プレイ動画
評価:80/100
ジャンル | ハクスラアクションRPG |
発売日(日本国内) | 2014年1月30日(PS3版) |
開発(デベロッパー) | Blizzard Entertainment |
開発国 | アメリカ |
ゲームの概要
この作品は、ハクスラRPGである『ディアブロ』シリーズの3作目です。PC版からの移植で、操作周りやUIが家庭用ゲーム機に向けて改良されています。
設定は2作目から繋がっていますが、ストーリーの魅力が売りのシリーズではないため、別段過去作をプレイしていなくても問題ありません。
ゲーム性は、高難易度で歯応え抜群だった2とは異なり、3はアクション寄りで爽快感重視の方向性にシフトしています。
個人的には良くなった箇所と改悪した箇所で、改悪のほうがやや勝っており、2ほど魅力を感じませんでした。
PCゲーム用からコンシューマゲーム用のUIになり、手首への負担が大幅に軽減
本作はPC版からの移植が丁寧で、キー数が多めで煩わしい部分を簡易化し、ゲームパッド用への最適化がされています。
このため、キーボード+マウスでの操作を前提としていた2(や3のPC版)からゲームプレイの快適さが段違いに上がりました。
初代『ディアブロ』もPSに移植されていますが、あちらはパッド操作に無理矢理合わせただけで自然なキー配置になっておらずプレイに苦痛を伴いました。それに比べると今作のゲームパッドへの最適化は体感で操作しやすく不満はありません。
あまりにも中毒性が強すぎる2のやり過ぎで腱鞘炎が悪化した自分としては、ゲームパッドに最適化された今作の至れり尽くせりな快適さはプラスです。
緊張感よりも爽快感を重視した続編
今作をプレイし最も2との違いでガッカリさせられたのは戦闘中に死んでもデスペナルティが存在しないことです。まさにその部分のバランス設定に惚れていたため、これはほとんど『ディアブロ』という名前が付いただけの別のゲームをやっている気分でした。
例えると、『風来のシレン』ならダンジョン内でやられてもその場で何度も復活が可能、『ダークソウル』ならやられてもソウルを落とさず篝火にすら戻されずその場で復活できるようなものですね
2は戦闘で死亡することにペナルティを設けることで緊張感が持続しました。なのに、今作は死亡してもその場で復活でき、ペナルティも武器・防具の耐久率が減るだけという非常に甘いものでペナルティの役割を果たしてすらいません。
これは2と異なり、ペナルティで緊張感を持続させるよりも敵を薙ぎ払う爽快感に酔わせるというアクションゲーム路線への仕様変更のためで、ゲームとしてほとんど2と別物といっても過言ではないほど感触が異なります。
確かにアクションがど派手で広範囲攻撃が可能になったため大量の敵をスキルで薙ぎ払っていくバトルに一定の爽快感はあります。しかし、死亡時のペナルティが無い分どうしてもプレイが大味かつ単調になり、プレイ中に2ではありえなかった眠気を何度も覚えました。
この眠気は多少の探索要素があった2と違い、シナリオが完全一本道になったことと、ダンジョンが異常に長く平板なことも災いしており、かなり深刻でした。
ただ、戦闘が地味だった2に比べ、敵をど派手に薙ぎ払う快感は増しておりアクションゲームとしては進歩していると思います。
ですが、自分としては失った緊張感と手に入れた爽快感を天秤にかけると失った緊張感のほうがやや勝ります。
ホラー要素が後退
今作は、2にあった生理的な嫌悪感を催すようなグロテスクな造形の敵や、ギミックなどの雰囲気作りが後退しホラー風味が後退しました。
それに、前作よりも建造物(ダンジョン)が派手でバカでかくなったものの、バックボーンとなる世界観設定やシナリオがスカスカであまり効果を発揮できているとは思えません。
そもそも完全一本道でガチガチにプレイを縛り、プレイヤーに考える隙すら与えないため、今作のやらされている感は前作の比ではありませんでした。
目標を提示し、それをプレイヤーが自らの意志で遂行するというプロセスを省いてしまったため、2のほどよい探索(寄り道)の自由度と、しかしどこに行くのか迷うことはないという親切さのバランスが崩壊していると思います。
結果、自分が今どこで何をやっているのかが不明瞭なまま、機械的にクエストをこなしていくだけの味気ないプレイになりました。
2にはあった、マップを歩いていると知らず知らずのうちに高レベルの敵がいるエリアに迷い込んでしまい瞬殺されるといった不意の事態に遭遇するといった刺激もなく、『ディアブロ』とは思えないほど単調でした。
2に比べて優れている箇所
今作で良くなった箇所は、何といっても持てるアイテム量が2から飛躍的に増えたことです。
おかげで2で散々苦しめられた持てるアイテム量があまりに少なすぎて、アイテムを拾う際にいちいち拾うか無視するか考えなければならない悩みから解放されました。
売買に関する部分も、個別に装備を売却しなければならなかった前作と違い、今作は不必要な装備はジャンク品指定すれば、一括で分解したりショップに売却できたりという便利機能も追加され、2に比べるとアイテムを拾う→売却or分解するという流れがリズミカルになり快適性が大幅に向上しています。
次に、鍛冶屋で装備をクラフトする要素が追加されたこと。
新しい装備をクラフトする際には素材が必要で、その素材はマジックアイテム(スキル付き装備) を分解して手に入れなくてはなりません。
このため、2ではマジックアイテムを手に入れても、必要なければ全てショップで売って処分するのみだったのが、新しい装備のクラフト用にどれだけ弱いマジックアイテムでも素材に変換しリサイクルすれば価値が生まれるようになりました。
不満あれこれ
今作の大きな不満は、2では最重要アイテムだった、戦闘中に切れたら即死亡というポーションが取り回しも効果もオマケのような扱いとなり存在感が後退したことです。
これは死亡時のペナルティがほぼ無くなったためそもそも回復が2ほど重要でなくなったことと、攻撃行動に回復を組み込んでいるため、重要度が大幅に下がったことが原因だと思います。
今作のポーションは『バイオハザード6』のハーブタブレットすら連想させるほどあまりにも存在価値が薄すぎて少し不憫でした。
最後に
爽快感重視のハクスラアクションRPGとして割り切ると楽しい瞬間もありますが、個人的に好みのゲームバランスだった2のほうが遥かに好きです。
ディアブロシリーズ
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