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神々しい古代エジプトと始まりのアサシン 『アサシンクリード オリジンズ』 〈レビュー・感想〉

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トレーラー

評価:85/100
作品情報
ジャンル オープンワールド
ステルスアクションRPG
発売日(日本国内) 2017年10月27日
開発(デベロッパー) Ubisoft Montreal
開発国 カナダ(UBIの本社はフランス)
ゲームエンジン AnvilNext 2.0

短評

 
 これまでのステルスアクション主体のゲーム性から思い切ってアクションRPGへと路線変更した結果、ほとんど別ジャンルのような作品と化し印象が激変しました。
 
 アクションRPG部分は貧弱で、アサシン教団の誕生を描くシナリオも一本調子で盛り上がりに欠けます。
 
 しかし、紀元前1世紀のプトレマイオス朝末期のエジプトの景観はシリーズでも屈指の完成度で度肝を抜かれました。
 

ウィッチャー3への宣戦布告

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 今作を端的に言えば『ウィッチャー3』化したアサシンクリードです。
 
 ドラマ性を持たせ露骨なおつかい感を軽減するようなサブクエストの作り方だったり、シリーズの特徴をそのまま色濃く残しながらも全体を徹底的に遊びやすく改良して間口を広げようとする創意工夫だったりと、あらゆる部分がウィッチャー3を意識しています。
 

 

 さらに、ただ単にウィッチャー3に影響を受けただけに止まらず、これまでのUBIの作品群から完成度の高いシステムだけを厳選してフルに動員し、対ウィッチャー3へのUBI作品のシステム総力戦の様相も呈しています。
 
 まず、シリーズお馴染みの敵を強調表示させたり、マーキングしたりする鷹の眼モードをゴーストリコンなどのドローンによる空中からの敵情視察にそのまま置き換えていること。鷹の眼が無くなり主人公バエクの相棒であるセヌという空中を飛翔する本物の鷹の視点で敵をマーキングする仕様に変更されました(アサシンが持つ鷹の眼という能力名がそのまま空中の鷹の目から見た視点に置き換わるというギャグにもなっている)。
 
 

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 その他にも『ディアブロ3』の影響が強い、装備がレベル制のハクスラRPGシューターだった『ディビジョン』(『ウィッチャー3』も『ディアブロ3』の影響が濃いのでそっくり)から、まんまレベル制装備を抜き出しシューター部分を弓矢に置き換えていること。なんと本作の弓矢は銃器代わりにもなっており、スナイパーライフルの様な長射程の弓矢や、ショットガンのような矢の束をまとめて射る特殊な弓、アサルトライフルやサブマシンガンのフルオート射撃のような連続で矢を射る速度重視の弓矢など、ほとんどギャグ擦れ擦れです。
 
 このように『ウィッチャー3』という巨大なピラミッドに挑むため、UBIの保有する全戦力をなりふり構わず投入してきたかのような出来で、いかにUBIが『ウィッチャー3』の完成度に衝撃を受けたのか、本作の内容から類推できてしまいます。
 
 ただ、あまりにも他作品から影響を受けすぎ、ステルスからアクションRPGにジャンルを寄せたせいで別の問題も生じてしまいました。
 
 それはアクションRPGとしてのバトル周りの貧弱さです。
 

「ステルスゲームにしてはバトルもそこそこ面白いよね」から「アクションRPGにしてはバトル周りが貧弱だよね」に変化

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 本作のかなり広範囲に渡る問題はバトルシステム周りの凡庸さです。
 
 これまでのようなステルスが主体で、バトルは敵に発見された際にやらされるペナルティ的な側面が強かったものと異なり、ステルスからバトルへかなり比重が移りました。
 
 これまでのバトル部分も、チャンバラは爽快感があり魅力的でしたが、やはりそれはステルスゲーム内のサブ的なものとしてであり、バトルだけ抜き出し他作品に通用するかと言われると微妙。
 
 ダンジョンRPGがダンジョンを一歩一歩探索するのに緊張感を持たせるためデスペナルティを重めに設定するように、ステルスは敵に発見されずに進むという点に快楽性を持たせるため、どうしてもジャンル的な要請上敵に発見された際にそこそこのペナルティを設定せざるをえません。
 
 そのペナルティ部分のストレスを緩和するための小気味よいバトルであり、バトルそのもので持たせるためのものではありませんでした。
 
 ですが、今作は一応まだステルスが中心としても明確にアクションRPG路線に舵を切ったためよりバトルに求められる快感の水準が高くなったのにそれをクリアできていません
 
 そのため、バトルそのものが楽しいと感じる瞬間も、装備を充実させたいという欲求を覚えることも、レベル上げがしたいと思うこともほぼありませんでした。
 
 ここら辺は、ステルス要素を後退させてでも盛り込んだ海戦要素が大変素晴らしく、超一級のアクション体験を味わえた4やローグに比べると大幅に見劣りしてしまいます。
 

「え? アサシン教団ってその場のノリで結成されたの?」

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 一応ストーリーはドラマチックに盛り上げようと努力していますが、『シンジケート』同様にとにかく民衆を苦しめる見た目からして悪い奴らがいてそれを暗殺していくというだけの単調で一本調子な内容で、終始退屈でした。
 
