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ハイスピード化したアラガミによって大切な物を根こそぎ奪われた3作目 「GOD EATER(ゴッドイーター)3」(PS4版) 〈レビュー・感想〉

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PV

評価:75/100
作品情報
ジャンル ハンティングアクション
発売日(日本国内) 2018年12月13日
開発(デベロッパー) マーベラス
開発国 日本

短評

 
 前作から極端にアラガミの動きが高速化した結果、一撃一撃の攻撃の手応えが減り、ちょこまか動くだけのアラガミは貫禄がなくなるなど、様々な問題が生じる。
 
 ハンティングアクションとして重要な弱点部位を狙って攻撃する快感も減り、かなり大雑把なゲームとなった。
 
 ストーリーやキャラクターの魅力も前作から大きく後退し、進歩した箇所よりも退化した箇所が目立つ微妙すぎる続編。
 

アラガミの高速化という、狩りの面白さを殺す方向へ進んでしまった続編

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新種のアラガミであるバルムンク。どう見てもゾイドのブレードライガーのブレードとライガーゼロ・イェーガーのイオンブースターを足したようにしか見えない
 
  今作はゲーム内容はほぼ前作と共通で、ひたすらアラガミを狩って手に入れた素材で装備を強化していく討伐ミッションパートと、ストーリーパートを交互するという内容です。
 
 しかし、ゲームから受ける印象はほとんど別物に変わり果てました。それはゲームバランスがアラガミの高速化によって破壊されたためです。
 
 前作も決してアクションゲームとして一級と言えるほど完成度は高くなく、どちらかというと問題点のほうが目に付きました。それでも、近接攻撃でOP(オラクルポイント)を溜め、ガンフォームに切り替え、TPSのように敵の弱点をピンポイントで射撃する際には快感があり、トータルでは好きな作品でした。
 
 しかし、今作は敵のアラガミの多くがコチラが反応できないほどの素早い速度で動き回り、しかもほとんど予備動作なく強力な広範囲攻撃を乱発してくるため、ゆっくり狙撃するような余裕がありません。
 
 前作と同じで、多めに設定されている耐久力が尽きない限りはミッション中に何度でも復活が可能で、そのため相変わらず難易度は低くクリアするまでゲームオーバーになることはほぼ皆無です。
 
 それでも、ちょこまか動くアラガミにガードも回避も困難な広範囲攻撃を乱発されまくり、何度も吹っ飛ばされ続けるため、プレイ中のストレス量は増えたように感じます。
 
 前作のアラガミは予備動作をしっかり入れてから強力な攻撃を放つため、ダメージを受けた場合、自分が相手の挙動を観察せず不用意な行動を取ったから攻撃を喰らってしまったと自分の側に問題の原因を置けました。しかし、今作はどうやっても回避不可能な速度で即死級の攻撃を放つので攻撃を受ける度に理不尽さにイライラします。
 
 今作の戦闘から受ける感触は『ファイナルファンタジー15』に非常によく似ています。やたら戦闘中に吹っ飛ばされたり、素早い敵に何度も連続攻撃を潰されたりとストレスが多い割に難易度は低くてほぼゴリ押しで勝てるという歪なバランスがそっくり。
 

 

 しかも、FF15における高速で接近・離脱がし放題のシフト(ワープ移動)のような役割をするダイブという大ジャンプ移動も加わり、一部FF15をお手本に作ったのかと思うほど。
 
 

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フィールドに落ちているアイテムの強調のさせ方までそっくり
 戦闘で生じるストレス意外にも、動きが高速化したことでアラガミの個性が消失するという問題も発生。
 
 どのアラガミもFFシリーズの竜騎士よろしく大ジャンプ攻撃をしてきたり、反応できない速度でダッシュ攻撃してきたり、高速回転しながら広範囲攻撃を繰り返したりと、似たような素早い動作ばかりなせいで、動きからアラガミを認識するということがほとんどできません
 
