評価:70/100
配信日(ネットフリックス) | 2016年12月9日 |
上映時間 | 108分 |
映画の概要
この作品は、アメリカ軍がモルドバの戦場で何か未知の存在と偶然接触してしまい、その正体に迫っていくというアクションスリラーです。
映画『プレデター』の一作目を彷彿とさせる国外で活動中のアメリカ軍が人ではない何か異質な敵と遭遇するという設定や、その敵がアメリカのDARPAが開発した新型ゴーグルでしか姿を捉えられないなど、アイデアまわりは秀逸でした。
しかし、脚本もアクションも大雑把な上に、各キャラクターも描き分けが出来ておらず誰が誰だか見分けもつかないまま終わり無味乾燥な後味しかありません。
ホラー映画として繊細なタッチで撮らなければならなかった題材を何を勘違いしたのかド派手なアクション映画にしてしまい、ただ単に慌 ただしいだけの緊張感の足りない映画となっています。
あらすじ
舞台は東ヨーロッパのモルドバ共和国。独裁政権時代の残党勢力である反乱軍に対し、新政府側を支援していたアメリカ軍は、現地で奇妙な事態に見舞われる。
アメリカ国防総省の機関である国防高等研究計画局 が開発した新型のゴーグルを装着中の特殊部隊の隊員が、肉眼では見ることが出来ない幽霊のような未知の存在を目撃し殺害される事件が発生。
戦略ミスでアイデアやシチュエーションの面白さを生かしきれなかった惜しい映画
この映画の『プレデター』一作目を彷彿とさせる設定は、自分にとってドストライクのシチュエーションで「こういうサスペンス映画が見たいんだよ!!」と、序盤はテンション上がりまくりでした。
しかし、設定はどちらかというとホラー寄りなのに、脚本には緊張感を演出する溜めはなく、撮り方もせかせかとしたアクション映画なので、ストーリーと映像がちぐはぐでとても褒められた出来ではありません。
まるで最初はホラー映画として企画されたものを製作過程のどこかで間違ってアクション映画に作り変えてしまったようなデタラメさで、キャラクターもストーリーもアクションもメッセージ性もてんでバラバラの方向を向いており作品としての統一感がゼロでした。
ホラー映画にとって生命線であるその世界に没入させるための大事な導入部分は手抜きそのもの。DARPA製の新型ゴーグルを装着していないと見えない幽霊のような存在の目撃情報が相次ぎ米軍内に重苦しい空気が漂うとか、人間の仕業ではない常識では説明できない殺され方をした死体が発見されその噂がじわじわと戦場に広まるなどの過程を丁寧に描いてくれないため、全体が淡々とし過ぎてうまく物語に入っていけません。
幽霊のような謎の存在はデザインがパッとせず、動き一つ取っても未知の存在に見せようというこだわりも感じられません。
兵士が敵と接触して殺される際の見せ方も適当で、姿も堂々とカメラに映りすぎで何もかも安っぽくて高級感が皆無でした。作り手のセンスが試されるような肝心の部分がほぼやっつけなので一体この映画は何がしたかったのか疑問に思うほどです。
全体的に脚本・デザイン・ホラー演出とディテールの作り込みが甘すぎて、美意識があるのかないのか判断が付きません。
ラストの敵の拠点に攻め込む決戦シーンもなんとなくの雰囲気と勢いのみで進み、別々の場所での戦闘が関連し合っているようには見えず。さらに、ろくな伏線もないため幽霊の正体が分かる展開が唐突でピンとこず、ポカンとさせられるだけでした。
最後に
シチュエーションだけなら自分の好みそのものの映画で、開始直後はテンションMAXでした。
しかし、徐々に脚本のやる気の無さが露呈し、おまけにホラーのセンスがない人が作ってしまったせいで映像は凡庸でただの退屈なB級アクション映画というあり様で、終わって見るとお粗末な映画でした。
リンク