 最近のアサシンクリードシリーズはどれもこれもストーリーがあっさりし過ぎており、クリアしたら即内容を忘れてしまい印象に残ってくれません。
 
 3のコナーのような、実の父がテンプル騎士団でアサシンとして義務を全うすればいつか父を殺さなくてはならなくなるという苦悩を背負っていたり、自分もアメリカ先住民なのに、先住民を弾圧する入植者達をテンプル騎士団を倒すため支援しなくてはならず複雑な感情を抱いたり、先住民の仲間から行動を理解されず苦しんだりと、非常に困難な立場に置かれながらも死に物狂いでテンプル騎士団と戦っていた魅力的なアサシンはどこに消えてしまったのかと悩むほど単純です。
 
 アサシン教団誕生が特に紆余曲折あるワケでもなく「世界中に結社のメンバーがたくさんいるから影ながら戦っていこう」という別にわざわざ説明されなくても最初から分かり切った結論に達するだけで心底ガッカリでした。
 
 今作は『メタルギアソリッド』シリーズでいうと3のようなザ・ボスからビッグ・ボスへミームが継承され、それが後にソリッド・スネーク、さらにオタコンや雷電へと受け継がれる、「ここから全ての歴史が始まったんだ!!」というシリーズの歴史のダイナミズムや連続性を強化する働きをしなければならなかったのに、ただ誕生した経緯が説明されるだけでその役割を果たせているとは思えず。
 
 バエクやアヤから後のアサシン達に遺伝子ではなく信条こそが世代を越えて継承され、自由意志を守るために戦う者こそバエクとアヤの子どもたちなのだという感慨も大して生じません。
 
 遺伝子ではなく自分自身の信条のため立ち上がり戦う姿勢こそが次の世代へ継承されるという、『メタルギアソリッド3』が自分自身に忠を尽くせという、ほとんど似たようなメッセージを完璧に伝えきっていたのに比べるとずさんに感じます。
 
 せっかくアニムスが改良され、アサシンの直接の子孫でなくてもアニムスが使えるようになり、その結果アブスターゴの社員にすらアサシン達の想いは届くというところまで描いたのにもう一押しが足りません。
 
 巧妙に人類から考える力、立ち上がる意志を奪い、世界中の人間を時の支配者や権力者、大企業にとって都合のいい家畜とするため暗躍するテンプル騎士団に対し、己を鍛え、己の頭で考え、己の信条に従い立ち上がる自由意志の守護者であり象徴がアサシンで、その意志・信条こそが世代を越えて地続きで現代まで受け継がれているから感動的なのに、そこの描き方が弱すぎます。
 

などの不満を全て払拭してしまう、神々が宿ったかのような古代エジプト

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 今作はこれまでのシリーズとは趣が異なりかなりアニムス成分が薄めです。2以降は当たり前だった歴史的な建造物などの解説が無かったり、メモリーのシンクロ条件も廃止されていたりと、あまりこの世界が仮想空間であるということを意識させない様な作りになっています。
 
 それもそのはずで、舞台となる紀元前1世紀のプトレマイオス朝末期のエジプトの光景はあれほど凄いと思ったユニティの18世紀後半のパリやシンジケートの19世紀ロンドンすら凌駕するとてつもない大パノラマで、作り手の自信を感じます。
 
 一体どうやったらこんな景色を人工的に作れるんだろうと終始疑問に思うほど、ロングショットで眺める景色には威厳があります。砂漠を歩いている際も、無言の神々しさにそっと体がくるまれるような霊的とも呼べる錯覚を覚える瞬間が何度もありました。
 

 

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最後に

 
 クリアまで約30時間強ほど。
 
 凡庸すぎるアクションRPG部分や、単調なシナリオなど不満も多くあります。
 
 しかし、またしてもシリーズのベストを軽々と更新してしまう神がかった古代エジプトの景観はじめ、総合力の高さで言えばシリーズ随一の完成度を誇ると言っても過言ではない傑作でした。
 

余談

 
 アサシンクリードシリーズはいつも主人公を演じる声優さんが良い演技をしていますが、今作の主人公バエクを演じる声優の福山潤さんも素晴らしく、こんなに長いシリーズなのによく毎回ここまで安定しているなと素直に感心させられます。
 

アサシンクリードシリーズ

タイトル
ハード
アサシンクリード3 リマスター
PS4
アサシン クリード4 -ブラックフラッグ-
PS4
アサシンクリード ローグ
PC
アサシンクリード ユニティ
PS4
アサシンクリード シンジケート
PS4
 
 
 
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