プレイ動画
評価:65/100
ジャンル | ダンジョンアクションRPG+SLG |
発売日(日本国内) | 2000年12月14日 |
開発(デベロッパー) | レベルファイブ |
開発国 | 日本 |
ゲームの概要
この作品は、自動生成型のダンジョン攻略と、ジオラマを設置し街を再生させるSLG要素をハイブリッドしたアクションRPGです。
ダンジョンで回収したジオラマを配置することによって街を再生していくというアイデアを一つ入れることで、普通のダンジョンアクションRPGに新たな価値を付加出来ており、目の付け所にセンスを感じさせます。
しかし、アクションゲームとしてはカメラ操作が極悪で終始ストレスを感じ続けるなど問題が山積しており、決して完成度が高いゲームではありません。
優れたアイデアを持つのにうまくゲームとして生かしきれなかった惜しい作品でした。
あらすじ
長き眠りから復活した魔神の手により世界は滅亡の危機にさらされる。
魔神を再び封印するには月の民の秘術が必要だった。精霊王は魔神が秘術を知る者たちを殺害する前に、先んじてアトラ(簡易シェルターのような魔法の玉)にその者たちを隠すことで難を逃れる。
魔神を再び封印するため、月の民の秘術を求めて、世界中のアトラを解放して回る旅が始まる。
単調なダンジョンアクションRPGパート
本作は、ダンジョンアクションRPGパートとアトラ(ジオラマパーツ)を使って街を再生していくSLGパートが交互に繰り返されるという変わったゲームです。
ダンジョンは自動生成で毎回マップが変わる構造です。しかし『風来のシレン』のように強力な敵やトラップがあるわけではないため緊張感がなく、ダンジョン攻略には単調さが付きまといます。
それに、ダンジョンに潜る→アトラ(ジオラマパーツ)を回収するのくり返しなため、途中から否応にも作業感が強まります。
ダンジョンは種類が少なく、その上ダンジョン一つ一つの階層をやたら深くすることでボリュームを稼ぐという水増しがされており、ひたすら似た景色のダンジョンを攻略し続けていると早々に飽きが来ました。
快感を伴う武器カスタマイズの魅力
このゲームはキャラクターにレベルはなく、メインの成長システムは武器強化要素です。敵にトドメを刺し、経験値を溜めると武器レベルが上がり武器の能力が上昇します。
さらに、武器レベルが上がる際に武器のスロットに装着したアタッチメントの能力を吸収するため、アタッチメント分さらに上乗せ強化されるという仕組みです。このため、スロットにどんなアタッチメントを装着するかによって武器をどのように成長させるのかプレイヤーがある程度方針を決めることが可能となります。
攻撃力強化系のアタッチメントを吸収すると攻撃力が上がり、耐久力強化系のアタッチメントを吸収すると武器が壊れにくくなるといった具合です。
さらに武器が一定数まで強化されるとステータスブレイクといって、武器そのものを破壊しアタッチメント化させ、それを装着した次の武器がそのアタッチメントを吸収することで飛躍的に能力が向上するという、古い武器の強化分を新しい武器に引き継がせることも可能です。
この武器成長要素は与えるダメージ量が増えているのが一目で分かり、より強化したいという強い欲求が生まれます。
しかし、問題はステータスブレイクするとあっという間に武器の能力が上限に達してしまうため、ほとんどの敵がただのザコと化し、戦闘が作業になってしまうことです。
そのため、あまり武器を強化しすぎるとダンジョン攻略がザコをひたすら機械的に処理して進む単純作業化する羽目になります。特に遠距離攻撃系の武器が反則的に強く、ほぼ遠距離攻撃を連射し続ければ勝ててしまうというザルな調整で、あまりゲームとしての完成度が高いとは思えません。
ただ、耐久力の減った武器はあっけなく壊れてしまうため、どんな強力な武器を使っていても修理するタイミングを計るのに神経を使い、一定の緊張感を保ち続けるのは唯一の救いでした。
ジオラマ都市を作るSLGパート
ダンジョンに潜りジオラマパーツを回収し、それらを組み合わせ更地となった街を再生していくのがSLGパートです。このパートは、建物にジオラマパーツをくっつけて完全な建物を復元し、それを更地に設置してくという流れとなります。
ただ、この建物にジオラマパーツをくっつけるという作業は、家主に自分の家に足りない箇所を聞く→言われたものをただくっつけるのくり返しでかなり作業的です。
もっと家主の発言からどんなパーツを欲しているのかプレイヤーにある程度推理させたほうがゲーム性がより出たと思います。
街を再生し終えると、今度は街の人の理想的な街の環境リクエストを聞き、リクエスト通りにジオラマを設置していくというパズル的なオマケ要素がありますが、ハッキリ言って街の再生よりもこのオマケ要素のほうが良くできたパズルゲームのような作りでより楽しめました。
街の人の要望をすり合わせていき、どのように狭い場所に建物を設置していくのか悩まされるという、この部分こそをSLGパートの軸にして欲しかったくらいです。
ただ、このゲームのメインはダンジョンアクションRPG部分なので、こちらのジオラマを並べて街を再生するパートは話を先に進めるためのイベント的な側面や、パワーアップアイテムの入手が目的で、単体のゲームとして成立するほどの魅力はありません。
そのため、どうしても強制的にやらされている感が付きまといます。
絶望的なほどカメラ操作がダメダメ
本作の最大の欠点はカメラの視点移動に難がありすぎることです。
常に何かに引っかかるような感じで自由自在にカメラが動いてくれず、ただ向きたい方向にカメラを向けるだけで苦労します。
ダンジョン内では敵を視認しづらく、街中ではちょっとしたジオラマの調節やパワーアップアイテム探しであたりを見渡す際に不便だしと、あらゆる場面でゲームプレイの足を引っ張り続け、最大のストレス源でした。
この動かすことそのものがストレスでしかないカメラ操作の不便さが、本作をアクションゲームとしては二流に貶める最大の原因となっています。
最後に
クリアまで約25時間ほど。
全体的にゲームのテンポが悪く、痒いところに手が届かない不親切さだらけと、不満が多めな内容です。
それでもジオラマを作り街を再生させるというコンセプトには多大に惹かれるものがあり、嫌いにはなれません。
続編
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