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【PS2】装備をコーディネイトして戦う挑戦作 |『エヴァーグレイス』| レビュー 感想

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評価:55/100

作品情報
ジャンル アクション
発売日(日本国内) 2000年4月27日
開発(デベロッパー) フロム・ソフトウェア
開発国 日本

ゲームの概要

 
このゲームは、同じフロム・ソフトウェア作品で言うと『シャドウタワー』シリーズの流れを汲む、経験値やレベルという概念が存在しない装備依存のアクションゲームです。
 
ただ、フロム作品とは思えないほど難易度が低く、歯応えは一切ありません。
 
コーディネイトRPGというコンセプトのわりに、装備のデザインに魅力が乏しく、そもそも成長要素がないためRPGではなくただのアクションゲームです。
 
全体的にあらゆる箇所がパッとせずゲームとしては凡庸でした。
 

過去と現在が交差する時間差ストーリー

 
本作の異次元に隔離された消滅帝国リューベーンを冒険するという設定はロマンに溢れ、うまくやればいくらでも魅力を出せたと思います。しかし、設定に秘められた魅力ほど盛り上がらず中途半端でした。
 
フロム・ソフトウェアのゲームの割に硬派さや重みもなく、『エコーナイト』などでお馴染みのフロムお得意ホラースパイスも無く、ただ淡々とした無機質な世界があるだけで眠気を誘いたいのかと勘ぐりたくなるほどです。
 
ただ、男主人公と女主人公が置かれる時間がややズレており、この二つの視点がどのように交わるのか期待させる点は魅力的でした。
 

似たタイプのアイデアは『バイオハザード リベレーションズ2』のクレア編とバリー編ですね

 
終盤までお互いが同じダンジョンを時間差でスレ違い続ける展開は未来への期待を抱かせるには十分なサスペンス性を持ちます。なのに、合流したからといって物語が一切盛り上がりもしないところは硬派主義なフロムらしいところ。
 
ここまでドラマチックに持って行けそうな展開を無下に扱うのは何か物語的な盛り上がりを憎悪でもしているのかと勘繰りたくなるほどです。
 

退屈なコーディネイトと装備依存システムによる脱RPG化

 

本作は装備の着せ替え(コーディネイト)を基本コンセプトにしているものの、どれもこれも装備のデザインがぱっとせず外見が変わるという点に面白味の欠片もありません。ただ、単純な着せ替えはイマイチでもバトルが装備依存な点には僅かながら好ましく思えました。
 
フロムは成長要素(経験値+レベル制)に付随するレベル上げのための作業プレイや、レベルを上げればごり押しで先に進めてしまえるトライ&エラーの希薄化を回避したいという思惑が強く、その点装備交換によってゲーム性をコントロールする路線はフロムらしいと言えます。
 
しかし、難易度が優しすぎるため、それほど装備交換が効果的に機能していないのが本作最大の問題でした。敵の弱点属性を突かずとも適当に倒せてしまえるため最後の最後まで装備交換に必要性を感じません。
 

ただ、この点は続編の『エヴァーグレイス2』で凶悪なまでに強化されています

 
もっと装備交換しないとザコ敵ですら苦戦するバランス調整にしないとただの雰囲気だけのアクションゲーム止まりで、あまり意味があるとは思えません。
 

極悪なカメラ操作が終始ストレスの元に

 

本作のアクションゲームとしての最大の欠陥は極悪なカメラです。何を考えているのかカメラボタンを単純に押しただけではカメラが正面を向かず、微妙に長押しして初めてキャラの後方に回り込み正面を向くという癖のある操作性です。
 
この正面を向くのにボタンを長押しさせられる操作性はあらゆる局面でマイナスにしか働きません。
 
ただでさえカメラ位置が近すぎて視野が狭く敵が視認し辛いのに、カメラボタンを長押しするというあまり経験したことのない癖のある操作を要求され、高い確率でカメラがあさっての方向を向いてしまい、敵を正面に捉えるだけで苦労します。
 
このせいでバトル中は終始ストレスしか感じず、爽快さとは無縁でした。
 

最後に

 
クリアまで約9時間ほど。
 
システム的には装備依存なバトルなど好みな点もあるものの、極悪なカメラ操作が全てを台無しにしており、アクションゲームとしては非常に低レベルでした。
 

エヴァーグレイスシリーズ

 

 
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