プレイ動画
評価:75/100
ジャンル
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RPG
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発売日(日本国内)
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2013年11月21日
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開発(デベロッパー)
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スクウェア・エニックス
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開発国
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日本
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ゲームエンジン
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Crystal Tools
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ゲームの概要
このゲームは、『ファイナルファンタジー13』、『ファイナルファンタジー13-2』に次ぐ、FF13シリーズの三作目です。
FFシリーズなのにも関わらず、ゲーム性がPS2の『ブレス オブ ファイアⅤ』のタイムリミット制に似ていたり、『アトリエ』シリーズの複数のクエストを管理するようなコンセプトを志向していたりと、シリーズの中では異質なアプローチの作品です。
バトルはこれまでのFFと違いアクション要素が加わりシリーズでも上位の完成度ですが、敵の耐久力があまりにも高すぎてバトルが長引き一戦一戦が疲れるという問題も発生しています。
『ブレスオブファイアⅤ』+『アトリエ』シリーズ+強くてニューゲーム=歪なゲーム

本作は『ブレス オブ ファイアⅤ』のように攻略に詰まるか制限時間を迎えたらゲームを最初からやり直すという周回プレイスタイルがベースとなっており、従来のFFシリーズと大きく異なります。
そこに『アトリエ』シリーズのような複数の同時進行するクエストを管理する要素、ゲームを最初からやり直す際にステータスの成長分を持ち越せる強くてニューゲームを足すという、とてもFFシリーズとは思えないアプローチで最初はかなり戸惑いました。
さすがにカプコンらしさ全開の超高難易度な『ブレス オブ ファイアⅤ』のように初回プレイでは到底クリアできず、複数回のやり直しを強制される、というほどのキツイ難易度ではありません。難易度ノーマルでもやや手こずる敵はいても、普通に1週目でクリアは可能です。
曲者なタイムリミット
本作はゲームにタイムリミットが設定されており、否応なく制限時間を意識させられるという、FFシリーズの中ではかなり窮屈な仕様です。
しかし、付随するシステム群がいまいちタイムリミット要素をアシストしておらずうまく機能しているとは思えません。
ゲーム内には自由に移動可能な4つの広大なエリア(エリア内はシームレスで移動可能)があり、それぞれにメインクエストとサブクエストが設定され、それぞれのエリアのメインクエストをこなしていくのが目的です。
攻略するエリアの順番はプレーヤーが自由に決められます。ゲーム内時間によって発生するクエストのタイミングが異なるため、あるエリアで19:00に発生するクエストまでは違うエリアを探索して時間を潰そうなどと、エリアごとのメインクエスト発生時間を考慮しながらプレイの計画を立てていくのが基本です。
ただ、制限時間がある割りにはゲームのテンポは非常にのんびりしており、別段メインクエストやサブクエストを同時進行させるのにてんやわんやするということもなく、かなり適当にプレイしてもメインクエストは簡単に達成可能なためやや拍子抜けでした。
このゲームテンポの不要なのんびりさが、なぜか制限時間というユーザーへのプレッシャーをわざわざ用意しているわりに生じてしまっており非常に謎です。本来はもっとハードスケジュールでないとおかしいはずなのに、ゲーム的に実現しなければならないテンポと実際のゲームをプレイしている際のテンポが噛み合っておらず、コンセプトがぶれている様で気持ち悪さを感じます。
味気ない成長システム
本作はRPGですが、敵を倒しても経験値が得られず、そもそもレベルがありません。
メイン・サブクエストを達成することで、直接HPや物理攻撃力・魔法攻撃力が上昇していくという変わった成長システムを採用しており、そのためメインクエストはもちろんのこと、サブクエストも積極的にこなしていかないとステータスが上昇してくれません。
そのため、メインクエストの合間にも時間が許す限りサブクエストに取り組むことになりますが、これが若干作業感が強く次第に飽きてきます。
確かにクエストクリア=即ステータス上昇という非常に魅力的な報酬のため、ただお金が貰えるとか、少量の経験値が貰える程度のよくあるサブクエストに比べるとモチベーションは高めな状態で挑めます。しかし、成長の自由度が皆無で、元々クエストごとに決まったステータスが上昇するだけなので、主人公のライトニングを自分好みに成長させているという実感がいまいち湧きません。
経験値やレベルという概念を無くし、クエストクリアに成長要素を連動させてしまうというアイデアは、本作と同じで経験値もレベルもない『ベイグラントストーリー』のボスを倒すとルーレットでステータスがランダムで上昇するというシステムを思い出し嫌いではありません。
