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【TVアニメ】一歩踏み間違えれば奈落という綱渡り状態が続く3期 |『オーバーロードⅢ(3期)』| レビュー 感想 評価

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PV

評価:65/100
作品情報
放送期間 2018年7月~10月
話数 全13話
アニメ制作会社 マッドハウス

アニメの概要

 
この作品は、『オーバーロード』のTVアニメ版3期です。
 
アインズたち主要メンバーの活躍がほとんど描かれず退屈だった2期に比べると主要キャラの出番が増え多少は持ち直すことに成功しています。
 
しかし、1期に比べると相変わらず話はチンタラしてまったく先に進まず、圧倒的に力の差がある相手に対し弱い者イジメに近い行為を繰り返すだけのワンパターンの展開が続き面白味に欠けます。
 

あらすじ

 
アインズは水面下での長きに渡る工作活動を終え、ついに世界征服のためアインズ・ウール・ゴウン魔導国の建国を宣言すべく名乗りを上げる。
 
アインズは手始めに鮮血帝の異名を持つバハルス帝国の若きカリスマ皇帝ジルクニフと同盟を結ぶ。その勢いのまま今度はアインズの仮の姿である冒険者モモンが活動拠点とするリ・エスティーゼ王国領の都市エ・ランテルを我が領土と宣言し、王国に対し宣戦を布告する。
 
アインズの恐ろしさをまるで理解していないリ・エスティーゼ王国の王族や貴族たちを尻目に、王国最強の戦士であるガゼフ・ストロノーフはアインズの恐ろしさを王に進言するも聞き入れて貰えず……。
 

4クールアニメのようなゆったりとしたスローテンポで進み続ける緩慢なストーリー

 
3期は、主人公であるアインズと関係ない視点の話ばかり続き見るのが苦痛なほど退屈だった2期に対し、多少は持ち直しました。
 
アインズたちが建国のため色々と他国に対して政治的な圧力をかけ、それに対して相手が対策を講じるという見所もあり、2期ほどの停滞感はありません。
 
それに、決してうまくいっているとは言えないものの、とりあえず2期で退屈極まりなかったリ・エスティーゼ王国の話がある程度3期のための下準備だったと分かり、3期を見ると2期の悪印象は多少は改善されます。
 
ただ、やはり話のテンポが遅く弛緩しきっていることに変わりはなく、2期でも感じた大して深みもない話が延々といつまでも終わらないという不満はほぼ同様で、2期の問題点は根本的に何も解決はしていません
 
全体的に作画も話の進行速度も4クールアニメの水準なため、見ていてアニメーションとしてパッとしない上に、遅々として話が前に進んでくれず、2期に比べややマシになったという程度で面白いと感じる瞬間も先が気になることもほとんどありません。
 
2期も3期もここまで脚本が酷すぎると映像に集中できないというか、立ち絵で口パクだろうと、細かい演技をしていようと特に変わりないだろうと思うほど場面に興味が持てませんでした。
 
バハルス帝国のワーカー(組合に所属しない冒険者)によって組織された調査隊がナザリックに侵入してきて対峙するという話も、1期の頃は連携が取れた冒険者のパーティを見て過去の仲間たちとユグドラシルをプレイしていた頃を思い出ししんみりするという役割がしっかりあったのに対しそれもなくなり、単に弱い者イジメしているだけで退屈です。
 
一番盛り上がりそうな、リ・エスティーゼ王国内の王派閥と貴族派閥の対立構図なども、ガゼフが強大な力を持つアインズを警戒すべきという進言をしても派閥争いのゴタゴタで軽視されるという悲劇性をもう少し強調したほうが最終話の展開がよりドラマチックになったのにそれも叶わず。
 
2期も3期も下地したじを延々と準備しているのに、その工程に不備が多く、いざ本番となってもまったく仕込みが生かされないという重大な欠陥があります。今後は政治的な駆け引きの量が増えそうなのにこの程度の脚本力で対処できるのか不安しか感じません。
 
これならアニメ版の『進撃の巨人』のようにシーズンごとに全体の話数に応じて話の始点と終点をきっちり絞って、その中で最大の効果を発揮できるようにシリーズ構成を練るほうが理に叶っていると思います。
 
2期以降は何の意味があるのか分からない、アインズたちと関係ない話が延々と続き、その話は次のシーズンへ持ち越されるので、たった13話しかないのに半分以上の回はそのシーズンで意味を成さないという無駄だらけの構成で見ていて退屈でした。
 
始めにラストを決めてそのラストを強化するようにエピソードを配さないと、個別のエピソードが退屈な上にバラバラなまま終盤に突入するため何も盛り上がらずに終わってしまい、余韻もなにもあったものではありません。
 

最後に

 
楽しかったオンラインゲームの思い出に囚われた主人公という他のどんな作品にもない、喜劇にも悲劇にも利用できる魅力的な設定があるのに、それをまったく生かさず「この人誰なの?」という影の薄い人物のエピソードばかり見せられ、2期同様楽しい時間より苦痛のほうが勝ります。
 
総じて種を蒔く光景ばかり延々と見せられ、収穫は一瞬でしかも実りはほぼなしという散々な出来でした。
 
シリーズとしては1期の貯金を使い果たしジリ貧で後がない状態で、もはや惰性で見ているだけで何の期待も持てません。
 

オーバーロードシリーズ

OL シリーズ
話数
オーバーロード(1期) 13
オーバーロードⅡ(2期) 13
 

 

 
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