はじめに
今回は2022年11月に読破した本をブログでのレビュー記事あり・なし問わず紹介します。
投資を始めてそろそろ半年が経過しますが、投資のために種センを貯める倹約生活がもはや日常となりました。生活費も半年前に比べると半分以下となり最近はお金を使うこと自体がめっきり減りました。
倹約生活を始めてプラスと思うこともあれば、逆にマイナスなことも徐々に増え出し、今回は倹約生活で感じたことを語りたいと思います。
倹約生活を始めて一番良かったと思うのが、お金を使う前に厳選・候補の絞り込み作業を行うことが癖になったことです。以前はなんとなくお金を使うことが多くしばらくすると買ったことすら忘れてしまうような買い物をしていたのが、倹約を意識してから本当に必要かどうか見極めてから買うようになり無駄使いがほぼなくなりました。
この厳選や絞り込みによってもたらされる驚きの効果を実感したのがマンガを購入した際で、これに気付いたのは偶然です。倹約を始めてからしばらくは限界ギリギリまで生活費を下げようとマンガを買うのを一切禁止としていたのに、11月に『ハンター×ハンター』の37巻が出るためこれだけは何が何でも読みたいという欲求に負け、苦肉の策で食費を削ってでも月に一冊だけマンガの単行本を買っていいというルールを臨時に設けました。
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すると、月に一冊好きなマンガを読むことそのものが重大なイベントとなり、過去類を見ないほどマンガを読む際の幸福度が爆上がりしました。
これで分かったのが欲しい物をリストアップし、さらにその中から候補を選別するというプロセスを挟むだけで買い物の満足度が大幅に向上することです。
大事なのは何かを選んだ際に他の何かを諦めることで、この諦めたことにより選んだ対象に期待が上乗せされ、それが満足度を押し上げるのだと思います。
RPGで例えると新しい街で武器や防具を新調する際に、お金が潤沢で特に考えもせずパーティ全員分の装備を一気に新調する際と、所持金がカツカツで誰かの装備を買うと他のパーティメンバー分は諦めないといけない場合は後者のほうがお金の使い方に真剣になるのと同じで、なにかを選ぶと別のなにかは諦めなければならないという、思考に適度な負荷がかかる状況を作るのが重要なのだと気付けました。
この悩まずに買い物をした時と、徹底的に悩んで何かを諦める形で買い物をした時だと後者のほうが絶対に満足度が高く後悔も少ないということに気付けたのは倹約生活を始めたおかげです。
逆に倹約生活で完全に失敗したのが本代をけちる癖がついたことです。
これまでは本も他の買い物同様に欲しければその都度買っていましたが、倹約を始めてからは読みたい本よりもキンドルアンリミテッドで無料で読めるものを優先して読もうとか、セール中の安い電子版を買おうとか、読みたいかどうかではなく安く読めるかどうかを重視してしまい結果読書の満足度は大幅に下がりました。
これは倹約して生活費を下げようという意識がマイナスに働き、自分が何をやりたいかではなく、出来るだけ安く済ませようという安易な考え方に流されてしまったのが原因です。
読書は娯楽というだけでなく新しい知識との接点だったので、読む本が限定されると視野が狭くなるという悪影響が生じるため、これは絶対に改めたいと思います。
まとめると、本当に望むものより目先の安さを優先すると日々の生活の充実度が大幅に下がるという当然の結果と、買い物をする際には何かを選んだら何かを諦めるというストレスを意識することで買い物の満足度を意図的に上げることができるという二点が大きな気付きでした。
特に買い物の満足度にストレスが重要という発見は、子供の頃に少ないおこづかいで何を買うか真剣に考えていた時のほうが得られる喜びも失望も大きかったことを思い出させてくれます。毎日が多忙なほうがたまの休暇のありがたみが増すように、喜びとストレスとは表裏一体のもので、知らず知らずのうちに自分の感覚が麻痺しており、倹約生活によって正常な感覚を取り戻せたような気がします。
過度なストレスを減らすのは良くても、無くしてしまうと代わりに得られる喜びも減少するというのは高難易度ゲームの中毒性にも通じると思います
小説 7冊
