プレイ動画
評価:75/100
発売日(日本国内) | 2011年1月27日 |
開発(デベロッパー) | BioWare |
開発国 | カナダ |
ゲームエンジン | Eclipse Engine |
ゲームの概要
このゲームは、バイオウェアの『マスエフェクト』シリーズ同様に選択肢で物語が分岐するスタイルのRPG『ドラゴンエイジ』シリーズの一作目です。
海外RPGらしい会話選択肢により物語が分岐する自由度の高さと、『ファイナルファンタジー12』のガンビットに影響を受けたような国産RPGのバトルの面白さをハイブリッドしたRPGとなっています。
RPGとしてそこまで突出した魅力はありませんが、物語もバトルも及第点は確実に取る手堅い完成度でした。
苦手なマルチルート・マルチエンディング
本作は海外のRPGが好む、選んだ会話選択肢により仲間が裏切って敵になったり、どの勢力の味方をするか選ばされたり、エンディングが変化したりと、マルチルート・マルチエンディングがベースの作りとなっています。
自分は物語というものは長期連載の漫画や結末を決めないで始めるサスペンスドラマなどを除いて、絶対に覆せない一つの結末があることにより全体が締まるという考えなのでマルチエンディングというものが根本的に好きではありません。
それに、マルチルートやマルチエンディング型のシナリオにありがちな、選択によってルートが分岐する際に話が破綻しないようにあらかじめ予定調和的な区切りのようなものがイベントの前後に付けられるのが物語的なリズムをぶった切る要因になっており苦手です。
一本道なため強力に引っ張り続けられるシナリオと、選択肢が存在するためどの選択肢を選んでも破綻しないようにバランス調整されているこじんまりとしたシナリオだと一本道の強引さを好いてしまいます。
しょせん置き換え可能な程度の設定をそこらに配し、そこに誰(何)を配置するか、プレイヤーが選んでいるようにみせかけて実はただ単に選ばされているだけのマルチルートやマルチエンディングにはまったく興味がありません。
加えて、シナリオの起伏ではなく、海外のRPGに多い世界観のディテール掘り下げ系(架空の歴史の作り込み)をメインにした『指輪物語』タイプなことも展開の凡庸さに拍車を掛けており物足りませんでした。
選択肢によって展開が変化する面白さを提供したいのであれば、このようなディテールを彫り込みプレイヤーに口述で説明したり、劇中の書物で読ませたりするタイプよりも、もっとストーリーのうねりを体感させるような、物語を言葉で語るのではなく肌感覚でプレイヤーに訴えるような作り方のほうがしっくりくると思います(クインテットの『天地創造』のような感じです)。
リアルタイムバトルに見せてエンカウントに近い敵配置
本作は敵がダンジョン内をうろついているのではなく、特定の場所でエンカウント的に戦闘が発生するため『クロノトリガー』っぽいなという感想を抱きました。
それに、一戦一戦、敵の配置や種類に応じて細かく戦略を変えなくてはならないのはシンボルエンカウントに近い印象を受けます。
ほぼ一本道に近いダンジョンの中で戦闘を強要されるため窮屈さは否めません。ただ、その分リアルタイムバトルにありがちな先程手こずった敵と再戦したらなぜかあっさり倒せてしまうなど、非常に大雑把な戦闘バランスは避けており、一戦一戦に確かなこだわりが感じられます。
誰を先に倒すか、どのタレント(技のようなもの)を使うか、味方をどう守るのか、作戦をどう設定するか、それにやはり適度な運要素などで戦いの結果が決まるため、一戦一戦のバトルが計算されている満足感があり退屈しません。
エンカウント型のゲームで生じる同じ構成の敵パーティと延々連戦させられるというマンネリを避け、かといってリアルタイムバトルの大雑把さも回避できており、バトルは非常に完成度が高く最後まで飽きませんでした。
このアクション要素はあるものの、反射神経を要求されるタイプではない準アクションRPG型で、アクションの爽快感よりも敵に応じたセッティングの楽しさに軸を置いたタイプである点も自分好みでした。
派手さはないものの手抜きも一切無く、バトルに関しては及第点の面白さでした。
不完全なガンビット
まずバトル周りで不満だったのは、オートで行動する味方キャラクターの細かい行動ルーチンを設定出来ないことです。パーティの行動ルーチンを自分でセッティング出来る部分は『FF12』のガンビットを想起させ非常に好みなのに、いかんせん痒いところにまったく手が届かず物足りなく感じる点も多くありました。
条件を設定しその条件を満たすと特定のアクションを取るという部分はほぼガンビットなのに、この条件というものが非常に少なく、高度な作戦を設定したくても出来ません。
気絶(死亡のような状態)した味方を復活させたくても気絶した味方をターゲットにする条件が無いなど、条件に設定できる項目がきちんと完備されていません。
結局回復アイテムを大量に生産で作成し、自分や味方のHP・MPが減ったら使いまくるという設定にさえすればどんな敵でもある程度はゴリ押しで倒せてしまえるため、ただの戦闘中の回復管理システムになってしまっている感すらあり『FF12』のガンビットの圧倒的な楽しさに比べると見劣りします。
最後に
クリアまで約29時間ほど。
特にコレといって不満もない王道ファンタジーなストーリーと、戦略性の高いバトルと、どこを取っても及第点で最低限は楽しめます。
しかし、どこに注目してもそこまで突出した面白味や斬新さもないため、手堅くまとまっているだけで突出した魅力には欠けます。
ドラゴンエイジシリーズ
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