随一でした。
それに、2016年のゲームとは思えないほどグラフィックがキレイで、ステージが変わる度にガラッと変化する景観はどれもこれも見応えがあります。
ロープアクションやパイルを使ったクライミングアクションなど、操作性が優れたアクションも快感を伴い、一本のアクションゲームとしては文句の付け所のない完成度でした。
ただ、相変わらず銃撃戦が長すぎて苦痛なことに加え、これといって強烈な独自性を持たないシリーズのためマンネリ感も強く、新鮮さやインパクトにはやや欠けます。
2、3の悪夢からの脱却

『アンチャーテッド』シリーズは1作目をクリアしただけで、それ以降は体験版以外触ったことがなく、シリーズの印象が完全に1で止まっていました。
そのため4をやる前の予習として2と3を先にプレイすると、コンパクトな1と比べ、何もかもしつこいだけのボリューム特盛りの歪なゲームへの変貌ぶりに心底げっそりさせられました。
1もそこまで完成度が高いゲームとは思わなかったものの、遙か昔に運び出された黄金像の足跡を追いかけ続けるシンプルで目的を見失わないストーリーと、適度にホラー要素を加え退屈さを避ける気配りもあり、2や3に比べ遙かにマシです。
2や3は終始世界中たらい回しにされるストーリーと、似たような敵の増援が大量に湧き続け、もはや苦痛しか感じない銃撃戦を長々とさせられるだけの展開に辟易させられるだけでした。
ただ、バランスが完全に狂っている2や3に比べるとこの4作目は1に近くなったので、自分のような2、3のしつこさがただただ拷問だった人間からすると遙かに楽しめます。
マンネリ打破まではいかずとも爽快なロープスイングとクライミングが堪能できる円熟のアクション
今作は、これまでのシリーズと同様、パルクールや崖を登るクライミングを主体としたアクションの延長でしかなく、目新しさはさほどありません。
ただ、ロープを用いて振り子の要領で遠くへジャンプするスイングアクションや、崖にパイルを突き刺すクライミングアクション、車に乗ったまま広いエリアを探索して回るステージなど、今作から追加された新要素もあり、いくらマンネリに陥っていても数あるアクションゲームの中でも面白さは突出しています。
特に、ロープを使うアクションの爽快さは癖になります。ルート探しをする際には、どの方向にロープでスイングしてジャンプするのかをプレイヤーに考えさせる軽い謎解きの役割も果たし終始楽しさが持続します。
遠景のグラフィックが計算されており、常に高所でロープに揺られている光景が画になるよう計算されて作られていることと、あまり癖が無くこちらの意図通りに動いてくれる優れた操作性もプラスに働き、スイングアクションは無類の中毒性があります。
それに比べると掴まる場所のない崖にパイルを突き刺して移動するクライミングアクションはややそれ単体では物足りませんでした。ただ、高所から落ちる際に崖にパイルを突き刺しブレーキ代わりに使う箇所は、パイルの跡がテクスチャに反映されること含め非常にゾクゾクします。
『トゥームレイダー』もそうでしたが、自分は高い場所から勢いよく落下する時に崖にピッケルやパイルを突き刺してブレーキを掛ける感覚がたまらなく好きなので、これが味わえるだけでも大興奮でした。
これらクライミング周りの問答無用でアクションの快感に酔わせる新要素に比べると、車で移動しながら謎解きして進むというステージは、アイデアは悪くないのにどうしても見劣りします。
車に装備されているウィンチを使って、人力では動かせない物を引っ張る謎解きは技術的にも素晴らしいのに、ただ目の前にある物に引っかけるだけという単純な仕掛けが多く、もう少し頭を使うような工夫が欲しかったです(ウィンチを引っかけて引っ張ったり倒したりする際に、他のギミックも巻き込むように複雑にロープを張り巡らせないといけない、など)。
総じて、終始操作の快感で押し切ってくれるので、マンネリが付きまとってもさほど気にはなりません。
シリーズ集大成としても、海賊王の財宝を巡る話としても中途半端さが否めないストーリー
今作は、『メタルギアソリッド』シリーズで言うと4のようなシリーズの集大成であり総決算として作られており、昔を懐かしむようなエピソードや、あえて過去の謎解きに似せた仕掛けがあるなど、ややシリーズ経験者向けの作りです。
ただ、『メタルギアソリッド4』のように歴代のキャラクターが全員登場するといったサプライズもなく、今作の目的である海賊王エイヴリーの財宝を巡る冒険譚も別段シリーズの歴史をなぞるといった工夫もなく、中途半端さが否めません。
中でも特にガッカリしたのは、主人公のネイサン・ドレイクのドレイクといういわくのあるファミリーネームの秘密が語られるシーンがあるのに、それがラストと呼応していないことです。
ラストは全ての冒険を夢見る者がドレイクなのだというオチになるのかと思ったら、ハリウッド映画でありがちなベタベタなハッピーエンドで終わり我が目を疑いました。
真の財宝は秘境に眠っているのではなく、ごくごく身近にこそ存在するという教訓めいた話と、冒険を夢見るものこそがドレイクであるという話が噛み合っていないので、シリーズの集大成が本当にこのような、なんとなくの雰囲気だけの終わり方でいいのかという不満が残ります。
海賊王の4億ドルの価値がある財宝を巡る話も、何かしら予想を裏切る気の効いたオチがあるのかと思っていたら、本当にただの金銀財宝が山のように出てくるだけで、こんなシリーズ中最も重要な位置づけの作品でここまでひねりのない単純な財宝でいいのかと不満でした。
それと、どうしても気になったのはパナマの刑務所でただ歩くだけのパートをスキップ出来ないなど、ストーリーに力を入れた結果周回プレイ時に飛ばせない強制イベントシーンが増えたこと。せめてこれをやるならチャプターをもっと細かく割ってそこだけスキップしてアクションパートから始められるなどの配慮が欲しかったです。
相変わらずストレスなだけの銃撃戦の押し売り
今作最大の欠点は、これまでのシリーズとまったく同じ、何一つ面白味がないダラダラ長いだけの締まりのない銃撃戦パートです。
呆れるほどの物量で、プレイしているだけでストレスで発狂しかけた2や3に比べるとかなりマシにはなりましたが、相変わらず苦痛でしかないことに変わりはありません。
謎解きで困っているとヒントが出たり、移動している最中にロケーションに合わせてキャラクター同士が自然な会話をしたり、ロープアクション中に飛び移れる場合は手を伸ばすという分かりやすいサインを入れたりと、全体的にユーザーフレンドリーに徹している作りなのに、こと銃撃戦だけはストレスしかないという呆れたバランスが4作目でも治らず、ここはほとほと謎です。
テストプレイをきっちりやり込んでいるのは体感で分かるのに、銃撃戦だけは例外で、どうしてこのシリーズは狂的なまでにつまらない銃撃戦を長々とやらせたがるのか理解ができません。
せめてサバイバルシューターにして敵を倒すのではなく減った弾薬を補給するタイミングにゲーム的な快感を置くとか、敵を倒すとお金が手に入りそれで周回プレイしながら武器を強化していくなどの工夫がないと、本当に撃ち合いは退屈なだけです。
近接攻撃も3発4発喰らわせないと敵が倒れないので、結局普通のシューターの要領で近づいてきた敵に殴りかかってしまうとその瞬間に蜂の巣にされるという嫌がらせのような問題もそのままで、進歩が感じられません。
最後に
シリーズ通しての欠点がそのままなため、手放しで絶賛というテンションにはなりません。
それでもPS4でも屈指の爽快感を誇るアクションが堪能できるためアクションゲームとしては上々の出来でした。
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