・『墓地を見おろす家』 著者:小池真理子
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墓地に隣接するという悪条件のため破格の安さでマンションを手に入れた家族が、マンションで頻発する怪奇現象に苦しめられ精神的に追い詰められていくというホラー小説です。
この小説は、恐怖の震源地であるマンション地下にある不気味な物置の存在感や、主人公家族やマンション住人の心理描写が非常に繊細なこと、そして何よりも他の住人が全て逃げ出した後に恐怖のマンションにひと家族だけ取り残されるという悪夢の展開など、ホラー小説としては申し分ない面白さでした。
欠点も多く名作にはあと一歩届きませんが、夜中にトイレに行けなくなるような怖いホラーを求めているならおすすめです。
・『果しなき流れの果に』 著者:小松左京
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新たに発見された古墳からその時代には存在しないはずの出土品が見つかったことをキッカケに、壮大な時間と宇宙を巡る争いに巻き込まれるという大スケールのSF小説です。
この本は今月読んだ小説の中ではダントツの面白さでした。物語のスケールの大きさ、心地良いカタルシスと自分の好みをほぼ満たしてくれた一冊です。
終盤の後付けのような伏線回収が強引すぎるなど短所もそこそこあるものの、積極的に長所を褒めたいと思わせてくれる圧倒的な熱量の傑作でした。
・『ゴルディアスの結び目』 著者:小松左京
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4つの短篇からなる、宇宙と人間というテーマ性が共通するSF連作短篇集です。
中でも表題作の「ゴルディアスの結び目」が圧倒的な完成度で、この短篇だけでも読む価値があります。冒頭の元部屋という謎の球体の描き方が濃密なSFを堪能させてくれ至福の一作でした。
ただ、どの話も良くも悪くも小松左京節が強烈なため、ストレートに面白いと感じる話ばかりではありません。
・『闇の奥』 著者:ジョゼフ・コンラッド
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コンゴの奥地で消息不明となった貿易会社のエリート社員クルツを救助するため危険なコンゴ川を遡行するというサスペンス小説です。
映画史に残る名作中の名作『地獄の黙示録』の原作でもあり、コンゴの奥地で消息不明となったクルツという謎多き人物の秘密が徐々に明らかになっていくというミステリアスなストーリーテリングが後世のクリエイターに多大な影響を与えた伝説的な小説でもあります。
約120年以上昔の小説ながら今読んでも色褪せない名作でした。
・『禁じられた遊び』 著者:清水カルマ
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幼い子供が死んだ母親を生き返らせようと母親の遺体の一部を庭に埋め呪文を唱え続けると日に日に土の中で気味の悪い生き物が大きくなっていくというホラー小説です。
この小説は、デビュー作でもあるせいかあらゆる部分が力量不足で長所より短所のほうが勝ってしまう一作でした。
2023年に『リング』の中田秀夫監督による映画化が決定しているという情報を先に知っていたので無理矢理読みましたが、それがなかったら絶対に手を付けませんでした。
・『禍家』 著者:三津田信三
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少年が謎の既視感を覚える新しい我が家で次々と怪奇現象に見舞われ、徐々に既視感の正体と怪奇現象の謎が明らかになっていくというホラーミステリー小説です。
ミステリーとしてはポンコツですが、無力な少年が為す術もない怪奇現象に悩まされる様は非常に怖ろしく、ホラー小説としては及第点の出来です。
主人公が子供のため、たとえ我が家がどれだけ怖ろしくても自らの意志で引っ越すことが不可能で、嫌々ながら怪奇現象が待ち受ける家に帰らないといけないという不憫さは読んでいて同情するほどでした。
・『のぞきめ』 著者:三津田信三
