発光本棚

書評ブログ

発光本棚

【スーファミ】何度でも青春をやり直せる人生ゲーム |『大爆笑!!人生劇場 ドキドキ青春編』| レビュー 感想 評価

プレイ動画

評価:85/100
作品情報
ジャンル ボードゲーム
発売日(日本国内) 1993年7月20日
開発(デベロッパー) アクトジャパン

ゲームの概要

 
このゲームは、人生で起こる様々なイベントを体験するすごろくゲーム『大爆笑!!人生劇場』の続編です。
 
前作は赤ん坊から老人まで人の一生を6つのステージで体験するという形式でしたが、今作は期間が中学・高校生活の6年間のみに限定されています。
 
自分の番が回って来る度にルーレットで駒を進めるというゲームの基本部分のみが共通で、それ以外の全ての要素が変更され、ほぼ別物のゲームとなっています。
 
前作にあった欠点はほとんどが改善されており、止まったマスで発生する人生イベントはより過激にバカバカしさが強化され、ステータスの種類が増えたことでリプレイ性も遙かに向上するなど、続編として飛躍的な進化を遂げています。
 

このドキドキ青春編は自分が小学校の6年間で最もくり返し長時間プレイしたゲームで、全てのマスで発生するイベントと選択肢によって生じる結果を完璧に暗記するまでやり込みました

勝ち負けを競い合うすごろくから人生ゲームへと変貌を遂げた続編

 
この青春ドキドキ編が前作と決定的に異なる点が勝ち負けを競い合うことを主眼とするすごろく形式のゲームから、面白おかしく青春を過ごすという気楽な人生ゲームへと変貌を遂げたことです。
 
前作は6ステージを戦い、最も所持金が多いプレイヤーが勝ちというお金の多い少ないだけで勝敗が決まる窮屈な内容でした。しかし、今作は勝敗はあるにはあるものの“人生けいけん“ポイントという様々な条件で上昇するポイントを競い合う形式に変更され、より自分が好ましいと思えるプレイスタイルを選択できます。
 
例えば、力のステータスが高いと運動会で一位を取れポイントが貰えるとか、知力のステータスが高いとテストで良い成績を取れポイントが貰える、恋人とのラブラブ度が高いとクリスマスのデートでポイントが貰えるなど、どんなプレイスタイルを選択しようと何かしらポイントを付与されるチャンスが与えられ、お金に縛られるだけだった前作とはプレイの幅が段違いに広がっています。
 

その他、お金を貯めてハワイ旅行に行くとか、ランダムで決まる流行のファッションアイテムを所有しているなど、どんなプレイスタイルでも何かしら理由を付けてポイントが貰えます

 
この、お金を多く稼いだプレイヤーが勝ちという縛りが多いルールから、自分なりに人生を楽しく過ごせばそれで良いというユルい方向に舵を切ったのは本当に英断だと思います。
 

もちろん、人生けいけんポイントをひたすら稼ぐという勝ちにこだわるプレイも可能です。ただ、ポイントを稼ぐような縛りの多いプレイより好き勝手に青春を謳歌するというユルいプレイスタイルのほうが圧倒的に楽しめます

ステージ制から固定マップへ

 
前作からルールが変更されたことでステージ構成も別物に変わりました。
 
前作は、ステージが6つあり誰か1人でもゴールすると次のステージに強制的に移るというすごろく形式のルールでしたが、今作はステージ制そのものが廃止され一つの大きなマップをグルグル周回し続けるというスタンダードな人生ゲーム風の作りになっています。
 
この、ステージ制を廃止しマップを一つにするという選択を取ったおかげで、“学校のマス(授業)”とか“放課後のマス(塾、部活)”、“アルバイトのマス”のように一つ一つのマスに個性が生まれました。
 
しかも、前作よりマスの数が減った代わりに一つ一つのマスで発生するイベントは濃くなっています。
 
さらに個人的に最も前作から改善されたと思う点が、ルーレットで止まったマスで起こるイベントがプラスかマイナスかその都度ランダムで決まるようになったことです。
 
前作で何が退屈だったかと言うと、止まるマスによってプラスのイベントとマイナスのイベントか最初から確定していることでした。
 

前作は、青のマスはマイナス、赤のマスはプラスと見た目から起こるイベントが確定しています

 
そのため、ルーレットでマイナスのマスが出た瞬間、イベントなんて見なくても結果が分かってしまい憂鬱な気分になるという重大な欠陥がありました。
 
しかし、今作から同じマスでもイベントがランダムで決まる方式になったためこのストレスが解消されています。例えば、学校のマスに止まってもアタリの教師の授業でステータスが上昇することもあれば、ハズレの教師の授業でステータスが下がることもあります。
 

