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【#25】読書なんてしてる場合じゃなかった9月 | 今月読んだ本の紹介 | 2022年9月号

はじめに

 
今回は2022年9月に読破した本をブログでのレビュー記事あり・なし問わず紹介します。
 
今月は度が合わなくなったメガネやコンタクトを一気に新調して数万円の出費が出たり、持病である痛風の発作が出たせいで激痛のため3週間まともに歩けず病院で鎮痛剤を処方して貰いじっとしていたりとドタバタした月でした。
 
そのせいであまり読書が捗らず、足の痛みに耐えつつディズニープラスでダラダラとドラマや映画を見たり、株価の上がり下がりをボケッと何時間も眺めていたりと、ぼんやりと一ヶ月が過ぎ去った感があります。
 
今月はほぼドラマの視聴がメインで『オビ=ワン・ケノービ』、『ファルコン&ウィンターソルジャー』、『ワンダヴィジョン』、『ホークアイ』、『ムーンナイト』、『DEVS(デヴス)』とディズニープラスのオリジナルドラマを中心に大量の作品を見続けました。
 
特に『DEVS(デヴス)』は、映画『アナイアレイション』を監督したアレックス・ガーランドが中心のドラマとあってディズニープラスで視聴可能なことが分かると嬉しくて一気見しました。
 
DEVSトレーラー

 
『アナイアレイション』はアンドレイ・タルコフスキー監督の『ストーカー』の影響が濃い作品で、個人的に生涯ベスト級に好きなサスペンス映画です。
 

 
この『DEVS(デヴス)』というドラマは、当初見終わったらレビューを書こうと思っていたのに、最後まで見終えるとレビューを書くテンションまで到達せず結局書かず終いでした。
 
『DEVS(デヴス)』を見て分かったのは、アレックス・ガーランドは日本の映画監督で言うと押井守に近いということです。『アナイアレイション』は原作小説がありそれにアレックス・ガーランド色を加えて、いい感じのエンタメ&哲学的な映画に仕上がっていたのに対し、『DEVS(デヴス)』は最初から最後まで難解で哲学的な話が続くだけの退屈なドラマで、正直『アナイアレイション』のほうが100倍好きです。
 
日本もアメリカもこのような視聴者をほったらかして自分の世界に浸るタイプのクリエーターに好き勝手にオリジナル作品を作らせると似たような結果になるということがよく分かるドラマでした。
 

『DEVS(デヴス)』は退屈ですがそこらの二流・三流ドラマに比べたら遙かに映像は優れています

 
それと今月は痛風でまともに動けずネットを見続けていたら、PS5の値上げやそれに伴う日本のPS市場の崩壊という記事がやたら目に付き最近まったく追っていなかったゲーム情報をアップデートしようと色々記事を読み漁りました。
 
自分はマクロな視点でものを語るのが大嫌いなので、個人的な話をします。
 
結論から言うと、日本のPS市場がジワジワと衰退していった原因はPS向けRPGの衰退やSONYのユーザーとの向き合い方の問題だと思っています。
 
まず自分のゲーム歴を簡単に説明すると、据え置き機は子供の頃はファミコン・スーパーファミコンで育ち(PCエンジンも所有していたもののほぼ使用せず)、第5世代ゲーム機からPSがメインになりました。ニンテンドー64も所有していたもののコチラもあまり使用せずほぼ休眠状態でした。
 
なぜメインのゲーム機が任天堂からSONYのPSに移ったかというと、理由は単純明快で『ファイナルファンタジー』がPSに移ったからです。子供の頃の自分にとってゲームとはRPGでありFFであり、好きなRPGとFFの最新作がプレイできるハードを選択するということは当然でした。
 
