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【PS4】スクウェア色の濃い新鮮なドラクエ!! |『DQ11 / ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて』| レビュー 感想 評価

トレーラー

評価:90/100
作品情報
ジャンル RPG
発売日(日本国内) 2017年7月29日
開発(デベロッパー) スクウェア・エニックス
PS4版:オルカ
開発国 日本
ゲームエンジン Unreal Engine 4

ゲームの概要

 
この作品は、『ドラゴンクエスト』シリーズの11作目です。ストーリーは1・2・3のロト三部作と絡んでいますが、ロト三部作を知らずとも特に問題はありません。
 

ただ、知っているとラストの感動がぐっと増します

 
最新のゲームに比べると古くさいゲームデザインな上に、移動時間がやたら間延びして単調と、いちRPGとしては問題が多くあります。
 
しかし、テンポの良いターン制のバトルや、最新のゲームエンジンによって実現したシリーズ屈指のグラフィック、ドラゴンクエストシリーズ全体の印象を強化するような感動的なストーリーなど、短所を上回る長所を誇り、シリーズの中でも屈指の傑作でした。
 

手づくりの温もりと高性能ゲームエンジンの馬力の共存

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本作で最も印象深いのは温かみがあり見ているだけで癒されるフィールドの景観です。明るく優しい色彩の風景にいちいち魅了され、エリア移動の度にスクリーンショット撮影を繰り返す行為が自然と習慣化してしまいました。
 
 

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グラフィックの質だけ比べたら他に綺麗なゲームはいくらでもあるものの、ドラクエの場合はリニア型であることを最大限に利用しエリア移動して最初に絶景が目に飛び込んでくるよう計算されており、この高揚感は他作品では味わえない類の感動があります。
 
フィールドの景色に癒されるという長所は、移動時だけでなく敵シンボルとエンカウントしたエリアがそのままバトルフィールドになる戦闘にも好影響をもたらしており、鮮やかな風景に見守られながらの戦いはこれまでのドラクエとは一線を画する贅沢さでした。
 
シリーズではお馴染みのすでに見慣れた敵モンスターのデザインも、3Dのモデリングが丸っこくぬいぐるみの様で愛嬌があり、モーションも非常に細かく作り込まれ動きに命が宿り、古臭さや人工感が微塵もありません
 
30年以上敵モンスターのデザインが変わらない、安定性重視の保守的な印象の強いドラクエで、敵モンスターが新鮮なものとして目に映るというのは衝撃的でした。
 
総じて人の温もりを色濃く残したほうが印象が増す部分と、テクスチャやライティングなどのゲームエンジンの力に頼って大丈夫な箇所を見極めるバランス感覚が抜群に冴えており、新しい時代のドラクエ美術が堪能できます。
 
ドラクエのようなすでにシリーズとしてピークを過ぎ過去の名作というイメージが強かった国産RPGでも、まだまだ努力と工夫次第で貫禄を取り戻し世界中のライバル作品に対して余裕で勝負を挑めるという事実を見せ付けられ勇気を貰えました。
 

『ファイナルファンタジー10』フォロワーとなった低難易度バトル

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バトルはFF10を彷彿とさせるウェイト制(基本すばやさが速い順にキャラ単位でターンが回ってくる)と、控えキャラクターとの交換を採用したターン制バトルで、そつのない非常に堅実な作りでした。
 
バトルそのものは古風で正直PS2レベル(もしくはそれ以下)でしかありません。しかし、古さを感じさせないバトル演出(かいしんの一撃が出ると画面が気持ちよく揺れる)や、キャラの細かいモーション、小気味よい攻撃テンポ、そして何よりも美しい風景をバックに戦えるビジュアルの豪華さはシリーズでも随一です。
 

