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経験と一握りの運で道を切り開くローグライクと、多忙なリアルタイムシミュレーションの融合 「ヒーラーは二度死ぬ」(PS4版) 〈レビュー・感想〉

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トレーラー

評価:80/100
作品情報
ジャンル リアルタイムヒーリングストラテジー
発売日(日本国内) 2016年6月3日
開発(デベロッパー) Pon Pon Games
開発国 日本

短評

 
 敵と相対する前衛の戦士を後衛のヒーラーとして回復し続けるだけのゲーム性にも関わらず、並のゲームを凌駕するほどの完成度の高さ。
 
 ローグライクゲーム(『風来のシレン』など)のプレイする度に取得するアイテムが変化するリプレイ性の高さに、リアルタイムシミュレーションの多量な作業に追われる心地よさを加えたような中毒性の権化のようなゲーム。
 

シンプルかつコンパクトゆえの計算され尽くした中毒性

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 このゲームは、二人組の冒険者の回復担当となり、前衛で盾となり戦う戦士をひたすら回復し続けるという変わったコンセプトのゲームです。
 
 戦闘はリアルタイムで、敵への攻撃は常にオートでされます。プレイヤーが受け持つ操作は、前衛の戦士が攻撃するターゲット選びや、傷ついた前衛の部位ごとの回復、クラフトによるアイテム作成、レベルアップした際にどのスキルを取得するのか選ぶというサポート全般です。
 
 パッと見は初代PSゲームのようなしょぼさですが、見た目から受ける印象とゲームとしての完成度はまったく別物で、センスがずば抜けて高く一度プレイし出すとその圧倒的な中毒性の虜になります
 
 本作はローグライクゲームの面白味をトレースしており、初見時は絶対にクリアできません。その分、あちこちにプレイヤーを手こずらせる仕掛けが満載で、何度も試行錯誤することで自分の判断力が磨かれ危機的状況に適応できるようになっていく上達の手応えを堪能できます。
 
 このゲームの最大の魅力は、なんと言ってもプレイヤーへの負荷のかけ方が計算され尽くしていること
 
 基本はローグライクなので、ゲーム開始時はレベルが1で、モンスターとの戦闘でレベルが上昇。ゲームオーバーになるとまたリセットされレベル1から再スタートになります(アップグレードというアンロックのようなシステムで序盤をスキップすることも可能)。
 
 奥に進めば進むほど敵が強力になるため、なるべくレベルを上げてから先に進まないと後々苦戦を強いられますが、このゲームが冴えているのは、リアルタイムで減り続けるたいまつの火が消えてしまうと問答無用でゲームオーバーになることです。
 
 これは『風来のシレン』で言うとおにぎりを食べないと空腹でゲームオーバーになるのと同様、間接的なタイムリミットとして機能します。そのため、ダラダラとレベルアップをしているとあっという間にたいまつが尽きてゲームオーバーとなるため、なるべくレベルを上げつつ同時に急いで先に進まないといけないという緊張状態に置かれ、プレイがまったくダレることがありません
 
 しかも、敵の攻撃力は凄まじく高いため、ヒーラーとして戦士がやられないように回復にも気を配らないとあっという間にゲームオーバーになります。
 
 戦士がやられないように回復しつつ、取得経験値を上げるスキルを駆使して戦略的なレベルアップをし、クラフトでアイテムを作り、たいまつの残量に注意を払い、敵の隊列を観察してどこを攻撃すれば損害が最小限に抑えられるのか考えさせられと、明らかにプレイヤーのキャパを超える作業量を強いられプレイ中は常に目が回るほど忙しく、中毒性があり得ないほど高いです。
 
 しかも、一つ一つのシステムに無駄がなくそれぞれが相互作用するように設計されており、細部に至るまで隙がありません。
 
 たいまつは戦闘中に入手できますが、本数が少なく、ただランダムで入手するのに任せていると高確率で本数が尽きタイムリミットを迎えます。それを防ぐために何をするかというと、手持ちのアイテムを燃やしてたいまつの残量を増やすという延命策です。
 
 このため、どれほど今の状況では役に立たないアイテムでもたいまつの残量を増やすという働きをするので、ゲーム内に無駄なアイテムというものは一切存在しません
 
 それ以外も、戦士を回復する際に部位(胴体・頭・右腕・左腕・足)ごとに攻撃力・防御力など役割が割り振られており、戦闘の激しさが増すとどの部位の回復を優先するかを考えなくてはなりません。
 
 さらに、ウェーブごとの敵陣の中にはそのウェーブの敵を全滅させるアイテムが紛れており、これをどのタイミングで入手し使うのかという判断にも戦略性が発生します。
 
 

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 早く使って敵を全滅させてしまうと経験値が入手できず、かと言ってレベル上げをしようと敵一体一体と戦っているとたいまつの残量が減り続けタイムリミットが迫ってくるという、全方位プレッシャーの総攻撃に晒され続けるので、ダンジョンの奥に行くほど生きた心地がしません。
 
 このように、どのようなプレイをしようと個々の選択に絶対の正解はなく、プレイヤーの経験の蓄積とやはりある程度の運によって結果が決まるため、リプレイ性が非常に高く、かつ自分の判断力が上達したことも手に取るように分かり達成感が並のゲームとは段違いです。
 

唯一の不満は戦略性の薄いターゲット選択

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どこを攻撃しても変わらない
 このゲームの中で唯一と言ってもいいほど物足りないのは、敵の隊列のどこを攻撃するかにさほど悩まされない点です。
 
 基本はアイテム回収がメインで、後は強力な敵をアイテムで一掃するかどうかを考える程度で、ここにもパズル的な要素が欲しかったところ。
 
 例えば爆発して周りの敵にダメージを与える敵(アイテムがあればアイテムまで吹っ飛ばしてしまうというペナルティもある、など)を配置するとか、倒すと体力やマナ(MP)を回復できる敵を置くなど、優先的に狙いたくなる敵を配置してくれれば文句ありませんでした。
 

最後に

 
 クリアまで約4~5時間ほど(早送りも可能なので単純にクリアするだけなら慣れてしまえば数十分で可能です)。
 
 プレイ中は有利な局面と絶体絶命のピンチがコロコロ繰り返されるので、止め時を失うほどのめり込み、クリアまでぶっ続けでプレイしてしまいました。
 
 コンパクトなゲームデザインの中に面白味がぎゅうぎゅうに詰め込まれており、実際にプレイして肌で感じないと魅力が判別しづらい類のゲームです。
 
 ローグライクゲームで、じりじりと追い詰められていく緊張感が好きならハマります!