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【Steam】ホラーを手放しシューターに走った3作目 |『DEAD SPACE(デッドスペース)3』| レビュー 評価 感想

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トレーラー

評価:80/100
作品情報
ジャンル ホラーTPS
発売日 2013年2月5日
開発(デベロッパー) Visceral Games
開発国 アメリカ

ゲームの概要

 
このゲームは、地球外生命体により作られた謎の物体“マーカー”など、コズミックホラーの世界観が売りのホラーTPS(3人称シューティングゲーム)『デッドスペース』シリーズの3作目です。
 

マーカーは『ゼノギアス』や『ゼノサーガ』で言うとゾハルのようなものですね

 
キャラクター・ストーリーともに3作品とも繋がっており、3も2のエンディング後の話となっています。
 
機種は、PS3版やXbox360版ではなくPC版を日本語化してプレイしました。
 
シングルプレイ専用でホラー要素を重視する1、2と比べ、Co-op要素を足すなどシューターに寄ったせいでホラーゲームとしての魅力は過去作から大幅に薄れてしまいました。
 
過去作には無かった、クラフトによる弾薬の作成や、パーツを組み合わせることでオリジナル武器を作成できる要素を足すなど新たな面白味も獲得しているものの、どうしても減少したホラー要素を補うほどの魅力はなくパッとしない続編でした。
 

駄作と早合点してしまうほど粗い作りの序盤

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まず、今作をプレイ開始して初めに面喰らったのが、過去作には無かった対人の銃撃戦でした。
 
ゲーム冒頭からネクロモーフ(シリーズお馴染みの敵クリーチャー)ではなく人間との撃ち合いをさせられ、そのあまりの出来の悪さに『バイオハザード6』をプレイした時と似たような再度の絶望感を覚えるほどでした。
 
今作から追加された対人の銃撃戦は、これまで対ネクロモーフ戦で重要だった素早い敵の部位を切断することで俊敏さを削ぐという独特な戦い方と噛み合っておらずまったく魅力がありません。
 
一応、敵が投げたグレネードをキネシス(物理演算のオブジェなどを引き寄せたり飛ばしたりするシステム)で相手に投げ返すといった独自の面白味もあるものの、対人銃撃戦は本当に無残な出来でした。
 
これをいきなり序盤の序盤から体験させられるため、第一印象が最悪な状態からスタートするという紛らわしさがあります。
 
ただ、相変わらずTPSとしては操作性が優れているため、そういうものだと割り切れば対人戦の酷さはガマン出来る程度の不満でしかありません。
 

まだまだ発展途上なクラフト

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日本語化するとシステムが理解しやすくてありがたい!!
今作が過去作と大きく異なるのは、これまでのシリーズは武器やアイテムは『バイオハザード4』などと同じようにクレジットを使用し買い物で入手していたのに対し、今作からはクラフト中心となったことです。
 
敵ごとに入手出来る種類が複数存在するリソース(資源)を消費し、武器や武器に装着するパーツ、弾薬(今作から全武器の弾薬が一元化された)や回復アイテムをクラフトする仕様となったことで、1や2と比べややプレイ感が異なります。
 
ゲームの序盤は、前作から引き続きの抜群の操作性相まって非常にテンポ良く進むため変更点はさほど気になりません。しかし、中盤から徐々にゲームが息切れしだし、これまで気にならなかったクラフトまわりの問題が浮き彫りになります。
 
中でも最も気になったのはアイテムをクラフトした際の喜びが希薄な点。
 
これは、リソースがただマップのそこら辺に無造作に落ちており、湧いてくる敵を倒すと機械的にドロップするだけと、プレイしているといつの間にか資源が溜まっているだけで、クラフトしたいアイテムから逆算して資源集めをするといった楽しみがないためです。
 
このせいで、せっかくクラフト用にシステムを一新したのにクレジットで買い物していた過去作とさほど印象が変わりません。
 
中にはスカベンジャーボットという、マップ内の特定ポイントに設置すると資源を自動で収集してくれるというシステムもありますが、これも欲しい資源を指定できないため存在理由がよく分かりません。
 
ただ、フレームの上段ツールと下段ツールにそれぞれ好きな武器を装着できる武器クラフトという新要素はそこそこ好みでした。
 
これのおかげで、上段はマシンガン、下段はショットガンや、上段は遠距離攻撃用の武器、下段は接近戦用の武器といったように、あれこれ試行錯誤してオリジナル武器を作れるため、組み合わせを弄るのに夢中になります。
 
しかし、割と序盤から高性能なアップグレード回路が簡単に手に入ってしまい武器の攻撃力があっさり限界に達するのと、結局使い勝手の良い組み合わせに落ち着きそれ以外を試さなくなるという問題も生じ、過去作に比べこれがあるから優れているとは特に感じませんでした。
 

不満あれこれ

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今作で一番気になったのは、セーブが手動制から自動制になったことです。
 
Co-op(オンラインでの協力プレイ)が追加されたことの影響か、これまではセーブポイントでプレイヤーが手動でセーブ可能だったのが、『バイオハザード5』のようにチェックポイントでのオートセーブ制となりました。
 
このせいで次のチェックポイントまで進まずに途中で中断してしまうと、かなり手前のチェックポイントからやり直しさせられるなど、毎回ゲームを中断した場所と再開する場所が微妙にずれ面倒です。ホラーゲームという雰囲気が大事なジャンルでこの雑さは致命的でした。
 
ただ、『バイオハザード5』の一度クリアさえすればどのチャプターも自由にやり直し可能で、かつ入手したアイテムは途中で中断しても持ち越されるという、自分の好きなペースで好きなチャプターを繰り返しプレイ可能な作りは割と好みなので、欠点とも言い切れません。
 
後、今作からCo-op要素が追加された影響か、ネクロモーフに四方八方から接近され肉薄した状態で囲まれる事態が多発し、そのせいで戦闘がぐちゃぐちゃになりがちです。ここまで毎回戦闘が激しすぎると、繊細な演出を必要とするホラー要素は慌ただしさに相殺されてしまい、プレイ中恐怖を感じる瞬間はほぼゼロでした。
 
そのためホラーゲームというより、ホラー要素があるだけのTPS程度の怖さしかなく、ホラーとして圧倒的に完成度が高かった1、2に比べると物足りません。
 

最後に

 
対人戦やCo-opなど、シューター要素を過剰に足そうとした結果これまで整っていたバランス調整が雑になり、作品の核であったホラー要素も激減し、ゲーム全体が大きく歪んでしまった感があります。
 
 

 

 

 
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