それに戦闘しなくても達成可能なサブクエストも多く、海外のRPGと同じで非戦闘系のサブクエストをこなしてもステータスは上昇します。このおかげでプレイが戦闘一辺倒にならず、プレイに多少の幅が生まれるのは好印象でした。
ただ、上記したように、クエストクリアと成長を連動させるというコンセプトはそのままで、FFシリーズなので10のスフィア盤でも13のクリスタリウムでも何でもいいのでプレーヤーが介入可能な自由度の高い成長システムさえ用意できていれば満足度は跳ね上がっていたと思います。
防御は最大の攻撃なバトル
本作のバトルは、13や13-2のようなオーソドックスなATBゲージを用いたコマンド選択のターン制に近い作りとは異なり、アクション要素が追加されました。
完成度はシリーズの中でも上位級で、さすがにFFシリーズでは個人的に一番好きな敵に応じてガンビットを調整する楽しさを持つFF12には遠く及びませんが、それでも13や13-2よりは好きです。
ATBゲージはそのままに『スターオーシャン』や『テイルズ オブ』シリーズのように戦闘中にプレーヤーがある程度バトルフィールド内でキャラを操作可能なタイプに変更され、体感としてはFF13や13-2とはほぼ別物となっています。
ただ、移動速度が極端に遅く、攻撃もボタンに割り振られたアビリティを入力すればほぼ自動的に行われるので、アクション性といってもガード以外はほとんどオマケです。そのため『スターオーシャン』や『テイルズオブ』シリーズのようなフィールド内を自由に動き回れる爽快感はありません。
今作も戦闘中にジョブを交換できる10-2のドレスフィアの応用系という13シリーズのバトル路線を踏襲していますが落とし穴があります。
それは何かと言うとガードです。
13や13-2はどちらかと言うと攻撃主体のバトルで、ひたすら相手をブレイクするため攻撃しまくる仕様だったのに、今作は攻撃以上にガードが重要になります。
自分は当初これが分からず、最初の数時間くらいは攻撃重視の戦い方をして無駄に回復アイテムを消耗し苦戦を強いられました。
途中で敵を早く倒そうとするより的確に攻撃をガードするほうが有利なのだと気づき、敵の動きを観察し、攻撃に移る前の予備動作に反応し素早くガードに意識を切り替えるというスタンスに変えると被ダメージ量が大幅に減少しプレイが楽になりました。
13や13-2は一時的にディフェンダーにロールチェンジして猛攻を凌いだり、HPが減ったらヒーラーにチェンジして回復できたり、そもそもバトル終了後にHPが自動で全回復する仕様のためさほどHPを温存するという発想が生まれません。今作はバトル終了後のHPの自動回復は無く、回復アイテム所持数もそれほど多くないため、ほとんどの攻撃をガードで耐え凌ぐことが必須となるバランスです。
敵の異常な耐久力に苦しめられるバトル
13と13-2におけるロール(FFシリーズでいうジョブのようなもの)が今作ではスタイルというものに変更されました。
これはパーティメンバーがいなくなりライトニング単独での戦闘になったため、これまで各キャラに分散されていた役割を一人でこなせるよう、ロールの設定を細かく弄れるようにしたようなものです。
ウェア(コスチューム)と武器・防具・アクセサリー・アビリティをそれぞれスタイルごとに設定し、これを3つまで登録することで、戦闘中3つのスタイルを自由に変更可能となり、これらを敵や状況に応じて高速に切り替えながらのバトルが基本となります。
物理攻撃が有効な敵には物理攻撃重視のスタイルをぶつけたり、属性攻撃が有効な敵には有効属性のアビリティ(ファイアやサンダー、ブリザドなど)を持つスタイルに交換したり、強力な攻撃を防ぐためにガード性能に特化したスタイルに交換したり、などなど。
それぞれのスタイルには個別のATBゲージが設定されており、これが丁度スタミナゲージの役割を果たします。ATBゲージを使い果たしたら他のスタイルに交換し、またATBゲージがなくなったら交換……と、スタイルを延々とローテーションしていく感覚です。
ATBゲージは控えの状態になると高速で回復するため、1つ使用中に他の2つは高速で回復し続け、ほぼストレスを感じさせないスタイル交換が可能です(それでも回復待ち時間は発生します)。
このシステムに触れて自分が一番初めに連想したのが『ベイグラントストーリー』の武器交換システムでした(次いで『ペルソナ』シリーズのペルソナ交換)。
敵の弱点に応じて武器を交換しながら戦うというシンプルなのに快感が伴うベイグラントのバトルがハイスピードバトルに進化したような錯覚すら覚え最初は興奮しました。しかし、プレイしているとそこまで敵の弱点を突くことに特化していないなど、どうしても力点の置き所がずれており、ベイグラントほどは好きになれませんでした。
そもそも本作のバトルにおける最大の問題は、一部の敵のバカみたいな耐久力のほうです。
この世の中のあらゆる戦闘の魅力を殺し尽くす、戦闘の楽しさを売りにするゲームにとって最恐最悪の天敵である固い敵が魅力を見事に破壊し尽くしています。
同じ敵を作業的に何十回も何百回も攻撃させられ、同じ戦闘中にノックアウト状態という前二作におけるブレイクのような防御力が激減する状態に2回も3回も4回もしなくてはならず、もううんざりでした。
国産ゲームの敵の耐久力を上げてバランスを調整するという病理によってバトルの快感が殺されています。
おわりに
クリアまで約40時間ほど。
アクション要素を加えたバトルは大変魅力的でシステムもFFシリーズとは違うことをやろうと挑戦しようとする姿勢が垣間見られ、そこまで悪い印象は覚えません。
しかし、敵がいくらなんでも固すぎるなど、ダメな部分がとことんダメなので、とても手放しでは褒められない珍作でした。
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