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「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE(リライズ) 1st Season(1期)」 〈レビュー・感想〉 もはや大長編ドラえもんと化したガンダム

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第一話(webアニメのため、全話YouTubeで無料で視聴できます)

評価:75/100
作品情報
配信期間 2019年10月~12月
話数 全13話
アニメ制作会社 SUNRISE BEYOND

短評

 
 ビルドシリーズの何でもありなスタンスを最大限利用した、これまでのあらゆるガンダムシリーズを凌駕するほどの大スケールな展開が待ち受ける衝撃作。
 
 前作同様、相変わらず世界観設定やシリーズ構成・脚本の作り込みが甘く、終盤の衝撃展開に照準が合わせ切れていないという不満もあるが、ガンダムシリーズで過去一度たりとも味わったことがない、今起こっている異常事態に理解が追いつかず思考がフリーズするという希有な体験が味わえる一作。
 

「ガンダムのスケールってこのくらいだよね」という先入観を逆手に取る、問答無用な衝撃のラスト

 
 この作品は、前作のガンダムビルドダイバーズの最終話から2年後の世界を描く地続きの続編です。
 
 まず、大前提として今作は前作のビルドダイバーズとも他のガンダム作品とも完全に一線を画する構造をしており、これまでのガンダム作品では通用した常識が一切通じません。
 
 それに、最終話まで見通すことを前提として作られており、途中で視聴をやめてしまうとストーリーの意味も今作の意図もまったく理解できません。
 
 冒頭はジョン・ヒューズの青春映画である『ブレックファスト・クラブ』のような、普段ならまったく接点のない少年少女4人が偶然オンラインゲーム上の謎のミッションでチームを組むこととなり、最初は互いがどこの誰かも分からず戸惑っていたのが、次第に悩みを打ち明けあい心を通わせていくという青春ものをガンダムでやりたいのかと誤解しました。
 
 今作は、青春ものっぽいとか、異世界ものっぽいとか、デスゲームものっぽいという分かりやすいジャンルを次から次にちらつかせて油断させてから、満を持して最後にそれら全てを無に帰すような衝撃的な事態に発展するので、初見時にはその大胆さに呆気に取られます(コアガンダムのプラネッツシステムってそういう意味が込められていたんだと驚く)。
 
 例えるなら、連邦軍とジオン公国が戦争している際に、コロニー落としでスペースコロニーを地球に落下させたら、その衝撃で深海や地球の内部で眠るクトゥルフ神話の旧支配者たちが目覚め、全人類vs邪神の戦争が勃発するみたいな、ジャンルがガンダムではありえない方向にねじ曲がり出すため、ガンダムを知っていればいるほど受けるショックが半端ではありません。
 
 しかも、前作でガンプラバトルをオンラインゲーム上で行う形式にしたのに、もう今作で「これは痛みのないバーチャルなゲームなんかじゃない、リアルだ!」と言いだし、「そっちが勝手にオンラインゲームにしたんだろ」とツッコミたくなる、清々しいほど開き直った態度で、初代のビルドファイターズの強引さを思い出しました。
 
 これぞ自分が見たかったガンダム本編では絶対にやらない、ガンダムの凝り固まった固定観念を破壊するような大胆不敵なビルドシリーズの在り方で好感が持てます。
 
 今作では、もはやオンラインゲームなんてどうでもよくなり、ガンプラ作りも知ったこっちゃないとぶん投げて、ガンダム本編どころか、これまでのライバルたちとのガンプラバトルをしていくというビルドシリーズのお約束すらも否定しだすという、このヤケクソ気味の攻めの姿勢は感動すら覚えます。
 
 これまでやってきたことを全部ひっくり返すような衝撃は映画の『マトリックス リローデッド』にも通じるものがあり、わりと保守的なイメージのあるガンダムでここまでぶっ飛んだ体験が味わえるのは貴重でした。
 

最後に

 
 そこら中穴だらけの設定やストーリーを、ラストの意表を突く衝撃展開で強引に誤魔化し通すだけで、一本の作品としては完成度は低いです。
 
 あれも謎、これも謎、全て謎という状態のまま2期へ続くので、この1期だけ見ても何も問題は解決せず、それどころか一体どんな敵とどういう理由で戦っているのかも一つたりとも判明しません。
 
 それでも、かつてガンダムで経験したことのない、置かれる事態が異常すぎて次に何が起こるのかまるで予想が付かないというスリルを味わえ、改めてビルドシリーズのなんでもあり展開はいいなと思える内容でした。
 

ガンダムビルドシリーズ