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「ガンダムビルドファイターズ トライ」 〈レビュー・感想〉 Gガンダム化し過ぎて熱血のみが切り札となった薄っぺらい続編

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第1話 前半

評価:75/100
作品情報
放送期間 2014年10月~2015年4月
話数 全25話
アニメ制作会社 サンライズ

短評

 
 前作から引き続き激しいガンプラバトルシーンは健在で、3対3のチーム戦になり登場機体が増えたのにも関わらず最終話までクオリティが落ちない様は圧巻。
 
 しかし、前作の柱だった熱烈なガンダム愛は消え失せ、ガンダムの外見をしたおもちゃを戦わせるだけの無難な続編に成り果てる。
 
 主人公はじめキャラクターは全員ペラペラで何の印象にも残らない上に、ストーリーも勢いだけで中身が伴っておらず魅力が皆無。
 
 ただ単に人気が出たので続きを作りましたというそれ以上の意味のない虚しい続編。
 

ガンダムAGEメモリー オブ エデンの監督らしいスーパー系ロボットアニメに寄り過ぎな作風

 
 端的に本作の感想を述べるなら、前作のガンダム愛を刺激される圧倒的な完成度に比べると足下にも及ばない出来で落胆させられました。
 
 ただ、前作と今作の間にビルドファイターズシリーズの原型となったアニメである『模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG』を見たため、「これに比べたら遙かにマシだな」と好意的に受け止める余裕も生まれ、味気ない余韻の終わり方ながら、それほどシリーズへの評価は落ちません。
 
 ビギニングGはアニメ版『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の松尾監督が手掛けており、リアリティを重視したがる松尾監督の作風と、どこまでも笑いに走ろうとする黒田洋介脚本が大げんかし、見ていて居たたまれなくなるようなイタさでキツイものがあります。むしろ、こんな酷い状態からよくビルドファイターズを仕上げたなと、より前作の長崎健司監督の評価が上がりました。
 
 ビギニングGは、どちらかというとガンプラバトルを重量感表現を重視して描いていたのに対し、今作の綿田慎也監督は、同じく監督を務めた『ガンダムAGE メモリー オブ エデン』と同様、猛スピードで機体を動かし続けるハイスピード戦闘志向で、どちらかというとスーパー系のロボットアニメ的なけれん味重視スタイルの作風なため、結局中間である前作が一番しっくりきます。
 
 特に今作は前作でもアニメーターや作監として参加していた大張正己監督があまりにも目立ち過ぎで、ガンダムパロディアニメではなくほとんど大張正己作品のセルフパロディ化しており、見ていて「ガンダム関係ないじゃん……」と、白ける瞬間が多々ありました。
 
 前作と同じでガンプラバトルシーン自体は最終話まで手抜きが一切無くど派手で見応えがあるのに、今作の場合はその完成度の高さが物語的な感動や登場人物たちの成長や葛藤とまるでリンクしておらず、ただ一過性の盛り上がりのみで、白熱したバトルの余情がありません。
 

いたずらに主要キャラを増やすという愚策の末路

 
 脚本は前作と同じで黒田洋介さんが全話脚本しているため、ところどころお得意の熱血主人公のセリフが冴えているなど優れた点はあるものの、前作の完成度に比べたら凡庸そのもの。
 
 まず細かい不満を言うと、冒頭を弱小部活もののように、ガンプラ部に部員が1人しかいない状態から3対3で行われるガンプラ全日本選手権に駆け込み出場するため急いで部員を集めなければならないという展開にしたせいで、パッと見この世界でガンプラが廃れているように見え引っかかります。
 
 模型部に部員を取られ廃部寸前な状態というのは、単なるピンチのためのピンチでしかなく、案の上特にこれといって山場もないままあっさり3人でチームを結成するので、この廃部うんぬんという無駄なやり取り分を登場人物の背景や人間性を描くことにあてたほうが遙かに有用だったと思います。
 
 主要人物を前作の2人から3人にしてしまったせいで、関係性により深みが増すどころか尺が分散され薄さが3倍に増しただけで何のプラスもありません。
 
 前作の溢れるガンダム愛とガンプラ愛で一発で心を鷲掴みにされるイオリ・セイや人間なのかどうかすら怪しくミステリアスな雰囲気を醸す相棒のレイジ、強力なライバルとして幾度も立ちはだかるユウキ・タツヤと違い、今作のキャラクターたちは記号的な熱血キャラや悪人が多く深みがまるでありません。
 
 特にガンプラ学園という最大のライバル校が笑いとしてやや滑っている上に、そこのガンプラファイターたちもビックリするほど存在感がなく、この時点で失敗確実だろうと思うほどです。
 
 日常パートもガンプラバトルパートも想像力を刺激してくれず、これがビルドファイターズの正統な続編なのかと思うと虚しいだけでした。
 
 ただ、終盤のあるシーンだけは前作が好きであればあるほど切なくボロ泣きさせられるので、ここだけは文句なく満点を付けられます。ここは切ない話として泣いたのに、これに関係するエピソードが描かれる『GMの逆襲』を見ると意味合いが変わってしまうので、こちらを先に見てからGMの逆襲を見るという順番のほうがオススメです。
 
 自分の好み的に言うとトライの切なさのほうが好きだったので同じく泣かされたもののGMの逆襲は感動のさせ方が直接的すぎであまり良いとは思えませんでした。
 

最後に

 
 前作が子供向けでありながらも、どんなタイプのガンダムファンが見てもねじ伏せられる圧倒的な熱量を持つ作品なら、今作は子供向けだからとりあえず見せ場のアクションだけ派手にしとけばいいかという妥協の産物。
 
 キャラクターはスカスカ、コメディアニメとしてのキレはまったく無く、スケールは世界大会から全日本選手権となり大幅ダウンし、前作から7年経って主催者も変わっているのにガンプラバトルのインターフェースのデザインが同じままという手抜きっぷり、チーム戦もただ仲間内で装備を交換するだけで戦術らしいものはほぼなく、ライバルたちは一つも魅力がないため勝っても嬉しくもないという散々な出来でした。
 
 何よりも前作からほとんど間を置かず脚本を練り込めないまま作らされている黒田洋介さんが実力を発揮できていないのが悔やまれる限り。
 
 あれほど奇跡の大傑作だった前作をたった一作でここまで骨抜きにしてしまうとは、サンライズのクオリティコントロール能力の低さに呆れるばかりです。
 

ガンダムビルドシリーズ