えんみゅ~ -えんためみゅーじあむ-

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創作する遺伝子 僕が愛したMEME(ミーム)たち 著者:小島秀夫 〈レビュー・感想〉 MGSⅤやデス・ストランディングの最良の副読本!

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デス・ストランディングがより豊かに楽しめ、エッセイとしても読み応え抜群の一挙両得な一冊

 
 この本は、ゲームデザイナーである小島秀夫監督が小説、漫画、映画、アニメ、音楽など自身が影響を受けた様々な作品についての想いを綴ったエッセイ集です。
 
 この本はてっきり単行本のほうを読んだと思い込んでいたら本棚の中に見当たらず、ふとAmazonのほしいものリストを見ると一度も購入されずリストに6年間入れっぱなしのままだったことに気付き、文庫版を慌てて読みました。
 
 この本に書かれている小説や映画、音楽に関するエッセイの内容がほぼそのままDSのテーマやメッセージに反映されており、読むとなぜこれがDS発売直前というタイミングで文庫化されたのか腑に落ちます。
 
 余談ですが、これを読んでいる最中、唐突に気付いたのがDSは『宇宙戦艦ヤマト』だということ。
 
 遊星爆弾(デスストランディング)でボロボロになった地球(アメリカ)を救うべく、放射能除去装置の入手(カイラル通信の構築)のために、デスラー(ヒッグス)の妨害に耐え、女王スターシア(アメリ)が待つ遙か遠くの惑星イスカンダル(エッジノットシティ)を目指し、家族を失い孤独を抱える古代進(サム)が人類の希望を背負って旅に出ると、ほとんどヤマトのプロットそのもの。
 
 他の本を読んでも、このエッセイ集を読んでも、相変わらず小島監督は自分の好きに素直で、磨き上げた感性こそが人生においても創作においても最大の指針という姿勢にまったくブレがないのが分かります。
 
 しかも、有言実行の人なため、小説の『神々の山嶺』のエッセイで出てくる誰も通っていない危険な道をあえて選んできたという言葉がそのままDSの革新的なゲームデザインにあてはまり、説得力が半端ではありません。
 
 神々の山嶺以外もドイツ映画の大傑作中の大傑作である『アイガー北壁』のエッセイもあり、この本を読んでDSの終盤なぜあんなに雪山エリアが長いのかの理由が分かりました。
 
 この自分の感性を信じるという創作の姿勢が映画とゲームを区別せず、映像体験とゲーム体験を同時にプレイヤーに体感させ自身のMEMEミーム(文化的遺伝子)を伝えようとする癖のある作風になるのだなと改めて考えさせられました。
 
 そのせいで、小島監督と同じく自分の属する業界のルールや慣習より自分の感性に素直である、お笑い芸人でありながらヌーヴェルバーグに強い影響を受けた映画を撮るビートたけしさんや、同じく芸人なのにウォルト・ディズニーを超えるべく絵本作家として活動するキングコングの西野さんのように、お笑い芸人がお笑い以外の創作活動をやろうとすると「芸人なんだからお笑いに専念すべき」と批判される構造と非常に似た状態に置かれやすい人だなとも思います。
 

最後に

 
 メタルギアソリッドシリーズやDSをより深く読める副読本として非常に優れている上に、小島監督の各作品への長い時間掛けて熟成された愛情がたっぷり詰まったエッセイ集としても抜群の面白さと、どこを取っても大満足の一冊でした。