
トレーラー(MV版のほう)
評価:75/100
ジャンル | ホラーアドベンチャー |
発売日 | 2012年10月3日 |
開発国 | 日本 |
メモ
・フリーゲームなので公式サイトから無料でダウンロードが可能です(直接ならこのページ)
・steamで購入できるのはリメイク版のほうです
ゲームの概要
この作品は、魔女の館から脱出を目指すアドベンチャーゲームです。
RPGツクール製のフリーゲームなためシンプルな作りながら、謎解きの難易度とテンポが心地よく止め時を失ってしまう中毒性があります。
アドベンチャーゲームとして謎解きを楽しんだ後は、まったく予想だにしない後味が最悪なエンディングが待ち構えており、プレイ中もプレイ後も二度楽しめる一作でした。
余計な贅肉を削ぎ落とすRPGツクールと謎解きアドベンチャーの抜群の相性
このゲームはRPGツクールで製作されたフリーゲームで、様々な仕掛けを解きながら魔女の館からの脱出を目指すというホラーアドベンチャーゲームです。
一応ホラー要素もありますが、ゲームに緊張を与えるオマケ程度の役割で、主役はシンプルな謎解き部分です。
そこに、選択肢を少しでも間違えたりイベント時に敵のシンボルに接触したりすると問答無用で即死という死にゲー要素も含まれ、クリアまでに最低でも数十回はゲームオーバーを喰らいます。
本作の何が素晴らしいかというと、その圧倒的なテンポの良さと、雰囲気作りの役割を兼ねつつ、心地よい負荷も味わえる無駄のない謎解きの中毒性です。
フリーゲームとして作られていることもあるのか、ゲームの進行を邪魔するような長い会話やムービーの類は一切存在せず、純粋に謎解きだけ堪能できるため、クリアまでダレずに一気にプレイ出来ました。
多分有料ゲームとして作るならもっとイベント時の演出に凝るとか、魔女の日記などの読み物を大量に設置して長文を読ませるなどテンポを損なう方向に向かうと思うので、この中毒性はフリーゲームならではなのかなとも思います。
それにRPGツクール製ということもあり、自前の凝ったシステムを採用できないということもプラスに働き、ひたすらアイデアが楽しい謎解きだけさせて貰え、ゲームに飽きてしまうような隙がありません。
作品の印象が一変してしまう魔女の家の真実
謎解きの楽しさと同等かそれ以上にこのゲームをこのゲームたらしめるのが、ラストに明かされる魔女にまつわる驚きの真実です。
最初はこのゲームがマルチエンディングだと知らずにプレイしていたので、普通にプレイしていた場合は初見時に見ることとなるノーマルエンドはどこか違和感がありました。
これが本当のエンディングではないということはゲーム側から示唆されるため、その時点でマルチエンディングなのは分かります。しかし、それ以前に雰囲気がこれまでのトーンと違い、異様なほど悲しげなのが不自然なため示唆されなくてもこれが正しい結末でないことは感じ取れます。
トゥルーエンド自体は特別なプレイをしなくても、ラストのイベント時にノーマルエンドとはやや異なる行動を取ればいいだけなので、見るのに苦労は一切ありません。
このトゥルーエンドを見るとノーマルエンドの違和感の正体が分かると同時に、これまでアドベンチャーゲームではお約束だと思っていた現象の意味合いも変質するため、作品に対する印象が一変します。
ホラーだと思っていたら実はミステリーでもあったという驚きと、これまで自分に降りかかってきた災難の意味合いが変わってしまう後味の悪さはホラーゲームとしては素晴らしく、トゥルーエンドを見ると作品への評価がぐっと上昇します。
ヒントが欲しい・・・
不満と言うほどではないものの、本作で一番面倒だったのが、やや難易度が高い謎解きにぶつかり先に進めなくなると、周囲の観察だけで突破するのかアイテムが必要なのか迷うことです。
このゲームは初代の『バイオハザード』のようにマップがスタート地点から最終エリアまでずっと繋がっている構造なため、先に進めなくなると、その場所のみで頭をひねって謎を解くのか、もしくはすでに通過したエリアまで戻って隠しアイテムのようなものを探す必要があるのか判断に迷います。
結論から言うと過去に通過したエリアに戻ってアイテムを探す必要はまったくなく、全ての謎解きは新しいエリアの中だけで完結します。
しかし、初見時はこれが分からないので、先に進めなくなると今まで通過した全エリアをくまなく探し回ったため、無駄に時間が掛かりました。
ラストまでプレイするとなぜエリアが全部繋がっている必要があるのかという疑問は解けるので不満とは言いませんが、すでに通過したエリアに戻ってアイテム探しをする必要はないということくらいはやんわり教えて欲しかったです。
最後に
クリアまで約2~3時間ほど。ボリュームは少なくても謎解きで手こずることも多いので、変に謎にハマってしまうと足止めを食うこともあり得ます(マップもかなり暗いため、通路や部屋を見落とすこともあります)。
テンポが抜群で難易度が心地よいアドベンチャーゲームとはここまで中毒性が強いのかと感心させられる、フリーゲームとは思えないほど楽しめた一作でした。
リンク
リンク