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ただ、どうしても同じくターン制バトルを採用している『ペルソナ』シリーズ(3以降)のような敵に応じてペルソナを交換しながら相手の弱点を突いて立ち回るといった戦略性も無く、バトルは強力な全体攻撃をひたすら連続して放つか、バフ(一時的なステータス上昇効果)をかけ続け特定のコマンドを繰り返し入力するだけでなんとかなってしまい、作業化しやすいです。
 
それに、そこら中にHP・MPを無限に回復できるキャンプポイントが存在する点も、MP消費の激しい強力な攻撃だけ繰り返せばいいという状態に拍車をかけ緊張感を削いでいると思います。
 
FF10を意識してか、各キャラに得意な敵種族(特定の種族へのダメージを強化するとくぎなど)を設定し、バトル中のキャラ交換を促しているものの、ドラクエシリーズの中でも突出して低難易度調整なため、歯応えがあるボス以外は楽勝であまり魅力を感じませんでした。
 
それに、繰り返しのコマンド選択の煩わしさをなんとか軽減しようと、各キャラのコマンド選択をオート設定にするとAIが無駄にMPを消費する非効率的なコマンドを選ぶことが多く、とにかくゲームをやっている最中ずっと「FF12のガンビットシステムが欲しい!」と、もどかしく感じました。
 
せめてガンビットでパーティの行動ルーチンを全部自分で管理できれば、低難易度で緊張感不足なバトルでも、状況に応じてキャラに思い通りの行動を取らせるという別の楽しみも生まれたと思います。
 
レベルアップの際に入手できるスキルポイントでスキルパネルをオープンしていく成長システムも、武器や防具・アクセサリーをクラフトする要素も、結局低難易度でゆるゆるなゲームバランスのゆるさがさらに増すだけで存在感が薄く感じました。
 
劇的に進化したグラフィックの恩恵を受け見た目は豪勢で攻撃のテンポも良いため決してつまらないということはないですが、どうしてもバトルは低難易度調整に足を引っ張られ、ドラクエシリーズらしい最初はあんなに手こずった敵をレベルを上げ、強力な装備を入手したら楽に倒せるようになるという成長の快感が欠けておりパンチ不足でした。
 
全体的に低難易度化の影響でバランス調整が大味で、もう少し装備を新調できる際の喜びや、レベルが1上がるだけで厳しかった戦闘がやや楽になるという、抜群のバランス調整を売りにするドラクエらしさを味わいたかったです。
 

アイデアベースでなく、ボリューム優先ゆえの単調さ

 
本作をプレイしていて、単純に受ける感触が一番近いと感じたゲームは『テイルズ・オブ・エクシリア』です(バトルシステムは除く)。
 

 
ダンジョンに複雑で手間取るパズル要素を一切置かずにサクサク進むテンポを実現している点や、序盤でルーラを覚え世界中どこでもノーリスクでワープし放題な作りなど、ストレスを徹底排除する作りはエクシリアを彷彿とさせる要素が多めです。
 
エクシリアシリーズはFF10のテンポの良さに多大な影響を受け、この作品もFF10のエッセンスをドラクエに吸収しようとしている節があり、多分根っこで目指している方向性が似ているための現象だと思います。
 
本作はゲームとしてのポテンシャルは高く、テンポも良くサクサク進むためプレイしていて楽しいは楽しいものの、どこか熱中し切れず、プレイ中に休憩を挟む回数が多かったり、酷いときは眠気に襲われて中断したりと、あまり長時間集中力が持続してくれません
 
エクシリアもまさにこれと似たような状態で、サクサク進むだけで街もダンジョンもただ素通りしているような手応えの無さでした。
 
その最大の原因は舞台となる場所をアイデア先行で作っていない点だと思います。
 
火山エリアなら溶岩が道を塞いでいて流れを変えないと先に進めないとか、雪山エリアなら視界が悪くホワイトアウトして自分のいる地点を見失ってしまうとか、舞台となる場所の過酷な自然環境そのものをゲーム性に組み込んでおらず、草原も雪原も砂漠も火山も全部同じ感触なため、飽きが来るのが早いです。
 
