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【スーファミ/PS】シンプルなRPGのお手本!? |『FF4 / ファイナルファンタジー4(PS版)』| レビュー 感想 評価

プレイ動画

評価:85/100
作品情報
ジャンル RPG
発売日(日本国内) SFC版:1991年7月19日
PS版:1997年3月21日
開発(デベロッパー) スクウェア
(現 スクウェア・エニックス)
開発国 日本

ゲームの概要

 
このゲームは、『ファイナルファンタジー』シリーズ4作目です。
 
1991年に発売されたスーパーファミコン(以下、SFC)版にダッシュ移動など、いくつかの追加機能を加え初代プレイステーション向けに移植されたバージョンです。
 
植松伸夫作曲の「これぞFF!!」という永遠不滅の音楽を中心に、様々な弱さを背負った者たちの織り成す人間模様、次から次に衝撃展開が連続する先が気になるストーリー、高難易度なため作業化しないバトルなど、シンプルさを極めたRPGのお手本のような完成度でした。
 
しかし、ラスボスなど一部の敵があまりに強すぎるため、攻略サイトを見ないとクリアすることすら困難など、ゲームバランスが著しく壊れている箇所もあります。
 

『FF4』を再プレイする理由

 
自分はスーファミ世代なため『FF5』や『FF6』はSFC版を何度もクリアした思い出があるのに、なぜか『FF4』だけゲームを所持して幾度もプレイしていたはずなのにラストがどのような展開になるのか一切の記憶がありませんでした。
 
このモヤモヤする気持ちを解消するため思い切って『FF4』を再度プレイすることに。すると、なぜ『FF4』だけストーリーに関する記憶が曖昧なのか理由が判明しました。
 
 
それは一部の敵が理不尽なまでに高難易度なこと
 
 
久しぶりに『FF4』をプレイし直すとあまりの理不尽さに終盤は攻略サイトを見ないとボスを倒すことが出来ず、ネットが存在しない子供時代はこれでクリアできずに詰んでしまったのだとようやく合点がいきました。
 
FF4について調べるとあまりにも高難易度すぎて、後に難易度を下げたイージー版が別に発売されているらしく、さすがにこれは子供の手に負えないと思います。
 

大人でも完全に詰む難易度なのに子供では無理です

 
4は一部のゲームバランスがいちじるしくぶっ壊れており、ラスボスに至っては頻繁に行う全体攻撃のたった一撃でパーティが全滅寸前に追い込まれるため「なにかの冗談だろ?」と途方に暮れ、自力クリアを諦めました
 
それ以外も、一部の敵が特定の対処方法を理解していないと即全滅する全体攻撃を使ってくる(例えば、バハムートはリフレクを使って攻撃を跳ね返さないと一撃で全滅)など、攻略の仕方が分かると簡単に倒せますが、分からないと詰むような箇所がいくつかあり自力クリアを目指す場合はハードルが異常に高いゲームになっています。
 

衝撃に次ぐ衝撃のストーリー

 
『FF4』を再プレイして驚いたのが、ストーリーがひたすらサスペンス展開で引っ張り続ける、海外ドラマや雑誌連載マンガに似た構造なことです。
 
次から次に衝撃展開があり、仲間が離脱したりまた復帰したりを繰り返すため、同じパーティで似たような戦い方を続けるというマンネリにならずプレイしていてまったく飽きません。
 
これは海外ドラマを知っている現在だからこそ気付けることであり、子供の頃はこのような視点でFFを見ることは出来ませんでした。
 
しかも、自分の年齢がこのゲームを作っている当時のスタッフの年齢を追い抜いたため『スタートレック』や『幼年期の終り』、『星を継ぐもの』、『2001年宇宙の旅』や、ジュール・ヴェルヌの月世界や地底を旅するSF冒険小説など、シリーズ全体を通して設定の元ネタであるSF作品が手に取るように理解できます
 
それゆえ、この頃のスクウェアのRPG(FFシリーズや『クロノトリガー』、『クロノクロス』、『ゼノギアス』など)はやたら人類の進化や文明に地球外生命体が干渉するという似た話が多いのかと腑に落ちました。
 

このゲームは、元ネタをあまり加工せずそのまま使っているため、どんなSF小説やSF映画に影響を受けたのか完全にモロバレです

 
この、仲間の裏切りや、敵の意外な正体が明らかになる先が気になるストーリーと、地底や月という未知の世界を旅する胸躍る冒険の魅力に、外惑星からやってきた知的生命体が絡む惑星規模の大きなスケールが合わさり、しかも停滞の一切ないテンポの良い語りで進行するため、今プレイしてもストーリーの魅力は色褪せません
 

基本は子供向けなので過度な期待は厳禁です

シンプルさを極めたFF

 

