えんみゅ~ -えんためみゅーじあむ-

アニメ、書評、映画、海外ドラマ、ゲームなどのエンタメ作品総合レビューブログ

えんみゅ~

オンラインモードのオマケと化したキャンペーン 「バトルフィールド1」(※キャンペーンモードのみ)(PS4版) 〈レビュー・感想〉

f:id:chitose0723:20191029015312j:plain

トレーラー

評価:65/100
作品情報
ジャンル FPS
発売日(日本国内) 2016年10月21日
開発(デベロッパー) EA DICE
開発国 スウェーデン
ゲームエンジン Frostbite 3

短評

 
 グラフィック周りは4よりも格段に進化した反面、極端にリアルさを追求した影響で操作性はモッサリで快適さは大幅に低下した。
 
 全体的にステルスプレイが中心のため、撃ち合う楽しさも激減し、単純な楽しさは4より遙かに劣る。
 
 キャンペーンモードがオンラインマルチプレイのチュートリアルのような出来に成り下がってしまい、到底単体で満足できるような内容ではなく不満しか残らない。
 

PC版に拮抗する仕上がり

 
 『バトルフィールド1』はPC(オリジン)版→PS4(通常版)というかなり変則的な順番でプレイしました。
 
 前作の4はPC版の後に続けてPS4版をやるとグラフィックがかなり見劣りして見えたのに、1はPC版の後でも(ステージによってバラつきがあるものの)総じて4よりは気にならない仕上がりで、ほぼストレスがありません。
 
 多分、数ある原因の中でも霧や煙のパーティクル表現や、強めの太陽光などのライティングによって巧みにアラを誤魔化せている点が大きいと思います(頻繁に作り込んだカットシーンに切り替わるのも良くも悪くも気になり辛い原因の一つ)。
 
 現代戦を描くため都市部や軍艦内といった誤魔化しが効きづらい4に比べ、第一次世界大戦でも自然豊かな場所を舞台とする戦いが多く、霧がかった森や村、戦場で上がる煙も雰囲気的に大幅にプラスで違和感なく機能しています。
 
 その分、霧や煙など目を引くもののない、視界の良好な広い地形のステージは、遠方の岩肌や地面のテクスチャが潰れて荒く、若干景観に凹凸や陰影がなくのっぺりと安っぽく見える瞬間も多くありました(暗めで視界が悪いステージは印象が良く、明るくて見通しの良いステージは悪い)。
 
 フレームレートが安定していた4に比べ、今作は低下する箇所が若干目立つものの、ステルス要素がそこそこ強いのであまり影響はなく、4よりも1のほうがPC版に近い感覚でプレイできました。
 

豪勢なチュートリアルと化し、4よりも退化したキャンペーンモード

 
 本作のキャンペーンモードに対する感想を端的にまとめると画面は派手だけどプレイは退屈といったものです。
 
 特にフランスのカンブレーの戦いを描いたイギリス軍のマークⅤ戦車に搭乗する章は、戦車を操作していても、戦車から降りて(戦車を先に進めるための)ステルスもどきプレイをさせられても何一つ面白味がありませんでした。そのため「このゲームを作っている人たちはこれを楽しいと感じるのかな?」と、ゲームの基底部分に対する不審すら抱くほどです。
 
 

f:id:chitose0723:20180922213456j:plain

 

f:id:chitose0723:20180922213434j:plain

 

f:id:chitose0723:20180922213534j:plain

 
 それでも、縦マルチだった4やハードラインよりも遥かに進化したグラフィックの迫力を最大限堪能できる空中戦の章は迫力がありました。
 
 

f:id:chitose0723:20180922213330j:plain

 

f:id:chitose0723:20180922214409j:plain

 

f:id:chitose0723:20180922213403j:plain

 
 しかし、それ以外はどれも似たような単調さで、キャンペーンモードがただのチュートリアル、もしくは主役のオンライン対戦の雰囲気を構成するパーツの一つ程度の役割しか果たせておらず、薄っぺらくて何の記憶にも残りません。
 
 物語の主要部分はほぼプリレンダムービーで処理されるため、途中で挿入されるカットシーンが始まる度にゲームの流れが下品にぶった切られます。4のようなゲームプレイとストーリーの流れをシームレスに一体化させるという当たり前の工夫すら排除されてしまっており、もはや独立したコンテンツというよりも単にゲームの見映えをよくするための添え物に成り下がった感があります。
 
 ムービー自体は完成度が高いですが、強引にムービーで誤魔化すだけの処理はあんなにストレスまみれで不満だらけだった4が懐かしく思うほどの体たらくぶりで心底落胆させられました。
 
 プレイしている際に覚える味気なさは、『アサシンクリード』シリーズで言うと史実に忠実ゆえにゲーム性を犠牲にしているミッションにも通じるものがあります。本編がやたらこの戦いは歴史に残り後世に語り継がれるというメッセージ性を強調するのに対し、この出来の悪いオムニバス形式のキャンペーンモードは一切記憶に残らないという有り様がやや皮肉めいています。
 
 劇中でこの戦いの記憶は後世に残るというメッセージを強調するのと、鮮烈なゲーム体験で記憶に刻ませるというのはまったく別な話で、こんな適当に作られたキャンペーンモードなんて記憶したくもありません。
 

