PV
評価:70/100
放送期間 | 2017年1月~3月 |
話数 | 全12話 |
アニメ制作会社 | A-1 Pictures |
アニメの概要
この作品は、少年漫画『青の祓魔師(エクソシスト)』を原作とするTVアニメ版です。京都不浄王編の範囲は原作コミックだと5巻から9巻までの内容となります。
TVシリーズとしては1作目からスムーズに繋がっておらず、1作目の続きとして見ても単体の作品としても中途半端さが否めません。
アクション作画は相変わらず見応えがありますが、全体としては原作に忠実すぎる分、アニメ独自の魅力に乏しい無難な仕上がりでした。
変則的な作りの続編
本作は『青のエクソシスト』のTVシリーズとしては2作目ですが、単純に1作目の終わりから話が続くわけではなく、かなりややこしい作りをしています。
1作目の前半部分は多少アニメオリジナル要素を足しつつ、原作エピソードをなぞっています。しかし、後半は当時原作漫画で連載中だった不浄王編のエピソードに追いついてしまい、やむなくアニメオリジナル展開でした。
それが、今作は1作目から続けて見ようとすると後半のアニメオリジナル展開部分をバッサリ切り捨て丸ごと無かったことにし、1作目では間に合わなかった不浄王編から始まるというかなり変則的な作りとなります。
そのためアニメ版から入ろうとする場合は、1作目を最後まで見ていると話を巻き戻され1作目の後半と似たような話をもう一回繰り返しているように感じ、逆に今作から見始めると大した説明もないまま話が途中から始まっているようにしか見えず、どちらにしろ戸惑うことに変わりはありません。
漫画の映像化タイミングについて考えさせられるTVアニメ版です
前・後編に近い話を分断してしまった悪影響
この異例な作りの悪影響がモロに出てしまっているのが初っ端の一話目です。
詳しい説明もないまま直前に起こったある出来事のせいで主要登場人物のほとんどが主人公に対し不信感を抱き空気が淀んでいる状態から始まるという出だしとしては最悪な1話でした。
せめて重要なエピソードの直後から強引に再開せざるを得ないなら、最低でも仲が良かった状態を回想しこの状態が一時的な不仲状態であるということを納得させないと、主人公をシカトする仲間たちが意地悪な人間にしか見えません。
『青のエクソシスト』という、それぞれの登場人物がエクソシストを志す動機となる辛い過去を背負い、重荷を抱える者同士ゆえに相手の心情を理解しそっと寄り添う過程が何よりも魅力な作品において、このようなギスギスとした不仲状態のスタートは雰囲気的にはかなりマイナスでした。
不浄王編は直前の出来事で生じた仲間同士のヒビを修復し、再び一致団結するエピソードなのに、壊れた状態で始まって修復だけ見せられてもどうしても乗れません。
しかも、アマイモン戦の影響で主人公が謹慎に近い状態となっているせいで全12話中わずか数話以外は何も活躍させてもらえないという焦れったさもあり、正直見ていて楽しいと感じるような話ではありませんでした。
原作に忠実に作りすぎて窮屈なアニメ
1作目を久しぶりに見直すと、2011年の作品ながら当時としては決して手抜きをせず、かつ伸び伸び作っているため、ややカラーデザインやライティング周りに古さは感じるものの、今見ても難なく視聴に耐えられます。
2011年当時リアルタイムで見た際に非常に映像が綺麗で、豪華なTVアニメという印象を覚えたのも頷ける内容でした。アクション作画だけで言えば1作目のほうが遥かに勝っています。
クレジットを見ると後々有名になるクリエーターが多く参加しているので納得します
それに比べ今作は、画面の情報量自体は上がり全体的に落ち着きのある作品に仕上がってはいるものの、原作漫画の構図に忠実すぎる分、漫画の一つ一つのコマをそのままアニメのコンテに置き換えただけのような無難さで大して興奮しません。
終盤の不浄王の巨体表現が『進撃の巨人』の超大型巨人の作画にも匹敵するほどの迫力がある点以外は、正直今作は見ている最中ハッとさせられるような構図やアクション作画がほとんどなく、手が込んだ背景以外はイマイチ印象に残りません。
凄いアニメを作ろうとするよりも原作順守のほうが優先順位が高いのか、攻めの姿勢がなく画面から覇気がまるで感じられませんでした。
最後に
決して悪い作品ではありませんが、話を一から語り直さず本来登場人物の感情の浮き沈みが繋がっているエピソードがぶつ切りになった弊害と、原作順守が目的化したような姿勢など、何もかもが中途半端な完成度で、一つのアニメ作品としては凡作でした。
余談
原作漫画では雪男と藤堂が戦闘する際、水属性の弾丸の入っているマガジンに交換しても、交換前の弾が薬室内に一発残っているはずなのに、それが新しく装填された弾とごっちゃにされていました。
それが、アニメ版では発射時のエフェクトの色で違う弾丸だとわざわざ見分けられるように描写されており、その細かさには感心させられます。
青の祓魔師(エクソシスト)シリーズ
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