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ユーモアという縦糸と暴力という横糸が織り成すロスサントス模様 『GTA(グランド セフト オート)5』 〈レビュー・感想〉

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トレーラー

評価:100/100
作品情報
ジャンル オープンワールド アクション
発売日(日本国内) PS3版、Xbox360版:2013年10月10日
PS4版:2014年11月18日
PC版:2015年4月14日
開発(デベロッパー) Rockstar North
開発国 イギリス
ゲームエンジン RAGE(Rockstar Advanced
Game Engine)

メモ

 
・Xbox360版、steam版、PS4版をクリア済みで、基本はXbox360版との比較です
・オフ専なのでオフラインモードのみ
 

短評

 
 初めてXbox360版をプレイした際に衝撃を受けたあり得ないほどのマップの広さや、本当に存在するかのようなロスサントスという街の実在感への畏怖に近い感覚は薄れたものの魅力はまったく衰え知らずでした。
 
 マイケルとトレバーの喜劇と悲劇が紙一重の濃密なドラマはじめ一触即発のキャラクターたちが繰り広げるコミカルに見せかけた胸熱の人間模様に、映画の街ロサンゼルスをモデルにしたロックスターと相性抜群な舞台ロスサントスなど、最新のオープンワールドゲームにまったく引けを取らず未だに世界トップクラスの完成度だと思います。
 

三度目となるロスサントス観光

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 『GTA5』は個人的にゲームに限らずあらゆるメディアの作品と比べても人生でトップ5に入るほどの衝撃を受け、ロックスター作品の中でも頭一つ飛び抜けて大好きなゲームです。
 
 本作はXbox360版の時点であらゆる全てのゲームを過去の遺物にしてしまうことを目的に作られているかのような熱意が刻み込まれており、ちょっとやそっとの経年で舞台となるロスサントスの街の輝きが陰ることはありませんでした。Xbox360版の後にsteam版をやり、今度はPS4版と、もう三機種目のプレイにも関わらず、面白さがまったく衰えないどころか一切目減りすらしない、本作の計測不能の耐用年数ぶりに改めて驚かされるばかりでした。と言うか、『レッド デッド リデンプション2』の馬移動の退屈さがまったく肌に合わなかったため、むしろ車の移動が昔より楽しく感じられるほどです。
 

色々なゲームでPC版をプレイしてからPS4版も再プレイし直しましたがハッキリ言って印象が変わるゲームは皆無でした。多少グラフィックが粗くなろうがフレームレートが下がろうがゲームの本質的な面白さに影響はありません

 
 PC版には自分の好きな音楽を運転中に自由に聴けるセルフラジオという機能があり、明らかにCS機に比べ優れているのにも関わらず、今回PS4版をやり直したらそれが無くても特に問題なくプレイ出来ました。
 
 PC版をやった際はセルフラジオは移動の魅力を何倍にも膨らませる革新的な機能だと思ったのに元々ハイレベルなドライブの面白味をより強化しているだけで、無ければなくてもロスサントスの見事な街並みと、程よい集中力を要求される行き交う車の交通量の多さだけでも十分持つという単純なことに気付かされます。
 

王者の風格漂う犯罪都市ロスサントス

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 Xbox360版プレイ時はマップの広大さに圧倒されたものの、さすがに今ではこれ級のものは他作品にもあるので、マップの広さ自体の強力なアドバンテージは弱まった感があります。ただ、マップの広さに対してある程度の冷静さを獲得できたことで、前回のただただ広いマップの中でシームレスに展開するミッションに感嘆させられるばかりだった状態とは違い、良くできたアドベンチャー部分に目が行くようになりました。
 
 一回一回のミッションごとにやたら使い捨てられる贅沢なシミュレーター的なシステムやアイデアが多く、志向しているゲーム性に多分にアドベンチャー成分が含まれていることに気付かされます。このシステムやアイデアをあっさり使い捨てていくかのような作りは、ゲームプレイにしつこさや押しつけがましさを感じさせません。
 
 システム一つ一つに未練がましくこだわらないという余裕は王者の風格すら漂わせ、やはり本作を他のゲームとは頭一つ飛び抜けた別格な存在であると印象付ける要因にもなっていると思います。
 
 
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年季の入った熟年カップルにも見えるマイケルとトレバーの愛憎劇

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 発売当初はグラフィックに圧倒されたものの、現在では舞台のスケールは凄くても単純なキレイさで比較したらこれより豪華なゲームは他にいくらでもあります。ただ、単純なグラフィックの豪華さが強力な売りでなくなったため、むしろこのゲームの面白さの本質がそこでないことに気付きやすくもなりました。
 
 一見全編コミカルなやり取りを繰り広げているようで、その裏にはマイケルやトレバーが互いに抱く愛憎入り交じった感情が渦巻き、見た目は喜劇なのに本質は悲劇という、二人の心のすれ違いが非常に切なく、何度プレイしても胸が締め付けられます。
 
 トレバーは一見狂人に見えて、誰よりも仲間思いの寂しがり屋で、こんなに多面的な魅力を持つゲームのキャラクターは見たことがありません。
 
 
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 ユーモラスなやり取りによって悲劇性を強調するというというテクニックがあらゆるゲームの中でも特に秀でており、ストーリーテリング力がずば抜けていると思います。
 
 

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 ゲームをやればやるほどマイケルとトレバーの関係が愛おしくなり、そこにかつて純粋だった頃の自分を思い出させてくれる両者のかすがいとなるフランクリンがいるという完璧な相性の三人が一同に介する奇跡は感動的ですらあります。
 
 プレイするほど人間模様の深みが増し、この三人が一緒にいる光景を眺めているだけで幸せな気分に浸れるようになりました。
 
 

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長すぎるフライトミッションのストレス

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 本作最大の不満点は、チェックポイントの感覚が長すぎて、失敗するととんでもなく手前からやり直しさせられる航空機ミッションの退屈さです。
 
 長い距離を移動し終え、ようやくミッションが終了すると油断したほんの少しの気の緩みで墜落してしまうと心底ミッションを放棄したくなる衝動に駆られることが何度かありました。
 
 このような発売当初はマップの広さに驚愕し、体験が特殊なものと感じた要素がただのストレス源と化してしまうという弊害も多く見受けられます。
 
 広大な舞台をうまく使ってダイナミックなゲーム体験を味わえる箇所は別として、マップの広さだけに依存してプレイ自体は作業的な部分は概ね退屈さが大幅に増してしまいました。
 

最後に

 
 クリアまで約30時間ほど。
 
 作品を飾る善人も悪人も清々しいほど屈託のない前向きな性格でカラッと爽やかだったり、車や人という血液が滞りなく循環することで一個の生命として機能するロスサントスという街の魅力は不変だったりと、何度やっても、いつやっても、やはり最高の一作!!
 
 
 
 
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