トレーラー
評価:65/100
ジャンル | FPS |
発売日(日本国内) | 2016年10月21日 |
開発(デベロッパー) | EA DICE |
開発国 | スウェーデン |
ゲームエンジン | Frostbite 3 |
- ゲームの概要
- 豪勢なチュートリアルと化し、4よりも退化したキャンペーンモード
- 4とハードラインの欠点がタッグを組んだイライラステルスもどきゲー
- FPS史の裏に見え隠れするスピルバーグ監督の気配
- 最後に
- バトルフィールドシリーズ
ゲームの概要
この作品は、『バトルフィールド』シリーズの一作です。シリーズ初である第一次世界大戦を題材としていることが最大の特徴です。
キャンペーンモードは、全体的にステルスプレイが中心で撃ち合いは激減しており、単純な楽しさは前作4より遙かに劣ります。
しかも、キャンペーンモードがオンラインマルチプレイのチュートリアルのような出来に成り下がってしまい、単体のコンテンツとして満足できるような内容ではなくなりました。
グラフィック周りは4よりも格段に進化した反面、極端にリアルさを追求した影響で操作性はモッサリで快適さは低下しています。
概ね、キャンペーンモードは過去作より満足度が下がりました。
豪勢なチュートリアルと化し、4よりも退化したキャンペーンモード

本作のキャンペーンモードに対する感想を端的に言うと画面は派手だがプレイは退屈といったものです。
特にフランスのカンブレーの戦いを描いたイギリス軍のマークⅤ戦車に搭乗する章は、戦車を操作していても、戦車から降りて(戦車を先に進めるための)ステルスもどきプレイをさせられても何一つ面白味がありませんでした。
そのため「このゲームを作っている人たちはこれを楽しいと感じるのかな?」と、ゲームの基底部分に対する不審すら抱きました。
それでも縦マルチだった4やハードラインに比べ遥かに進化したグラフィックを最大限堪能できる空中戦の章は迫力がありました。
しかし、それ以外はどれも似たような単調さで、キャンペーンモードがただのチュートリアル、もしくは主役のオンライン対戦の雰囲気を構成するパーツの一つ程度の役割しか果たせておらず、薄っぺらくて何の記憶にも残りません。
物語の主要部分はほぼプリレンダムービーで処理されるため、途中で挿入されるカットシーンが始まる度にゲームの流れが下品にぶった切られます。
4のようなゲームプレイとストーリーの流れをシームレスに一体化させるという当たり前の工夫すら排除されてしまっており、もはや独立したコンテンツというよりも単にゲームの見映えをよくするための添え物に成り下がった感があります。
ムービー自体は完成度が高いですが、強引にムービーで誤魔化すだけの処理はあんなにストレスまみれで不満だらけだった4が懐かしく思うほどで心底落胆させられました。
本編がやたらこの戦いは歴史に残り後世に語り継がれるというメッセージ性を強調するのに対し、この出来の悪いオムニバス形式のキャンペーンモードは一切記憶に残らないという有り様がやや皮肉めいています。
この戦いの記憶は後世に残るというメッセージを強調するのと、鮮烈なゲーム体験で記憶に刻ませるというのはまったく別な話で、こんな適当に作られたキャンペーンモードなんて記憶したくもありません。
4とハードラインの欠点がタッグを組んだイライラステルスもどきゲー

今作は4のチェックポイントの間隔が長く再スタートする際の負担が重い作りと、ハードラインの出来の悪いステルスを足したかのようなバランスで、終始げんなりでした。
マップの作りは基本は4と同じで、ステルスで隠れて進んでもいいし、狙撃で排除してもいい、突撃しても大丈夫という攻略の自由をプレイヤーに委ねるような作りです。
しかし、その構造ゆえまたしてもチェックポイントの間隔が長めなことが足を引っ張ります。
特にステルスとの相性が最悪で、10分くらいかけステルスキルやサイレンサー付きのスナイパーライフルで敵を一人一人丁寧に排除した後にうっかりやられてしまい、また振り出しに戻る際はその理不尽さに気持ちが萎えることが何度もありました。
システムまわりがステルス用に調整されていないのに、無理矢理ステルスプレイをやらされるため、ちぐはぐにしか感じません。
自分の場合は最初はステルスプレイで挑むものの、途中で火炎放射器を持つ敵など火力の高い敵に瞬殺されまたミッションの最初からやり直しになると心底バカバカしくなり、もう最初から撃ち合いで排除する方針に切り替えるを繰り返しました。
チェックポイントの間隔が長いという作りと、死にやすいバランス調整をせざるを得ないステルスの組み合わせはストレス以外何も感じないほど最悪です。
『バトルフィールド』シリーズのキャンペーンモードがついにグラの綺麗さとプリレンダムービーが魅力なだけの、ただの凡庸なステルスもどきゲームに成り果ててしまい悲しくなりました。
FPS史の裏に見え隠れするスピルバーグ監督の気配

不満だらけの本作でも惹かれる要素はそこそこありました。
まず、第一次世界大戦時の見慣れない銃器を大量に使えること。
その中でもゲーム的に気に入ったのはクリップ式の弾倉の銃で、中途半端な残弾数でリロードしようとすると一発一発手動の装填となり、まとまった数を一気にリロードしないと余計な手間が掛かる仕様がいいプレッシャーになります。
そして一番楽しみだったのが巨匠デヴィッド・リーン監督の映画史に残る大傑作である『アラビアのロレンス』を彷彿とさせる、文字通りイギリス軍将校であるT・E・ロレンスが登場する章です。
もうロレンスのナレーションが始まると心臓がバクバクし、ミッションが開始されキャラを操作できるようになった瞬間、
「今、アラビアのロレンスを動かしているんだ!」
と、テンションMAXで興奮状態に。
しかし、実は自分が操作しているのがロレンスではなく別人と分かり、テンションがガタ落ち。モチベーションが極端に上がったり下がったりと、良くも悪くも全キャンペーンモードの中でも最も印象に残るエピソードでした。
ただ、このアラビアのロレンスのエピソードは映画を見ているかどうかで印象が激しく変わるため、あまりゲームそのものの魅力とは関係ありません。
おかしかったのが、映画『アラビアのロレンス』の熱狂的ファンのスティーヴン・スピルバーグは同じく第一次世界大戦を描いた映画『戦火の馬』を撮っていて、そのスピルバーグ監督が若い頃に影響を受けたアラビアのロレンスと、60歳を過ぎて撮った『戦火の馬』の影響が両方本作から垣間見られることです。そのせいで時空が歪んでいるような奇妙な気分になります。
最後に
クリアまで約6~7時間ほど。
ゲームエンジンは描画力が高いフロストバイトエンジンなためグラフィックは何の文句もありません。
しかし、オンラインモードのチュートリアルでしかないキャンペーンンモードは4よりも大幅に退化しており終始退屈でした。
バトルフィールドシリーズ
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