著者 | すずひ |
出版日 | 2019年1月17日 |
難易度 | 易しい |
オススメ度 | ☆ |
ページ数 | 約148ページ |
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本の概要
この本は、オシャレが生き甲斐であるミニマリストブロガーがミニマルな暮らしの快適さを綴ったエッセイです。
ミニマリスト本といっても片付け・断捨離の話は最小限で、ファッションの話が全体の3分の2ほどを占めています。そのためファッションへのこだわりを通じてミニマリズムに触れることができる点が最大の魅力です。
著者のファッションへのこだわりの変化を通じてミニマリズムの魅力を再認識できるため、ミニマリズムに興味を持っている人もすでにミニマリストの人も両方楽しめる一冊です。
良いミニマリスト本の最大の特徴はさらに物が捨てたくなるかどうかで、この本を読むと断捨離への熱が再燃します
包括的でないミニマリズム本の魅力
このエッセイを楽しく読めたのは内容をファッションへのこだわりにぎゅっと絞っているためでした。
自分はオタク体質なので万人向けのマニュアルのような包括的なミニマリスト本より自分の好きなものをトコトン極めた主観的なエッセイのほうが遙かに好みです。
その人だけが辛苦の果てに辿り着いた景色・風景をほんの少しでも覗かせてくれるようなものがベストです
このエッセイで最もハッとさせられた点は、自分のライフスタイルをベースにオシャレをすることの大切さを語る部分でした。
“わたしの場合、生活の98パーセントが「普段」。わたしの暮らしに必要なのは、だから圧倒的に「普段着」です。わたしの失敗は、タンスの中をむだなよそゆき服でいっぱいにしていたこと。普通の日に着られないような「特別な服」の割合があまりにも多すぎた。”
“わたしがもつべき服の正しき比率は・・・「普段着:よそゆき=9:1」だった。以前は、この比率がまったく逆で「2:8」ぐらいだったような気がします。これでは毎日、「着る服がない」と感じるのも当然ですよね”
この部分を読んで、確かに自分のワードローブも外出用(遠出用)の服が多くを占めており普段着の割合があまりに少なすぎると反省しました。
どう考えても外出(遠出)している時間と室内にいる時間では室内にいる時間のほうが長いのに、普段着は全て安物か傷 んだよそゆきの服を再利用しているだけで、多くの時間を費やす普段着こそこだわるという発想が欠けていました。
自分にとってミニマリズムの核は生活習慣のデザインです。そのため、ファッションもその都度、自分の生活に合わせた比率にリバランスしてあげる必要があり、これを怠っていたことに気付かされました。
著者のオシャレへのこだわりに触れると自分も普段着こそを真剣に選ぶという考え方を取り入れたくなります。
それと個人的に共感できたのは、ミニマリストになって物欲が消えたことに一抹の寂しさを覚えたという告白です。
ミニマルな暮らしが当たり前になると、ちまたに溢れる広告から受ける洗脳が解け物欲がほぼ消え失せてしまうため、世の中の物の9割以上が自分と無関係なものとなってしまい社会に対して疎外感のようなものを覚えました。
ミニマリスト本を読んでいると物欲が消えることは無条件に良いことのように書かれることが多く、この物欲が消えることで自分が別人に変わってしまったような寂しさに触れている本は貴重でした。
おわりに
この本はページ数が少なく1時間~1時間30分ほどで読み終わるため気軽に手に取ることができます。
ミニマリスト本としては基本中の基本である好きな物を徹底的に厳選することの喜びが書かれているため、読んでいると影響を受け無性に物が捨てたくなり、この本を読んでいる最中もせっせと家の中の不要品を見つけては何個か捨てられました。
どちらかというとこだわりが強いオタク体質の人ほど楽しく読める内容だと思います
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