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【PS3】『テイルズ・オブ・ゼスティリア』| レビュー 感想 評価

システム紹介

評価:70/100
作品情報
ジャンル 情熱が世界を照らすRPG
発売日(日本国内) 2015年1月22日
開発(デベロッパー) バンダイナムコスタジオ
開発国 日本

ゲームの概要

 
この作品は、『テイルズオブ』シリーズの一作です。ストーリーは『ベルセリア』と繋がっており、ベルセリアの遙か未来の話になります。
 
これまでのテイルズオブシリーズと異なり、海外のゲームからの影響が濃く、海外のRPGと国産RPGが歪に混ざり合ったような暗めの作風が特徴です。
 
これまでのテイルズシリーズの流れからやや逸脱したため問題が山積していますが、コピペ臭が酷かった前作『エクシリア』のフィールド・ダンジョンが改善されるなど、進歩している点もあります。
 
しかし、シナリオは相変わらず酷く、ゲーム部分もストレスまみれと、一本のゲームとしては凡作止まりな完成度でした。
 

あらすじ

 
かつて人間と天族(精霊のような存在)が共に暮らす平穏な時代があったことなどとうの昔に忘却され、天族の声を聞き、姿を見られる者が稀少となって幾年月。
 
世界は、強大な穢れを纏う災禍の顕主(さいかのけんしゅ)の出現により災厄の時代を迎える。世界中は穢れに染まり、穢れた者達は憑魔(ひょうま)と化し、世界は荒廃の一途を辿り続ける。
 
そんな下界を襲う災厄など知りもせず、天族たちの暮らす穏やかな里で育った、人間でありながら天族と心を通わせることができる少年スレイ
 
スレイはとある事件をキッカケに大国ハイランドの政治事情に巻き込まれ、人々を救うため世界の救世主である導師となる決意をする。
 

悪化に歯止めがかからないバトル

 
本作のバトルは、技や術を使う際にTP(MPのようなもの)を消費するスタイルだった『エクシリア』シリーズから、SC(スピリッツチェイン)ゲージという、グレイセスのCC(チェインキャパ)に似た攻撃コストをゲージに一元化するタイプに変更されました。
 
さらに、神依カムイ化という、火・水・風・土という4属性を振り分けられたパートナー天族との合体変身システムが搭載され、属性の弱点を突くことが非常に重要となっています。
 
しかし神依カムイ化は、結局攻撃のためにしか機能しておらず、防御面の属性耐性にも注意を払わなければならないというようなメリハリがなくやや単調です。
 
戦闘周りは『グレイセス』に戻し損なった感があり、SCゲージもCC(チェインキャパ)のような数値で表示されないため、今どれくらい残量があるのか把握し辛かったり、そもそもバトルの爽快感がグレイセスと比べたら天と地ほどの差があったりと、とても褒められた完成度ではありません。
 
バトル以外は、スキルシートという武器・防具にくっつくスキルを法則に則って並べるとボーナスが得られるというセッティングシステムや、装備・称号の熟練度、相変わらず空気以外の何物でもない成長システムなど、どれもこれも中途半端でバトルシステムの面白さに寄与できていません。
 

マップの改善

 
本作で最も好印象だったのは『エクシリア』シリーズより大幅に進化した広大なフィールドマップです。
 
オープンワールドのゲームとは比ぶべくもないですが、過去作から飛躍的にフィールド・ダンジョンの面積が増え、世界が広がったような感動があります。
 
エクシリアのフィールドマップはほとんどコピペしたような手抜き丸出しの味気ないものでしたが、今作ではしっかり地域ごとに自然な風景や高低さが設定されており、旅や冒険気分が大幅に強化されました。
 
シンボルエンカウントなのにマップをやたら広くするという方向性は、正直あまりゲームの面白さ的にプラスになっているとも思えません。
 
それでも、テイルズオブシリーズでここまで堂々とした広さを見せつけられると、それだけで圧倒されます。
 
その他にも音関連が素晴らしく、メニュー画面の耳に心地よいSEだったり、フィールドマップで流れる広い世界に圧倒された少年の胸の高鳴りを表現したかのような勇壮なオーケストラだったり、街や村の、時には陽気で時には穏やかなストリングス系BGMだったりと、元々音楽が良かったテイルズシリーズの本領が遺憾なく随所で発揮されています。
 

不満あれこれ

 
まず、フィールドが広大になり迫力が増したのはいいとして、問題はとんでもない広さのダンジョンです。
 
新しいダンジョンに入り全体マップを開く度、あまりの広さにめまいすら覚えるほどで、正直嬉しいというよりもだだっ広いダンジョンを延々歩かされ苦痛でした。これは、マップの広さに対して移動速度が遅めなのも原因の一つだと思います。
 
前作の『エクシリア2』ではR2ボタンでいつでもダッシュ移動できたのに、なぜか今作ではサポートタレントという能力でバトル後や街中で噂話を耳にした時のみ移動速度が上昇するという、意図がまったく分からない改悪がされており、理解に苦しみます。
 
さらに快適さが大幅に後退したのも痛いです。
 
エクシリアはテンポを重視するためにダンジョンのほぼ全てのパズル要素を撤廃するなど、もたつきを排除しようと躍起になっていました。そのせいで、今作のフィールドやダンジョンがやたら広く移動に時間がかかり、パズルだらけで常に足止めされるという、ほぼエクシリアの真逆に振れたようなしつこさは苦痛でした。
 
快適にし過ぎてスカスカになったり、ボリュームを増やしすぎてストレスまみれにしたりと、このシリーズは調整が極端すぎます。
 
最後にシナリオ面は全体的に地味で暗いのは我慢できるとしても、説明不足すぎて登場人物の言動がほとんど理解できない点が大きな不満でした。
 
大まかな流れはとりあえず追えるものの、全体の70%くらいしか情報が提示されず、残り30%ほどは劇中のキャラクターは知っているらしいのに、それをプレイヤーには教えてくれません。そのため、情報が隠されたままで、それをカバーするようなドキュメントがあるワケでもなく、プレイヤーに欠けた部分を想像させる工夫があるワケでもなく、ただ単に何の話をしているのか不明なだけです。
 
そのせいで途中から話に対しての興味が削がれ、どうでもよくなってきます。
 
今作はテイルズシリーズの中でも群を抜いて説明不足が付きまとい、登場人物の行動の納得のいかなさが目に余りました。
 

最後に

 
クリアまで約40時間強ほど。
 
バトルはとてつもなく出来の悪い『グレイセス』もどきで、シナリオも相変わらず一つもパッとしない中途半端さで、シリーズの中でも駄作に近い凡作の部類でした。
 

テイルズオブシリーズ

タイトル
ハード
テイルズ オブ グレイセスf(エフ) PS3
テイルズ オブ エクシリア PS3
テイルズ オブ エクシリア2 PS3
テイルズ オブ ベルセリア PS4
 

 

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