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【PS4】基本に忠実な王道ハクスラ |『The Incredible Adventures of Van Helsing(インクレディブル アドベンチャーズ オブ ヴァン・ヘルシング)』| レビュー 感想 評価

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トレーラー

評価:75/100
作品情報
ジャンル ハクスラ アクションRPG
発売日 2013年5月22日(PC版)
2017年5月15日(PS4版)
開発(デベロッパー) NeocoreGames
開発国 ハンガリー

メモ

 
・起動時は言語設定が英語ですが、オプションから日本語(japanese)を選べば日本語表示にできます(音声は英語のみ)
 
 

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ゲームの概要

 
この作品は、ハクスラの代表的ゲーム『ディアブロ』シリーズに影響を受けたハクスラアクションRPGです。『ディアブロ』シリーズを一作でもプレイしていればすんなり馴染めます。
 
見下ろし型のハクスラアクションRPGとして基本は押さえているものの、これといって特徴のない無難な出来で、このゲーム独自の突き抜けた魅力には乏しいです。
 
しかし、ハクスラにタワーディフェンス要素を混ぜるなど新鮮な試みもあるため、全体的には好感が持てるゲームでした。
 

ハクスラとしてはややパンチ不足

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このゲームは、ディアブロ風のゲームの中でも、自分がプレイした中では難易度的に『タイタンクエスト』と似た感触でした。中盤以降は難易度ノーマルでもフィールド上で敵グループと遭遇するたびに圧倒的な物量と猛攻で瞬殺され続ける、ほぼ出会い頭にやられることを前提としたバランス調整は『タイタンクエスト』を彷彿とさせられます。
 
この『ホットラインマイアミ』にも似た、敵と遭遇→瞬殺→ロードしてまた即挑戦→また瞬殺という短いサイクルで試行錯誤を繰り返す作りは、目の前の強敵に意識を集中させ強引に中毒性を生み出す効果があり、一度やり出すとひたすら前進し続け止め時を失ってしまうことが多々ありました。
 
ただ、問題はこのサイクルが早い段階で単調な作業プレイと化してしまうこと。
 
ハクスラ部分は『ディアブロ3』(ハクスラ以外では『ウィッチャー3』)と同じで、装備品に個別にレベルが設定されており、決められたレベルに達しないと武器・防具が装備できないという仕様です。
 
しかし、一方でレベルアップ時にステータスにボーナスポイントを振り分けるという『ディアブロ2』や『タイタンクエスト』、ハクスラ以外だと『ダークソウル』な要素も残っており、ややちぐはぐな印象を受けます。
 
レベルアップ時に任意のステータスにポイントを振り分けるのなら、それをアイテムの装備条件として連携させた方がよりスマートなのに、なぜか本作はボーナスポイントを振り分けるという部分と装備条件が一切関係ありません。
 
逆にレベル制にするなら、『ディアブロ3』のようにクラフトを入れることで装備の入手方法の幅を広げ、レベルが上がる度に装備を新調したくなる工夫を徹底するなどしてくれないとあまり装備を充実させたいという欲求が生まれません。
 
本作はここがうまく噛み合っておらず、なんとなくのボーナスポイントの振り分けは特に目的もないため魅力が薄く、なんとなくの装備のレベル制はうまく機能していないと、ここら辺のバランス調整が良く出来たゲームに比べ中途半端さを感じました。
 
それ以外もアクションゲームとして攻撃の手応えが味気ないのも気になります。さすがに何万回も何十万回も繰り返し攻撃し続けるハクスラというジャンルでは攻撃にある程度快感が伴わないと致命的で、ボタン連打が作業にしか感じられません。
 

ハクスラ+タワーディフェンス、二大中毒性が融合する可能性

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本作で異彩を放つのは、ハクスラなのにも関わらず、押し寄せる敵を拠点に侵入させないように防ぐタワーディフェンス要素が用意されていること。
 
