トレーラー
評価:70/100
劇場公開日 ソフト発売日 |
2019年11月8日 2020年4月1日 |
話数 | 全1話 |
アニメ制作会社 | WHITE FOX |
アニメの概要
この作品は、TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』のOVAで、エミリアと精霊のパックが契約を交わす以前に氷結の森(エリオール大森林)で共に暮らしていた時代を回想するという内容のスピンオフです。
脚本も映像もキレがなく、盛り上げ方はエミリアを傷つけて泣かせ悲壮感を出すという一本調子が続き途中からダレました。
しかも、原作未読なため登場人物同士の思わせぶりなだけのやり取りは支離滅裂でほとんど何を喋っているのか理解できません。
それでもエミリアの幸せを強く願うパックとスバルの二人を重ねて描くという試みには成功しており、見る前と後では作品への印象は確実に向上します。
キレがない脚本&映像演出
今作がやろうとしていることはシンプルで、エミリアとパックがどれほど厚い絆で結ばれているのか再確認するだけという内容で、特にそれ以上も以下もありません。
原作未読なので、正直会話の内容(と言うよりパックのモノローグ部分)は思わせぶりなだけで意味がよく分かりませんでした。
それは仕方がないとしても、見ていて一番気になったのは全体的に脚本も演出まわりも全くキレがないことです。
エミリアの森での日常を静かにじっくり描くのかと思いきやちょっと掃除をしてみたり料理をさせたりする程度で本腰を入れず生活感は無く、ではエミリアが魔女として人間に疎外され、孤独な日々を過ごす様を執拗に描くのかと思いきやそれも本当に記号的などこかで見たことある程度の迫害描写でしかありません。
わざわざこの時代この場所を選んだ割に実はアイデアがあまりないのではないかと思うほど中身が乏しく、ぎゅうぎゅうにやりたいことを詰め込んだというよりスローペースで無理矢理時間を引き延ばしているという印象しか受けませんでした。
唯一優れていると思った構図は、エミリアの靴がボロボロなことに気付いてくれたおじさんに背を向け立ち去るシーンでエミリアの表情は見せず、代わりに靴とおじさんを同一の画面内に納め場面に静かな哀愁を漂わせることくらいです。
後はほとんど不満だらけで、エミリアをいちいち泣かせすぎるせいで終盤残酷な真実を告げられるここぞという場面の涙がまったく活きないという不備や、エミリアに復讐するため自分のボスに許可を求めようとする男に対してパックがいきなり登場してしまうせいで話の腰が折られ、復讐心がうまく煮えたぎらないまま何となく場面が流れてしまうとか、全体的に脚本は練り込み不足にしか見えません。
モンスターや敵精霊のデザインもダサすぎです
パックとスバル、エミリアを守り抜く決意で重なる瞬間
最初に見た際はてっきりエミリアの話だと思っていたためまるでしっくりこず、二回目を見てようやくこの話はパックが主役なのだと気付けました。
全編に渡ってパックが意味の分からないモノローグや回想を繰り返すので最初は無視していましたが、その部分を取っ払うとなんてことはないスバルと同じで自分を犠牲にしてでも大好きなエミリアを救うため運命に抗いもがく話だと分かり納得です。
よくよく考えると、パックはエミリアを安心させるためやたら饒舌で、スバルも恐怖や不安を払拭する時や人を励ます際にはやたら喋り続ける性格と、二人は口数の多さも似た者同士であることに気付きます。
スバルを出さず、しかしエミリアの危機的状況においてスバルと似たような行動をパックに取らせることでこの二人は芯の部分が瓜二つであることを分からせる手法は成功しており、見る前と後でパックに対する印象はぐっと上向きました。
最後に
単純にアニメーション作品としては不満が多く、結局映像で何を表現したかったのかはイマイチ伝わってきません(見ていて一番興奮したのが大好きなラムがちょこっとだけ登場する場面でした)。
しかし、パックをスバルと重ねるという最低限の目的はきっちり達成しており、確実にパックに対する好感は上昇します。
Re:ゼロから始める異世界生活シリーズ
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