4とハードラインの欠点がタッグを組んだイライラステルスもどきゲー

f:id:chitose0723:20180923172749j:plain
 
 今作は4のチェックポイントの間隔が長く再スタートする際の負担が重い作りと、ハードラインの出来の悪いステルスを足したかのようなバランスで、終始げんなりでした。
 
 マップの作りは基本は4と同じで、ステルスで隠れて進んでもいいし、狙撃で排除してもいい、突撃しても大丈夫という攻略の自由をプレイヤーに委ねるような作りです。しかし、その構造ゆえまたしてもチェックポイントの間隔が長めなことが足を引っ張ります。
 
 特にステルスとの相性が最悪で、10分くらいかけステルスキルやサイレンサー付きのスナイパーライフルで敵を一人一人丁寧に排除した後にうっかりやられて、また最初からやり直しさせられる際はその理不尽さに気持ちが萎えることが何度もありました。
 
 システムまわりがステルス用にチューンされていないのにもかかわらず、無理矢理ステルスプレイをやらされるためちぐはぐにしか感じません。自分の場合は最初はステルスプレイで挑むものの、途中で火炎放射器を持つ敵など火力の高い敵に瞬殺されまたミッションの最初からやり直しになると心底バカバカしくなり、もう全員撃ち合いで排除する方針に切り替えるを繰り返しました。
 
 チェックポイントの間隔が長いという作りと、死にやすいバランス調整をせざるを得ないステルスの組み合わせはストレス以外何も感じません。ここら辺のストレス量はチェックポイントが長い割にグレネードなど爆発系の攻撃で瞬殺されまくる4とさほど変わりませんでした。
 
 『デウスエクス』シリーズや『メタルギア』シリーズ、『スプリンターセル』シリーズのようにステルスの魅力を最大限引き出すために、ゲーム性をステルス用に研ぎ澄ましたような作品に対して、手抜きの言い訳としてステルスを採用しているだけで、ステルスは達成感ではなく苦痛しかもたらしません。
 
 ハードラインの時にも思ったものの、オンラインが撃ち合いをベースにする作りだったら、キャンペーンモードも長所をそのまま流用すればいいだけなのになぜわざわざ出来の悪いノウハウもロクに持っていないステルス要素を採用したがるのか理由が分かりません。
 
 バトルフィールドシリーズのキャンペーンモードがついにグラの綺麗さとプリレンダムービーの作り込みが魅力なだけの、ただの凡庸なステルスもどきゲームに成り果ててしまいプレイしていて悲しい気分になりました。
 
 

f:id:chitose0723:20180922213247j:plain

 

f:id:chitose0723:20180922214442j:plain

 

f:id:chitose0723:20180923172738j:plain

FPS史の裏に見え隠れするスピルバーグ監督の気配

 
 不満だらけの本作でも惹かれる要素は多々ありました。まず、第一次世界大戦時の見慣れない銃器を大量に使える点です。
 
 その中でもゲーム的に気に入ったのはクリップ式の弾倉の銃で、中途半端な残弾数でリロードしようとすると一発一発手動の装填となり、まとまった数を一気にリロードしないと余計な手間が掛かる仕様がいいプレッシャーになり好みでした。
 

f:id:chitose0723:20180922212951j:plain

残弾が中途半端だと一発ごとの装填

f:id:chitose0723:20180922213038j:plain

ある程度撃つとクリップで一気に装填
 これまで自分は単純にリロード速度が速い銃が好みでしたが、案外『メトロ2033』のリボルバー型の弾倉を持つ特殊なショットガンや、第二次大戦のアメリカ軍のM1ガーランドのような全弾撃ち尽くさないとリロードできない銃など、リロードタイミングに悩まされる武器もゲーム性があっていいなと思うようになりました。
 
 その点第一次世界大戦という珍しい時代を舞台にしている本作はどの銃も扱いに癖があるものだらけで、片っ端から拾っては使い勝手を確認する作業が他のゲームに比べると遥かに充実しており魅力的でした。
 
 そして、映画好きとして一番楽しみだったのが巨匠デヴィッド・リーン監督の映画史に残る大傑作中の大傑作である『アラビアのロレンス』を彷彿とさせる、文字通りイギリス軍将校であるT・E・ロレンスが登場する章です。もうロレンスのナレーションが始まると心臓がバクバクし、ミッションが開始されキャラを操作できるようになった瞬間、
 
「今、アラビアのロレンスを動かしているんだ!」
 
 と、テンションMAXで興奮状態に。
 
 しかし、実は自分が操作しているのがロレンスではなく別人と分かり、テンションがガタ落ち。モチベーションが極端に上がったり下がったりと、良くも悪くも全キャンペーンモードの中でも最も印象に残るエピソードでした。
 
 ただ、このアラビアのロレンスのエピソードは映画を見ているかどうかで印象が激しく変わるため、あまりゲームそのものの魅力とは関係ありません。
 

f:id:chitose0723:20180922212839j:plain

アラビアのロレンス


 それに、映画のアラビアのロレンスの熱狂的ファンのスティーヴン・スピルバーグ監督は同じく第一次世界大戦を描いた映画の『戦火の馬』を撮っていて、そのスピルバーグ監督が若い頃に影響を受けたアラビアのロレンスと、60歳を過ぎて撮った『戦火の馬』の影響が両方本作から垣間見られると、時空が歪んでいるような奇妙な気分になりました。

 

最後に

 
 クリアまで約6~7時間ほど。
 
 ゲームエンジンは描画力が高いフロストバイトエンジンなため、戦場の空気自体が緊張して張り詰めているかのような息詰まる空間演出が素晴らしく、グラフィックは何の文句もありません。
 
 しかし、オンラインモードのチュートリアルでしかないキャンペーンンモードは4よりも大幅に退化しており終始単調なだけで満足度は極端に低いです。
 

バトルフィールドシリーズ