正直、単にタワーディフェンスを後付けで足しただけなのでジャンル同士の化学反応が起こるまでには至っておらず、軽いイベント扱いといった程度でした。
 
しかし、ワラワラと現れる敵を薙ぎ払うハクスラと、同じく特定の箇所から出現し続ける敵を撃退するタワーディフェンスはジャンルとして根っこが似ているため、案外混ぜ方によってはとんでもない傑作に化けるかもと可能性は感じます(フィールドに設置する性能差が激しく異なる罠を次から次に入手していくとか)。
 

気になる不親切さ&説明不足

 
まず本作で最大の問題はUI周りがいまいち家庭用ゲーム機に最適化されておらず、ディスプレイに顔を寄せないと文字が小さすぎて読めないことです。『ディアブロ3』のような元々PC用を移植する際に丁寧に最適化されているものと違い、終始見辛さに悩まされました。
 
 

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それと、全体的にチュートリアルが不親切なことも気になります。プレイ中細かい部分が不明なままで、酷い場合は二周目を始めてようやく気が付いた箇所もあるほどでした。
 
まず、盲点だったのがアクティブスキル(プレイヤーが任意で発動するスキル)の上部に存在する三つの効果の意味です。
 
 

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てっきりこれはパッシブスキル(何もしなくても常時効果を発揮し続ける)のようなもので、スキルポイントを振り分けて取得すれば常時効果を発揮し続けるのかと勘違いしていました。
 
しかし、実際は敵を攻撃することで溜まる怒りゲージを消費して行う特殊攻撃の際に上乗せされる効果なだけだと分かり唖然。これに気付いたのが二周目の序盤に説明が表示されたタイミングで、このせいで一周目はスキルポイントを完全に無駄に消費していました。
 
それに、エキスという合成アイテムを武器や防具に合成するシステムも直感的に分かり辛く、使いこなせるようになったのは中盤くらいでした。複雑というほどではないものの多少は説明がないと理解に手間取る部分が多く、一周目は手探りでプレイしなくてはならず魅力が陰ってしまっています。
 
 

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自分の場合、一周目では見えていなかったシステム同士の繋がりが二周目の説明でようやく把握でき、そこからぐっと印象が上向きました。
 

ロードの長さをデスペナルティ化する謎の仕様

 
このゲームはロードがやや長めでエリア移動の際に毎回20~30秒ほど待たされます(HDDの場合)。それだけならさほど気にならないものの、問題はこのロードの長さがおかしな作用の仕方をしていること。
 
本作は敵にやられた際にお金を払ってそのエリア内で復活する(移動時間を節約する)か、もしくは無料で拠点からやり直しもう一度やられたエリアに時間をかけて移動する(お金を節約して移動の手間を選ぶ)かどちらかを選ばされます。
 
オプションで弄らない限りは基本は倒した敵は復活しないので、その都度拠点から移動し直しても道中の敵は排除済みで楽々やられた場所まで移動が可能です。しかし、実際は移動時間よりもエリアチェンジのロードの長さのほうが苦痛で、エリアチェンジのロードを待たされるのが嫌だったら拠点からやり直さずお金を払ってエリア内で復活するしかないというデタラメなバランスになっています。
 
このゲームは敵にやられても削った分のダメージはそのままの状態で何度でもそのエリア内で復活し続けれられるので、どんな強敵もゴリ押し可能で難易度はかなり低めです。
 
なのにこのエリア移動時のロードの長さだけが不自然なデスペナルティとして浮いて機能するせいで、ゲーム内のバランス調整というより、単にロードが長いという不具合を回避するためにお金を払わないといけないという、ゲームとしてはストレスの設定の仕方が壊れておりここは非常に不満でした。
 

これが許されるならわざとロードを長めにしてそれを回避するために課金させてもいいことになりますね

最後に

 
クリアまで約20時間ほど。ボリュームはそこそこあるものの、ほとんどが作業プレイに近く、終始単調さが付いて回ります。
 
若干基本に忠実過ぎるきらいがあり一流どころと比べると見劣りしますが、ハクスラの醍醐味は十分に味わえます。

 

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