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取り憑かれたら四六時中あちこちから覗かれ次第に正気を保てず発狂してしまう怪異“のぞきめ”を巡る二つの怪談が語られるホラーミステリーです。
この小説はまったく異なる人物から聞いた二つの怪談が実は裏で繋がっており、二つを並べると事件の真相が明らかになるというアイデアが最高で、小説を読むってこんなに幸せなんだと噛みしめながらほぼ一気読みしました。
作者が突然この小説が書かれた経緯を読者に説明し始めても大丈夫という、思い付く限り何をやっても自由という小説の懐 の深さを堪能できます。予算がかかるエンタメ作品がどれもこれも似てしまうのに対し、アイデア次第でどんなことでも表現可能という小説の可能性すら感じさせてくれる一作でした。
書籍 2冊
・『お金の流れでわかる世界の歴史 -富、経済、権力はこう「動いた」-』 著者:大村大次郎
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元国税調査官の著者が世界史をお金の流れ(主に税金)で読み解いていくという歴史本です。
この本を読むと歴史の大半は実は政治や軍事などではなく税金(お金)を中心に動いていることが分かり、歴史の見え方が変わる興奮が味わえます。
既知の情報も多かったものの、それまで歴史上ではただの暴君という認識しかなかったヘンリー8世が税金の流れという視点で見るとしたたかであるとか、実は普通の歴史のほうがお金の流れが軽視されすぎなのではないかと疑問に思うほど新しい知識や視点を学べました。
・『実話怪談 黒異譚(くろいはなし)』 著者:黒史郎
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古今東西の実話怪談を蒐集しその中から選りすぐりの話を紹介するという実話怪談集です。
明らかにオチが作り話っぽいものから、話としては前後の脈絡が欠けているのにやたら寒気を覚えるような薄気味悪い話まで取り揃っており、読めばいくつかは好みの怪談が見つかると思います。
個人的に実話怪談で好きなのは怖い話にはまったく不必要な情報がくっついている類のものです。そう思うようになったキッカケは、子供の頃に『噂のどーなってるの?!』か『こたえてちょーだい!』というどちらかのTV番組で見た再現VTRでした。それは夜中に目覚めると金縛りで体が動かず、その時にふいに自分の顔の上を女の幽霊のようなものが跨いだという体験談で、その話で最も記憶に残ったのが女の幽霊が下着を穿いておらず女性器が丸見えだったという部分です。
このような怖い話にはむしろ邪魔でしかない情報が入っていると妙な生々しさが生まれ記憶に残りやすく、この本でも一番印象に残ったのが夜の駐輪場で遭遇した幽霊のような男の子が蛍光イエローの反射板が付いたシューズを履いていたという部分です。
この最終的に怖さを演出するには絶対に邪魔でしかない情報のせいで怖いのか怖くないのか曖昧で終わっていく感じが実話怪談の大きな魅力の一つだと思います。
最後に
今月は意図的に投資から距離を取り、なるべく株価などをチェックしない生活を心がけました。どうしても株価の上下を頻繁に眺めていると短期の取引がしたくなるため、金持ち父さんシリーズで言うところのキャッシュフローを生み出すパイプラインを建設している途中なのだと自分に言い聞かせ、簡単な投資ニュースに目を通す程度であまり積極的に関わりませんでした。
やはり日々株価を追うよりじっくり読書でもしてひたすら株価が暴落し底値になるのを待ち続けるほうが心が落ち着くので今後もこのくらいの距離感を保ちたいと思います。
それとアマプラで見られる『ヒロシのぼっちキャンプ』も先月から引き続き空き時間が取れる度に見続けたものの、量が非常に多いため結局11月いっぱい見続けたのにまだ見終わらないというのは嬉しい誤算でした。
これほどハマるからには、自分はキャンプ動画が好きなのかと勘違いしYouTubeを色々見て回ったものの別段なんとも思わず、やはりヒロシに癒されているのだと気付きました。そもそもアウトドア系ではキャンプより登山のほうがビジュアル的に好きなので、本当は“ヒロシのぼっち登山”か“ヒロシのぼっち山のぼり”のほうが個人的には合うのだと思います。