このゲームを一言でいうとシンプルさを極めたRPGといったところです。
 
バトルもダンジョンもキャラクターもストーリーも、全てがシンプルにまとまっており、突き抜けた魅力がない代わりに、プレイしていて一度たりとも退屈さを覚えることもありません。
 
バトルは標準的なFFそのものといったリアルタイム性を取り入れたATB(アクティブ・タイム・バトル)ですが、ゲージが溜まると行動が出来るというウェイトゲージが存在する5以降と異なり、このゲームはゲージが存在しません。そのためほとんどターン制バトルと変わらない速度でターンが回ってくるため、ゲージが溜まるのを待つという待ち時間が存在せず非常にバトルのテンポが速く感じます
 
この4をプレイすると分かるのが、以降のFFは色々な要素を足していくせいで徐々にシンプルさを失ってしまったことです。
 
行動が回ってくる速度が速く、通常の魔法も召喚魔法も待ち時間はほぼなく非常にスピーディなアニメーションで処理されるため、7(オリジナル版)のような召喚マテリアのムービーを1分以上見せられるといったバカみたいな不満は一切ありません。
 
成長システムは単にレベルが上がるだけでシンプルですが、レベルアップした際や、強力な武器・防具を装備するとダメージ量や被ダメージ量でしっかりと効果を実感できるため、レベルが上がるのは快感で、しかも武器・防具を新調できる喜びもラストのラストまでずっと継続します。
 
しかも、ダンジョンは謎解きなどのパズル要素はまったく無く、先に進めず迷うということが一切ない上に、貴重な武器・防具がそこら中の宝箱に入っているおかげで、宝箱への興味だけで十分ラストまで持ちます。
 
久しぶりに『FF4』をプレイして感動したのはまさにこのRPGとしての基礎部分の完成度でした。
 
常に先が気になる展開で興味を引っ張るため、ストーリーを進めることはいつも快感。
 
システム的には何も特別なことをしていないのに、難易度が比較的高めで緊張感があるため作業になり辛く、しかもテンポが良いバトル。
 
ほとんど一本道のシンプルな構造ながら、隠し通路で宝箱を発見する喜びに満ち、しかも宝箱の中身は貴重なものが多いため、より先へ先へ行きたいと思わせるダンジョン。
 
そして何よりも、心の弱さや嫉妬心など人の陰影を描く『FF4』の作風に完璧にマッチした植松伸夫の孤独がにじむ寂しげな音楽の魅力が加わることで、隙がまったく無い作品に仕上がっており今プレイしても中毒性が強いことに驚かされます。
 
個人的に、高難易度なためバトルに常に全滅の危険があり、移動時もバトル中も注意力が持続するという点が、他のFFシリーズに比べ作業化しづらい要因でした。
 
さらに、レベルが上がるとしっかりバトルが楽になるという実感があることと、武器・防具を新調すると厳しいバトルがやや緩和されるなど、難易度が厳しい分、強くなった際の効果が肌感覚で分かる点も非常にプラスで、FFシリーズはこの4のバランス感覚に回帰したほうがいいとさえ思います。
 

『FF7 リメイク』は敵が硬すぎてバトルが退屈なため途中でやめたのに、コチラはクリアまでほぼぶっ続けでプレイするほど熱中しました

 
一部の敵が異常に強いだけで、実は高難易度な仕様はゲームの楽しさという点においてはバトルの緊張感、レベルアップの喜び、武器・防具の性能の実感など、各要素の持ち味を活かす方向に働いており、4は今プレイしてもFFシリーズの中でも上位の面白さです。
 

最後に

 
クリアまでは約20時間ほど。地上・地底・月と三つのワールドマップが用意されているものの、寄り道がほぼないシンプルな一本道構造で、かつSFC版からダッシュ移動が追加され快適になったおかげでプレイ時間自体は非常に控えめです。
 
セーブやロード時間がかなり長めですが、そもそも初代PSのゲームは全体的にそのような傾向なので許容範囲です。
 
それ以外で気になったのは、キャラの隊列を変更した場合や、一部イベントの後に隊列の一番上の人物が移動時のキャラとして表示されなくなるという変なバグに遭遇し、何度もやり直したことくらいでした。
 
高難易度が悪さをして一部理不尽に感じる箇所もあります。しかし、全体的には難易度が高いことによりバトルやダンジョンの移動時に常に緊張が漂い、シンプルなRPGの割に集中力が途切れることもなく最後まで楽しくプレイできました。
 
無駄を排してシンプルさに特化すると何十年経っても色褪せないゲームになることがこのRPGをプレイすると分かります。
 

ファイナルファンタジーシリーズ

タイトル
ハード
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ファイナルファンタジーⅥ SFC
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