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「バタフライエフェクト3 -最後の選択-」 〈感想・レビュー〉

トレーラー

評価:60/100

作品情報
公開日(日本) 2009年10月17日
上映時間 90分

あらすじ

 
 サムは時を飛び越え過去の出来事に干渉できるという不思議な力を持っていた。しかし、殺人事件で恋人を失うという辛い過去を持ち、そのことで苦しみ出来るだけ過去に干渉することを控えるサム。
 
 恋人を殺害した犯人はすでに捕まり、あと少しで死刑執行という折、死んだ恋人の姉から犯人は別にいる可能性が高いという相談を受ける。
 
 恋人を殺した真犯人の正体を突き止めるべく意を決し恋人が殺される時間へと飛ぶサム。しかし、そのせいで本来死ななかったはずの者までが命を奪われ徐々にサムの人生の歯車までもが狂っていくこととなってしまう。
 
 サムの恋人を殺した真犯人の正体とは……。
 

秀逸なアイデアも雑な脚本で台無し

 
 過去に干渉出来る能力を持った主人公が不本意ながら過去を改変してしまった結果、本来なら存在しない殺人鬼が生まれ、その正体を探るためさらに過去に干渉し続ける、というアイデアは充分に魅力があります。
 
 しかし、いかんせん全体的に脚本が粗すぎて、本来意図している主人公が徐々に境地に陥っていくという緊張感と、犯人探しのミステリー的な謎解きの気持ちよさは両方とも薄味でした。
 
 本作で一番問題なのは、作り手が見る側の視点の動きをトレースできていないこと。
 
 見る側がどこに興味を持ち、どのタイミングで過去に干渉して欲しいと思うのかという心の動きと主人公の行動が常にズレたまま同期されず、サスペンス映画には絶対必要な感情移入が浅いままで、最後まで盛り上がりませんでした。
 
 過去に干渉するタイミングがズレているのに、過去を改変した結果主人公の身に起こる出来事も見る側の感覚からすると首をひねる様な不可解なものばかりでピンときません。一応ラストまで見ると理由はある程度分かるものの、初見時はなぜ過去をああ変えると主人公の現在がこのように変化するのかという理屈に納得がいかず、ややバタフライエフェクトの快感は弱めです。
 
 それと、本来なら最初にまとめてしておかなければならない過去への干渉のルール説明を省いているため、終盤の展開で唐突な後出しのような設定が加わり困惑させられることが多くありました。
 
 映画のテンポ自体はいいのに、脚本の粗がやたら目立ちそれを充分生かし切れていません。もっと複雑な伏線処理をできるような脚本家でないと、このアイデアの面白さをフルに引き出すことは困難だと思います。
 
 映像演出の力量はそこそこで、編集のテンポもいいため、脚本さえしっかりしていれば、もうワンランク上くらいの完成度は狙えたのにただの凡作に落ち着いてしまっています。
 

ミステリーテイストの謎解き要素を入れてしまったがゆえのスケール感ダウン

 
 過去改変のアイデアは魅力的と前述しましたが、その反動として過去を改変して現在に戻ると主人公の周りの環境ががらりと一変しているという、めまいを覚えるようなバタフライエフェクト(過去改変の余波)の魅力は過去作から薄まっています。
 
 それは、過去改変の範囲が連続猟奇殺人事件に限定されているためだと思います。
 
 過去に干渉しても変化するのは見ず知らずの事件の被害者だったり、それほど本編に影響はしない程度の周囲の主人公への評価だったりで、改変による影響の弱さが物足りず、ここを楽しみにしていると肩透かしを喰らいます。
 

最後に

 
 サスペンスが売りのシリーズにミステリー要素を入れたはいいものの、うまくさばけていないため雑な印象だけが残るというガッカリな続編でした。
 

バタフライエフェクトシリーズ