PV
評価:75/100
放送期間 | 1~9話:2015年7月~9月 10~13話:2016年3月 |
話数 | 全13話 |
アニメ制作会社 | ufotable |
アニメの概要
この作品は、ハンティングアクションゲーム『ゴッドイーター』シリーズ1作目を映像化したアニメです。
原作であるゲーム『ゴッドイーター』のOPアニメーションを担当していた平尾監督がそのままTVアニメ版も手掛けているだけに、ほとんどゲームのOPアニメーションをそのまま全編引き延ばしたような異様な作風となっており、独自の映像美意識が堪能できます。
しかし、原作に比べるとグロ描写を大量に盛り込むなど『ゴッドイーター』という作品を私物化しており、ゲームのプロモーションとしては完全なる失敗作でした。
『進撃の巨人』化し、グロ度が大幅に増したアニメ版
本作は1話の冒頭を見た時点で「あぁ、これはもうダメだ・・・」と丸分かりなほど、ストーリーもキャラクターも映像演出も美術も全てが視聴者を完全置いてきぼりにする作風で暗たんたる気分にさせられます。
アニメ製作会社がufotableなので、単純なアニメのクオリティとしてはそこらのTVアニメは軽く凌駕しています。
しかし、CGなのか手描きなのかパッと見区別が付かないような色彩設計や、意図がまるで分からないスローモーションを多用するなど、何もかも取り付く島もないほど才気走っており、見辛いことこの上ありません。
原作のゲーム版は潤沢な予算がない中、なんとか努力と工夫で大作ゲームに喰らい付こうとする作り手の強い意志を感じ、自然と応援したくなりました。
それなのにアニメ版はそんな原作の志など踏みにじるかのごとく、毎話のようにアラガミが民間人を虐殺し喰い散らかす原作からかけ離れたグロいシーンだらけで、どうやっても原作のゲームに興味が向くような内容ではありません。
原作ゲーム版の最大の特徴である神機でスタイリッシュにアラガミと戦うバトルよりも、ひたすら陰気なドラマを展開することのほうを優先するという、原作の魅力を引き出してあげる気なんてさらさらないufotableの態度に見ていて若干腹が立ちました。
しかも、『ゴッドイーター』というゲームの最大の売りは、剣とガンフォームを瞬時に切り替えられる変形武器にあるのに、アニメ版では数えるほどしか変形機能を利用した戦闘が描かれません。
活躍するのは変形機能を持たない第一世代の神機を使うゴッドイーターばかりで、第二世代で変形可能な神機を持つレンカやアリサは中盤以降ほとんど戦闘に参加する機会すら与えられず存在感が希薄です。
その結果どうなるかというと、変形しない巨大な剣や銃を持ったゴッドイーターたちが大型のモンスターと戦うシチュエーションばかりで、ほとんど絵面が『モンスターハンター』のパチモンのようになる始末。
多分、ゲームをプレイせずアニメだけ見たら大半の人は『ゴッドイーター』という作品の売りが変形武器であることすら気付かないと思います。
原作はモンハンに多大な影響は受けているものの、キャラデザを美形・美少女にしたり、変形武器を主軸にしてシューティング要素を入れたり、音楽もオーケストラ志向のどっしりとしたモンハンに対して、ボーカル付きの軽やかなBGMを使用するなどしっかり差別化を図っています。
本当にこのアニメを作っている人たちはゲームをきちんとプレイしたのか甚 だ疑問に思うほど、見ていてピンときませんでした。
奇才 平尾隆之
ゲームの映像化としては完全な失敗作なものの、独自の美意識を持つ平尾監督の才能を堪能できるアニメという点においては十分すぎるほど価値があります。
ゲーム版のOPアニメーションも、スローモーションをスタイリッシュにしようとして失敗したのか、そもそもわざと違和感を出すためそうしているのかすら分からないほど個性が全開で、初めて見た時はその異様さに面喰らいました。
2の無印版OPアニメーション
2のレイジバーストOPアニメーション
このレイジバーストのOPアニメーションもなんでギルやナナ、シエルが逆回転で後ろに歩くのか最初は見当もつきません。しかし、ゲームをやるとギルとナナは過去の出来事でトラウマを抱えていることが分かるため、過去に引っ張られているのを巻き戻すような映像処理で表現しているのかなと何とか想像がつく程度です。
こんなゲームをプレイしてキャラクターのバックボーンを理解することでようやく演出の意図のようなものが見えてくる癖のあるOPアニメーションを手掛けた人がTVアニメ化も担当すれば、なるほどこんな奇っ怪な作品になるんだなと納得してしまいます。
平尾監督の演出タッチを手っ取り早く味わいたいなら、コンテと(各話)演出両方担当しているアニメ版『進撃の巨人 シーズン2』の32話がおすすめです。
この回は『進撃の巨人』単体で見てもWIT STUDIOの作風のように見えるものの、『ゴッドイーター』を見て平尾監督の作風が馴染んだ状態だと、奇抜なスローモーションの使い方やカメラワーク、映像を巻き戻すような処理など、メチャクチャ平尾監督っぽい演出タッチなのが読み取れるようになり印象が激変します。
アニメ版の『ゴッドイーター』ならなら3話か5話、6話が面白く、特に3話が最も気に入りました。
3話は輸送機の上という奥行きのある空間を利用したアクションの殺陣や、ヒロインアリサのジャケットからはみ出る美しい下パイ、アラガミであるウロヴォロス種をまるでクトゥルフ神話の邪神のごとく描くコズミックホラーテイスト全開の遭遇シーンなど、見所が満載です。
中でも原作ゲームをプレイ中常に不満だったアラガミに貫禄があまりないという不満を解消してくれる、雲間から不気味なシルエットだけが見えるウロヴォロスの描き方は秀逸で、クトゥルフ要素を入れてあげるとアラガミに対して自然と畏怖の念が生まれるのかと大発見でした。
アニメ版はラスボスがそこまで巨大ではないヴァジュラ種なので、この3話のウロヴォロスの存在が全体を引き締めており、ここはセンスが良いなと思います。
後、何と言ってもアリサの下パイ描写が全編に渡り冴えています。やはりパンチラよりも下パイのほうが上品でエロいので、美少女アニメは下パイをもっともっと押していくべきだと改めて下パイの魅力を再認識しました。
最後に
ゲームの長所をあまり生かせていないという短所と、アリサの下パイの魅力は限界まで引き出せているという長所が同時に存在し、どちらを取るかで評価が劇的に変わります。
個人的にはアリサの下パイを堪能できたので大満足でした。
ゲーム版ゴッドイーター
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