 そのため、前作のアラガミに比べて今作のアラガミはほとんど記憶に残りませんでした。
 
 本作をプレイするとどうして『モンスターハンター』があえて個性を表現するためモンスターに一見無駄に思える動物として自然な仕草をさせるのか、強敵であることをアピールするため威嚇の咆吼を上げさせるのか、ずっしりと重々しい動きをさせるのかなど、理由がよく分かります。
 
 ここまでアラガミがちょこまか動き回ると落ち着きの足りないただの短気で怒りっぽいモンスターにしか見えません。
 
 

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3からの新要素

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 バイティングエッジは薙刀なぎなたに変形するため、実質双剣・薙刀・ガンフォームと三段階の変形が可能で、レイガンはレーザーの照射時間が長くなればなるほど威力が上がるという特性を生かすため、溜めたOP(オラクルポイント)を大量にストックする機能があるなど、新武器はどれもやや癖が強めです。
 
 新武器の中で一番気に入ったのはバイティングエッジでした。バイティングエッジは、薙刀状態になると『モンスターハンター』で言う双剣の乱舞のような超高速連続攻撃が可能となり抜群の爽快感があります。
 
 

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 しかも、双剣から薙刀への変形時のモーションが攻撃扱いのため、敵に接近した状態で変形すればそのまま攻撃にもなるという気の利きよう。この変形モーションが攻撃扱いという、僅か1秒ほどの変形時間もただの待ち時間にしないという気配りがプレイすると非常に快感で好きになりました。
 
 連続攻撃が可能な薙刀状態にするには一度変形しなければならないという良い意味で手の掛かる仕様や、薙刀状態ではスタミナが自然回復しないためスタミナ切れを起こしやすいという点が戦闘に程よい緊張感を生み、強力な攻撃にはそれ相応のリスクがあったほうが嬉しい自分的には扱いづらさ含め非常に好みでした。
 
 武器以外にも、細かいセッティング項目が追加されているものの、基本は2の延長で、それほど大きな違いはなく。
 
 アクション面では前述した通り、ダイブという長距離を山なりに大ジャンプして移動でき、しかも敵にぶつけるとダメージも与えられるという便利な機能が追加されました。しかし、この便利すぎるダイブのせいでややゲームバランスが崩れています。
 
 『アサシンクリード シンジケート』で言うとロープランチャーのようにあまりにも便利すぎてフリーランをまったく使わなくなるのと同じで、元々あったステップ回避やダッシュ移動が影を潜めてしまいました。
 
 そもそも、キャラクターが常に大ジャンプしながら移動するという絵面がマヌケ過ぎるのでこれを入れたのは失敗だと思います。製作会社が変更された影響なのか、こんなどう見てもバカげた移動方法を採用する思惑が理解できません(『FF15』で言うとノクトが常時シフトを使い続けどんな時もワープ移動し続ける感じ)。
 

とりあえず間に合わせで用意しただけの半端なキャラクターとストーリー

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 今作は『バイオハザード』シリーズで言うと話の中心だったアンブレラ社を倒産させて仕切り直す4のように、過去作で登場した組織を消滅させるという大胆な設定になっています。
 
 そのため、開始直後は過去作で常に話の中心だったフェンリルという組織が完全に消滅した未来の世界を目の当たりにすることとなり、軽くショックを受けました。
 
 これまでは『新世紀エヴァンゲリオン』の影響が濃い、実質人類を支配する組織が人類存続のため大規模な陰謀を企んでいるという話だったのに、今作は漫画の『ベルセルク』の黄金時代編や『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のような、大人たちに奴隷として搾取される血の繋がっていない子供たちが疑似家族を形成していく話になり、物語のスケールがぐっと小さくなりました。
 
 しかし、フェンリル始め過去作の設定をないがしろにしている割に、今作から新たに加えられた設定や物語は過去作を大幅に下回る不出来なもの。その結果、設定を根こそぎ入れ替えたのに過去作にはあった魅力は激減し、新しい試みは不発という最悪な続編になっています。
 
