トレーラー
評価:80/100
放送期間 | 2017年1月~3月 |
話数 | 全12話 |
アニメ制作会社 | Lerche(ラルケ) |
アニメの概要
常に緊張感が漂う、もはやホラー的ですらあるドロドロとした人間関係によって生じるサスペンス性が強力で一度見出すと先が気になり止まらなくなります。
そして、本編のシリアスさからは想像も出来ないほどラストが爽やかで、余韻が素晴らしいのも好感触でした。
ブギーポップは片思い中
本作は、群像劇的にキャラの視点が切り替わりながら進み、最後まで一人のキャラが物語の全容を把握することはないという語り口で、『ブギーポップは笑わない』を連想させられました。
それぞれの視点が他の誰かの視点を補完する関係になっているという、ややミステリーチックな構成が巧みで無駄がありません。
この構成のため、キャラクターも最初に登場した際の印象と、違うキャラの視点から捉えた際の印象が異なり、同じキャラクターなのに次から次に違う顔を覗かせ続け、分かりやすいキャラとして印象を固定化させてくれません。
それぞれの登場人物が自己認識と客観的な他者からの視点でズレが生じており、これが本作独自のキャラとの近すぎず遠すぎずの距離感を生んでいます。
この距離感は、自分が何者なのかも分かっていないキャラクターたちが延々とゴールがあるかどうかも分からない迷路を歩いているのをおっかなびっくり観察しているような、不安で落ち着かない気分を持続させ、終始話に飽きることがありませんでした。
成長するって気持ち良い
本作を見始めた時はやたら毎週ペッティングばかりしているエロいアニメ程度の印象だったものの、最終話まで見終えるとなんとも清々しい成長物語で、まさか作品への印象が最初と最後でここまで好転するとは思ってもみませんでした。
真剣になるのは恥ずかしいけど、恥ずかしがる必要なんてない。
ただそれだけのド直球なメッセージを手を替え品を替え全力で描き切っているため、本作を見終わった後、若干の苦味と同時にそっとメッセージに背中を押されるような爽やかさがあり、思ってもみなかった余韻に驚かされました。
特に最終話の一話との対比でヒロインの成長を端的に描くシーンが大好きで、これを見られただけでも最後まで物語を見守り、良かったと思えるほどです。
最後に
単純なアニメーションとしての快感はイマイチだったり、ラスボス的な人の成長がさすがにあっさり片付けられ過ぎていて不満だったり、好みのコンテのテンポ感に比べるとかなりスローペースなリズムで進行するため若干イライラしたりもしました。
ただ、終わってみると見始めた当初からすると驚くほど印象が上向いており、思い出深い一作になりました。
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