 
そのため、実際にイベントを見るまでは止まったマスの結果がどっちに転ぶか分からずギリギリまで期待と不安が入り混じり緊張が持続してくれます。
 

このゲームをプレイすると、すごろくゲームで最も大切なのは止まったマスで発生するイベントが最初から確定しておらずランダムになっている点にあるということがよく分かります

 
さらに、特定のマスではプレイヤーが行動を選択することも可能で、放課後のマスに止まった場合、塾で勉強し知力を上げる、部活に行くなど、ある程度プレイヤーが自由な行動も取れ、特定のステータスを上げることを重視する育成シミュレーションゲーム的な楽しみも加わっています。
 

 
この育成シミュレーション要素がより強化されたことによってリプレイ性も向上し、くり返しプレイにも耐えられるようになりました。
 

これのおかげでスポーツ万能でケンカが強い肉体派を目指すとか、秀才な学級委員長タイプを目指すなど、毎回違う人生を送れるため何周も出来ます

 
このように、何から何まで前作とは比較にならない進化を遂げており、続けてプレイすると同じシリーズとは思えないほど楽しさが劇的に向上しています。
 

笑いも進化

 
大爆笑!!とタイトルに付いている通り、このシリーズはユーモラスな作風を売りにしていますが、前作はその部分が見るも無惨な出来でした。
 
しかし、今作は人生イベントに笑いの基本であるフリとオチがきちんとあり、コントのように安心して見ることができます。
 
この笑いの質が向上したことでくり返しイベントを見ても飽き辛くなっており、ゲームの満足度に大きく貢献できています。
 

そこはかとなく『ダウンタウンのごっつええ感じ』のコントの雰囲気が感じられます。ダウンタウンブームの影響で笑いの質が向上したのでしょうか?

難易度が調整できない&四季のイベントが弱い不満

 
このゲームで最も不満なのがあまりにも簡単すぎて歯応えがないことでした。
 
適当にプレイすると無理ですが、最初から人生けいけんポイントだけ狙ってプレイする分には楽に優勝できるため、せめて難易度の選択くらいは欲しかったです。
 

ひたすら力の数値を上げ、他のプレイヤーからケンカでポイントを奪い取れば簡単に勝ててしまいます

 
それと、難易度に比べると微々たる不満ですが、四季の移り変わりがある割に冬系のイベントがあまりにも少ないことです。どちらかというと夏のイベントが豊富でそれ以外の季節の印象が弱く、季節の移り変わりをイベントそのもので体感できないのがやや寂しく感じます。
 

おわりに

 
一回のプレイは約2時間~2時間30分ほどで終わります。このプレイ時間は物足りないですが、前作同様に途中で中断が不可能なのでこれ以上長くなってもそれはそれで支障が出るためやむを得ないといったところです。
 

前作ではプレイ人数を自由に決められたため時間がなければ参加人数を絞ることで調整できましたが、今作は参加人数が4人で固定なのでこれ以上プレイ時間を短縮することは出来ません

 
このゲーム自体はメチャクチャ楽しいのですが、1年が6ターン(5月・7月・9月・11月・1月・3月)しかないため、6年間という期間があっという間でもっと長時間遊べれば最高でした。
 
中学・高校生活の6年間に期間を限定したことで、勉強や運動、部活、恋愛と育成シミュレーション要素がより際立つようになり、前作とは比べものにならないほど楽しさが向上しています。
 

このゲームに関しては個人的な思い出補正があまりにも強すぎて客観的な評価が一切出来ません。今回久しぶりにプレイし直してもプレイ中一瞬たりとも退屈と感じることはありませんでした

 
さすがにスーファミのゲームなので今プレイすると古くさいですが、運で決まる要素とプレイヤーが行動を選べる自由さの塩梅が素晴らしく、もどかしいけどそれがまた良いというデジタル人生ゲームの醍醐味が堪能できます。
 

音楽を記録するメディアがCDですらなくアナログレコードなのは時代を感じさせます

大爆笑!!人生劇場シリーズ

 
TOP