著者 | 小野不由美 |
出版日 | 2019年10月12日 |
評価 | 85/100 |
オススメ度 | ☆ |
ページ数 | 約421ページ |
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小説の概要
2巻は、戴 国の現状について立ち止まって説明がされる場面が多かった1巻に比べ、権力の中枢に迫る泰麒 と、行方不明の驍宗の足取りを追う李斎 、別行動を取るそれぞれの視点が交互しながら前に進み続けるため格段に読みやすくなりました。
この巻もまだまだ序盤の序盤で、戴 国を覆う不吉な影の正体はまるで判明しません。
それでも、1巻より話に勢いがついたため読みやすさは遙かに増しています。
権力の中枢と末端の僻地、国の両端から戴に巣くう闇に迫る
2巻は、敵の懐 である王宮に飛び込み権力の中心に肉薄するスリルが堪能できる泰麒の視点と、国の中央が腐りきり政 が滞 った影響で治安が悪化する僻地を旅する李斎 の視点という、戴 国の中心と端 、二つの話が交互する作りとなり、格段に面白くなりました。
特に李斎 側の、神農 という地方の村々に薬を売り歩く行商人たちの情報網や、貧しい者たちに施しを与える道観という宗教組織の横の繋がりを頼りに驍宗 の手がかりを追うというアイデアは秀逸です。
貧困にあえぎながらも弱者を見捨てず踏ん張り続ける薬売りや導士たちの助力を得ながら李斎 たち一向が驍宗に迫る展開は、興奮を覚えると同時に戴国への理解も深まり一切の無駄がありません。
登場人物が多すぎるという問題
ストーリーは1巻に比べると格段に面白くなりましたが、問題は視点がコロコロ変わるのにそれが誰なのか把握しづらいこと。
名前が伏せられて少女とか少年という抽象的な書き方で語られる視点があったり、敵勢力側の武将やその家臣の視点が次々出てきたりと、途中から視点が変わるごとにその人が誰なのか前のページに遡って調べなくてはならず非常に手間取りました。
単純な登場人物の数も非常に多く、兵士や役人が取っ替え引っ替え登場し、薬売りの行商人が何人も出てきて李斎 と絡み、道観という宗教組織も複数の派閥の道士がいるなど、無意味にこんがらがるようなことが多く、物語と関係ない部分で煩わされます。
『風の海 迷宮の岸』では泰麒 の世話をする女仙 、『丕緒の鳥』でも役人が複数いても見分けが付かないということは一切無かったので、この混乱するほどの登場人物の多さは地味に疲れました。
最後に
前巻同様に派手さは皆無で先の見えない登り坂を歩き続けるような感覚ですが、1巻を読んで歩くペースに慣れたのと、道の傾斜がやや緩くなったことで負担は大幅に減りました。
全体的に話の勢いが増し、ラストはここで終わったら何がなんでも次の巻を読みたくなるだろうという衝撃の場面で終わるため、ここまで読むともはや止まらなくなります。
十二国記シリーズ
タイトル
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出版年
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---|---|
魔性の子 |
1991年
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丕緒の鳥 |
2013年
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白銀の墟 玄の月 #1 |
2019年
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白銀の墟 玄の月 #3 |
2019年
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白銀の墟 玄の月 #4 |
2019年
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小野不由美作品
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