PV?
評価:90/100
放送期間 | 2018年1月~3月 |
話数 | 全12話 |
アニメ制作会社 | 神風動画 |
アニメの概要
この作品は、4コマ漫画『ポプテピピック』を原作とするTVアニメです。
ギャグアニメとしては同じ話を声優を変えて二回繰り返すという手法や、アニメなのにアニメ以外の表現を積極的に取り入れるなど、ギャグアニメとコント番組の融合のような新しいスタイルが衝撃でした。
単純にナンセンスなギャグアニメとして完成度が高い上に、この作品を見る前と後では「ギャグアニメって何をしてもいいんだ!?」というあらゆる常識から解放されるような深い感動もあり、一度観ると忘れられない作品となります。
ポプ子とピピ美がアニメのルールをぶち壊す
作品を見る前はてっきり過激なパロディアニメの延長程度の認識でしたが、実際見てみるとそんな生易しいものではなく、ギャグアニメに変革をもたらそうとするかのような狂気ぶりで、その本気度に度肝を抜かれました。
一つ一つのナンセンスギャグやコントじみたやり取り、パロディネタの完成度が重要なのではなく、こんな手を変え品を変え支離滅裂なことをやり続けても許されるんだという開放感こそが心地良く、そのどこまでも我が道を行くスタイルの虜になります。
映画の歴史で言ったら既存の型から脱却し何をやっても許されるということを証明してみせたヌーヴェルヴァーグの雰囲気に近く、ナンセンスでデタラメなのにその何者にも縛られないスタイルは見ていて元気が湧いてきます。
CGアニメだろうが手描きアニメだろうが、パペットや砂を用いたストップモーションアニメだろうが、多様なアニメーション手法を許容してしまう柔軟さと、キャラクター設定ではなく表現の熱量こそを原動力として暴れまわるポプ子やピピ美の存在は新しいギャグアニメの形そのものでした。
同年代という小っ恥ずかしさ
本作のパロディネタを見ていると同年代が作っているのが丸分かりで若干恥ずかしくもありました。
『ベルセルク』や『マクロス』、『ガンダム』、『エヴァンゲリオン』は定番として、『ヒカルの碁』や『クロノトリガー』、『スカイリム』や『FF15』もまぁ作品自体が有名なので理解できるにしても、ゲームの『テイルズ・オブ・デスティニー』のソーディアンネタなんて、ハッキリ言ってネタとして大して面白くもない上に何の脈絡もなく、単に昔このゲームをやっていたという以上の理由が考えられません。
最近、漫画やアニメのパロディネタの世代が下がってきて、自分の子供の頃の思い出の作品と被るようになってきました。これは、パロディである以上避けられないものの、懐古趣味のターゲットにされているようにも感じられあまり素直には喜べません。
ただ、『ポプテピピック』という作品自体、元ネタが分かろうが分かるまいがほとんどがナンセンスギャグとして処理してくれるため、そこを過剰に強調しない姿勢は好感が持てます。
元ネタに依存するな!?
ギャグを扱う作品の逃れられない宿命として、後ろに行くにつれアイデアが底をつき笑わせ方が徐々にヤケクソになるという問題は仕方ないとしても、後半『ポプテピピック』としてはあまりにも安易過ぎるパロディがいくつかあり、それは明確に不満でした。
特に『名探偵コナン』のパロディで、アニメ版コナンのレギュラー声優である小山力也さんや高木渉さん、茶風林さんを出すという死ぬほど安易でくだらないネタは最悪です。
そんなバカでも思いつくようなアイデアは真っ先に避けて欲しいのに、そのあまりのダサさはこんな茶番に付き合わされている声優さんが不憫でした。
ギャグが滑ろうとも、なんならつまらなくてもいいので、主導権は常に『ポプテピピック』側が握り、元ネタにおんぶに抱っこという最悪な妥協だけはやめて欲しかったです。
最後に
ギャグの出来の良し悪しなど些細なことは無視し、批判など恐れず熱量だけで突っ走る人間こそが新しいものを生み出すことが出来るということを身を持って教えてくれた一作でした。
凝り固まった既存のジャンルにド派手に風穴を開け、その向こうに広がる新たな笑いの可能性を垣間見せてくれた傑作です。
ナナチがかわいい
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