
システム紹介
評価:80/100
ジャンル | サンドボックス |
発売日(日本国内) | 2016年1月28日 |
開発(デベロッパー) | スクウェア・エニックス |
開発国 | 日本 |
ゲームエンジン | PhyreEngine |
ゲームの概要
この作品は、『ドラゴンクエスト』シリーズをモチーフとしたサンドボックスゲームです。
ストーリーは初代ドラクエのラストで、勇者が「世界を半分やるから仲間になれ」という竜王の提案を受け入れてしまったため荒廃したアレフガルドという設定で、それを理解しているとこの作品への捉え方が変わります。
シリーズの歴史そのものが最大の武器であるドラクエの利点を生かし、サンドボックスへのハードルを極限まで下げて見せた最高のサンドボックス入門作品でした。
自由度を捨て親切さを選んだ、サンドボックス入門ゲーム
自分は指示待ち人間体質なのか『マインクラフト』も『テラリア』も、この手のあまりにも自由度が高すぎる、目標設定がないゲームはほぼ例外なく肌に合わずプレイ開始数時間程度で飽きます。
それなのに、本作は飽きるどころかドハマリしました。
それは、最初から最後までプレイヤーを突き放すことがなく、徹底して指示を出し続けてくれるためです。
どんな物を作るのか、どのように配置するのかもほぼ指示通りに行わなくてはならず、マインクラフトというよりもどちらかというと『ダーククラウド』や『ダーククロニクル』のジオラマパートを思い出します。
好きなものを自由に作るという趣旨の割に終始おつかいゲーム特有のやらされている感が付きまといますが、それでもいきなりサンドボックス世界という暴力的な自由度が法の荒野に放り出され、挫折してきたことに比べたら数段マシです。
プレイする前は漠然と『マインクラフト』のようなゲームが好きな人を狙っている作品なのかと想像していたら、プレイすると印象は真逆でむしろ極端に高すぎる自由度を負担と感じる自分の様な人間こそをターゲットにしているのだということに気付けました。
ドラクエとの思い出が触媒として作用
本作の全てがボクセル(サイコロの様な形のブロック)で表現される景色は、最初は見知ったドラクエの世界とはかけ離れており違和感もありました。
しかし、プレイしているとすぎやまこういち音楽力が半端ではなく、音楽が醸し出す濃密なドラクエの空気で違和感はかき消されます。
このゲームは、ドラクエシリーズをプレイしてきたプレイヤー側の記憶を最大限活用するように作られており、アイテム名はやくそうやこんぼう、かわのたてといったお馴染みのもので初めて目にする大量のアイテム名や素材名をわざわざ覚える苦労を軽減してくれます。
この部分もプレイヤーのドラクエ知識を最大限活用し、サンドボックスゲームへのハードルを下げる手助けをしており好ましく感じました。
主人公に語りかけてくる精霊がしきりに「あなたは勇者ではない」という意味深なメッセージを発し、それは普通のゲームならさほど響かないようなセリフでも、ことドラクエともなると不穏に残響し、この手のサンドボックスゲームには決定的に欠けている物語性が色濃くなります。
「30年以上の歴史を誇るドラクエをなめるなよ!!」
という、シリーズの歴史の積み重ねと、プレイヤーの記憶の蓄積を最大の武器として行使するスタンスが非常に効果を発揮しており、自分のようなサンドボックスが苦手な人間でもすんなり世界に馴染ませてくれます。
不満あれこれ
プレイ中は基本時間を忘れてしまうほど楽しいものの、システム的には問題が山積しています。
まず、ドラクエシリーズ特有の心地よい作業感を伴う要素をお金稼ぎやレベル上げ(RPG的な成長要素)からクラフトに変えたことはまだ良しとして、問題は非常に退屈なリアルタイムアクションバトル部分です。
武器を振るアクションが退屈な上に、武器の種類が近接武器のみで、ほぼ最初から最後まで同じような武器を振り続けるため飽きやすいです。
それに、敵を倒しても経験値ではなくアイテムやクラフト素材しか入手できないため、後半使えない素材しか落とさない敵は倒す意味もないため邪魔でしかありません。
出来ればもう少し敵との戦闘に報酬を増やすか、プレイヤーが自分の好みの戦い方が出来るように剣だけでなく槍や斧やムチや魔法といった武器・攻撃バリエーションを増やして欲しかったです。
ただ、『テラリア』など他の似たようなゲームをプレイした後だと、武器がアイテムとは独立して存在しているため、武器交換が十字キーだけで簡単に行えラクチンな点は評価できます。
その他にも、洗練されておらず使い勝手の悪いインターフェースや、ブロックを設置する際に置きたい場所に中々置かせてくれないもどかしい操作性の問題も深刻でした。
加えて、せっかくブロックを自由に積み上げられるのならそれをしっかりダンジョン攻略に落とし込んで欲しいとか、街が狭すぎて章の最初とラストでそれほど絵的に変化もなく街が再建されたという達成感が出ないなど、プレイしている最中はあらゆる細かい部分に不満たらたらです。
しかし、それらを凌駕する本作最大の問題は、全4章でそれぞれの章が終了すると今までやってきた作業が全てリセットされ次の章に移るというゲームの作りです。
最初はこれを知らずにプレイしていたので、1章が終わり2章に移ると今まで作ってきたものが次の章には反映されず、また同じことを一からやらされるという展開にかなり興が削がれ、プレイのモチベーションが激しく低下しました。
結局そういうものだと納得するしかなく、この章ごとに積み上げてきたものがリセットされモチベーションがぶった切られる感覚はマイナスでしかありません。
最後に
『マインクラフト』や『テラリア』を途中で断念したことによって抱いたサンドボックスゲームへの苦手意識が本作のおかけで綺麗さっぱり消え去りました。
このような、ドラクエという歴史ある作品の設定や世界観を利用して取っつき辛いジャンルへのハードルを下げるという試みは大賛成です。
ドラゴンクエストシリーズ
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