この場所はこのような特色があるから、こんなアイデアを盛り込もうとか、もしくはこんなゲーム体験を味わって欲しいからこのような環境のエリアを作ろうとか、作り手側のフィールドに込める主張が希薄なため、イマイチ引っかかるものがありません。
 
それに、ダンジョンのパズル性はテンポを殺すため排除したいという気持ちは理解できるものの、バトルや成長というRPG属性のシステムに対して、パズル要素はシミュレーションやアドベンチャー属性のシステムなので、これを抜いてしまうとひたすらRPG属性のみで手数が足りず、単調さを避けられません。
 
それにくわえ、異なる自然環境ごとに特殊な操作やルールを要求してくるというアイデアはそのまま舞台演出に繋がるため、これがないとエリアが無個性に感じてしまいます。舞台設定と絡まないパズルのためのパズルは不要ですが、舞台となる場所の個性を際立たせるための要素は多少盛り込んでくれないと綺麗な景色だけではさほど記憶に残ってくれません。
 
旅や冒険という多少の苦労が必要なものを快適にしようとするあまりのっぺりとした手応えで、最低限「あの場所はこんな苦労があったなぁ・・・」という思い出に華を添える程度のアイデアは欲しかったです。
 
旅や冒険を疑似体験させるため、溢れるアイデアを欲張ってあれもこれも詰め込んでいったら結果的に膨大なボリュームになった・・・というより、単にボリュームを確保するという目的ありきでゲームとして割り切って作ってしまうという姿勢がエクシリアと同じ単調さを招いたのだと思います。
 
旅や冒険へのワクワク感が先にあり、それをどうゲーム体験に落とし込むのかのアイデアが大事なのにその大切な部分が欠けている気がします。
 
昔のRPGは標高の高い山を越える際のしんどさや、雪山を猛吹雪の中死に物狂いで登っていると頂上付近で山小屋を発見しそこで暖を取りほっと安堵する瞬間の喜びなど、旅人や冒険者をロールプレイするという感覚を非常に大事にしていたのに、それがないため寂しく感じました。
 

あらゆる不満を根こそぎ吹き飛ばすグランドフィナーレ

 
本作にはエンディングが二回あり、最初のエンディングはドラクエとしてはオーソドックスなタイプで、真に感動させられるのがドラクエシリーズでもダントツの余韻を誇る二回目のエンディングのほうです。
 
自分は今作と他のシリーズとの繋がりをまったく知らないままプレイしていたのでラストは衝撃でした。
 
この二回目の真エンディングは11という単体作品を飛び超えドラクエシリーズ全体への印象すら激変させるほどで「この物語ってそういう話だったんだ!?」と気付き、感動でエンディング中はずっと泣いていました。
 
クリア後はドラクエをより身近に感じられるようになり、ゲームをやる前と後では段違いなほどシリーズへの愛着が増します。
 
ドラクエ世界の一端に触れているのだと思っていたら、実は自分はすでにドラクエの歴史の一部になっていたという、作品と自己が一体化するような感覚は主人公がしゃべらないドラクエだからこそ響くものがあり唯一無二の体験でした。
 

最後に

 
一つ目のエンディングまで約45時間。二つ目の真エンディングまで(強力なボスを倒すためのレベル上げなども含め)約10時間。クリアまで合計で約55時間ほどです(カジノを何度もリセットしてやり直しているのでカウントされていない時間はもっと多いと思います)。
 
 

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ゲームが全体的に単調なことや、イベント場面で音楽がループし過ぎなことや、気合いを入れ過ぎて空回り気味なコミカルシーンが若干くどいなど不満も多々ありました。
 
ゲームとしての進歩と課題が両方目立ち、諸手を挙げて絶賛というワケではないですが、感激のエンディングが刺さり自分にとって非常に大切な一作になりました。
 

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