評価:70/100
発売日 | 2019年1月16日 |
話数 | 全2話 |
アニメ制作会社 | A-1 Pictures |
アニメの概要
この作品は、ライトノベルを原作とするTVアニメ『エロマンガ先生』のOVA版です。前半が山田エルフ、後半は紗霧が主役という2話構成となっています。
TVシリーズ版に比べるとアニメとしての完成度が大幅に後退しており、オマケのファンアイテムと割り切らないとややキツイ出来でした。
予算が無かったんだろうなぁ・・・
OVAなのでテレビシリーズよりも映像に磨きがかかっているのかと思いきやむしろその逆で、テレビシリーズの基準すらことごとく下回る内容にやや拍子抜けでした。
前半の山田エルフのエピソードはモブキャラの顔が全員のっぺらぼうで手抜き丸出しとか、ところどころ背景が露骨に殺風景すぎて画面が寂しい箇所が多いとか、ダメな邦画にありがちな感動を押し付けてくるシナリオが若干鬱陶しいなど、数々の問題を抱えてはいるものの、それでもまだOVAとしてギリギリ及第点という質は保っています。
しかし、後半の紗霧のエピソードに至ってはテレビシリーズの1話としてすら通用するかどうか怪しく、全編ムリやり時間を稼ぐだけの単調な描写に終始し完成度が極めて低くガッカリでした。
テレビシリーズで最も魅了されたラブコメのコメのほうを担うキレの良いドタバタ劇がほとんど描かれないのも物足りなさに拍車をかけます。どちらかというとラブ寄りなテレビシリーズ後半のヒロインの個別エピソードのような作りで、ここはしっくりきませんでした。
それに一部変更が加えられているものの、テレビシリーズのクオリティを基準で作られているOP・EDアニメーションをほぼそのまま使用するせいで「テレビシリーズってこんなに絵が安定して動いていたんだなぁ・・・」と比較してしまい、余計完成度の落差が際立ってしまいます。
しかも、テレビシリーズで最も異彩を放っていた紗霧の専属アニメーター制も廃止されており、キャラクターの細かい演技も普通の水準に落ち、『エロマンガ先生』でないと堪能できない魅力というものが非常に希薄でした。
最後に
OVAと言っても、『ガールズ&パンツァー』の『これが本当のアンツィオ戦です!』のようなテレビシリーズよりもさらに情報を凝縮し高密度かつ贅沢に仕上げたような出来ではなく、少ない予算を何とか無理やり騙し騙しこねくり回してこしらえたような強引さが目立つ、やや台所事情を察して気を使う一作でした。
余談
テレビシリーズ版ではまったく気にならなかったのに、『ソードアート・オンライン アリシゼーション』を見た後だと、主人公がキリト役の松岡禎丞さんで、同じラノベ作家である獅童国光がユージオ役の島崎信長さんなので、どうやってもこの二人が会話しているとキリトとユージオのやり取りにしか聞こえないという問題が生じます。
ラノベ原作アニメで、他のラノベ原作アニメを連想させられるという歪さは、A-1ピクチャーズのアニメを見ているとたまに感じる、この世界にはまるでラノベ以外の娯楽は存在せず、世界は全てラノベを中心に回っているかのような薄気味悪さが余計濃くなります。
エロマンガ先生シリーズ
リンク