 世界観のスケールを売りにしようとしていた過去作に対して、こちらは奴隷として扱われる不遇な子供たちが自分たちの力で成り上がっていく話にしたのに、登場時とラストであまり人間的に変化したように見えないほどキャラの描き込みが浅く完全に失敗していると思います。
 
 過去作の設定を無に帰し、無理矢理路線を変えたのにも関わらず、新しい価値を生み出せておらず印象がよくありません。
 
 製作会社が変わった影響か、シリーズの中でどの部分を重視するのかという基準が過去作から明確にずれました。
 
 せっかく携帯ゲーム機から据え置き機にグレードアップし、スケールの大きい物語を描ける土壌が整ったのに、なぜか物語のスケールが急激にしょぼくなり期待外れもいいところ。
 
 今作ではアラガミ討伐に対して、クリサンセマム号という主人公たちが拠点とする船の航路上にいるアラガミを排除しているという理由付けがされ、狩りとストーリーパートが不自然に交互するという前作の違和感をある程度減らすことに成功しているのに、根本の話が酷すぎてまったく活きておらず。
 
 ムービーも肝心のアラガミの存在感を強化するためでなく、なぜかゴッドイーター同士の格闘アクションをやたら長時間見せるなど、ゲーム内の全ての要素がちぐはぐ。しかもシリーズが積み上げてきた過去作の設定も全て無となり、今作で『ゴッドイーター』というシリーズに大きなひびが入った感があります。
 

失って気付く平尾監督のOPアニメーションの大事さ

 
 OPアニメーションは相変わらずufotableが手掛けているものの、これまでずっと担当していた平尾監督ではなくなりました。
 
 2のレイジバーストをプレイしていた時は、奇抜なセンスが炸裂しまくっていた平尾監督のOPアニメーションの中毒性にどっぷりハマり、ゲームを起動する度にスキップせずに最後まで見続けたので、かれこれ30~40回ほど繰り返し視聴するほどドハマリ。
 
 それに比べると今作のOPアニメーションはufotableらしい激しいカメラワークの戦闘シーンが目玉な程度で、これといって惹かれるものもなく、ほとんどスキップして見ることもなく。
 
 ゲームの『サモンナイト2』のOPアニメーションも、アニメの『攻殻機動隊S.A.C.』を手掛ける前の神山健治監督がコンテ・演出を担当し異様なオーラを発していて何十回も繰り返し視聴していました。それを思い出すほど平尾監督が手掛けるOPアニメーションも大好きだったので、平尾監督でなくなったことは非常に残念に思います。
 

最後に

 
 クリア(エンドロールが流れる)まで約17時間ほど。2つの追加エピソードのうちの一つ“もう一人の鬼神”はクリアまで約3時間ほど、もう一つのエピソード“過去との邂逅”は作業プレイばかりさせられ途中で断念しました。
 
 2のレイジバーストに比べ、大幅にボリュームは減っているものの、あっちはあっちでひたすら無意味なアラガミ討伐で水増しを図っていたため、どっちもどっちといった感じ。
 
 グラフィックは据え置き機用になったことで充分キレイになり、操作性も大幅に向上し、バイティングエッジという新武器の使い心地も良く、面白いと感じる瞬間はありました。
 
 しかし、前作で一番魅力だったTPSのようなガンフォームでの弱点部位へのピンポイント射撃は敵がちょこまか動くためほとんど狙えず、SEの迫力も消え失せ撃つ楽しみは激減。素材合成の煩雑はんざつさはまったく改良されず手つかずで相変わらずストレスフル。そしてストーリーもキャラクターも前作から魅力激減と、マイナスのほうが極端に目立ち、微妙な続編といった感想です。
 
 今作で一番問題なのは、単純なゲームの完成度よりも前作にはあった次作は傑作に化けるのではないかというディテールのこだわりが消え失せ、将来への期待が持てなくなったことです。
 

ゴッドイーターシリーズ

アニメ版