アクションやアドベンチャーの比率が高い任天堂やセガのハードは論外で、RPG天国であるPSこそが至上のハードでありそれ以外の選択肢はそもそもありませんでした。
 
しかし、PS市場でRPGが衰退していくと同時にジワジワとPSの存在感も薄れていった感があります。
 
PS市場におけるRPGというジャンルの勢いが後退していった理由は様々で、ムービーだらけでゲームをプレイしているのかムービーを見ているのか分からないゲームが増えた、システムがあまりに複雑化しすぎた(特に『ファイナルファンタジー12』が顕著)、それと単純に供給過多や粗製濫造で飽きられたとか、海外のオープンワールドゲームの影響など、色々と考えられます。
 
中でも個人的に国産RPGの未来に危機感を抱いたのが『ファイナルファンタジー12』(PS2のゲーム)です。FF12のガンビットというAIの行動ルーチンをセッティングするシステムは個人的にあらゆるRPGの中でもトップ3に入るほど好きですが、ある経験をしてPSやFFの方向性としてコレは危ういという意識が芽生えました。
 
それはPS2のメモリーカードの容量が足りなくなりブックオフでFF12モデルの中古のメモカを発見しそれを購入した際の出来事です。
 

家中探したら5枚のメモリーカードが出てきました。上がPS2で下が初代PSのメモカです
メモリーカード内には前の所持者のセーブデータがそのまま残っており、もちろんFF12モデルなのでFF12のセーブデータも。何の気なしにそのデータをロードしてみると終盤に差しかかる寸前くらいで止まっており、なぜあともう少しでクリアという地点で止まっているのか最初は意味が分かりませんでした。
 
しかし、色々とゲーム内の設定項目を見ていくと理由が判明します。なんとガンビットのセッティングが一切ありませんでした!?
 
この人は多分ガンビットのルールがまったく理解できず、無理矢理マニュアルプレイで終盤まで進め、そのあまりの苦痛からついにここで限界に達しゲームをやめたのだと思います。
 
FF12をガンビットなしでプレイしたらクソゲーどころではないので逆にこの人は終盤までガンビットを使わずガッツだけで進めたことに感心すら覚えます。
 

FF12はガンビットを使いこなしてもテンポが悪くてプレイしていると眠くなるのに、ガンビット無しはただの拷問ですね

 
自分にとってガンビットは革新的だったのに、この人にとってはただのよく分からないゴミでしかないという事実はショックでした。
 
FF12のセーブデータが衝撃だったため他の自分の所有するPS2ゲームのデータも片っ端からロードして自分のデータと比較するという作業を丸一日繰り返し、前の所持者のゲーム観を徹底的に分析しました。
 
他人が長期間使用していたメモリーカードはまさに情報の宝庫です。メモリーカードを分析し自分のデータと比較するだけでその人のプレイスタイルやどれくらい難解なシステムに対応できるのかが手に取るように分かるため、この経験は貴重でした。
 
このガンビットを一切使わず終盤まで進めた苦痛の産物でしかないセーブデータはプレイヤーの退屈さや怒り、虚しさ、どこでプレイをやめようか悩みながら死んだ目でずるずるとゲームを進める際の表情まで封じ込めており、セーブデータ一つからここまでプレイヤーの感情を読み取れるものなのだと学ぶことができました。ネットの書き込みだとここまで鬼気迫るものを感じ取れません。実際に存在するセーブデータを目の当たりにすると大違いです。
 

セーブデータそのものが怒りや徒労感を訴えてきます

 
脱線が長くなりましたが、このようにPSの後期やPS2あたりからRPGが複雑化したこと始め様々な要因で徐々にPS市場のRPGの勢いに陰りが見え始め、それとリンクするようにPS3の時代になると目に見えてPS市場に勢いがなくなるなど、PS市場とRPG人気には強い関係があると思っています。
 
それに加え、PSで人気のRPGも元を辿れば任天堂ハードで発売されたものが多く、任天堂ハードが育てたRPGタイトルを半ば横取りする形で市場を形成したのに、結局そこから独自のRPG文化を開花させることが出来なかったこともPS衰退の遠因だと思います。
 
それどころか昔はアクションゲームのイメージが強烈だった任天堂ハードのほうに今では人気RPGが集中しているなど、個人的に日本ではRPGというジャンルを制するハードが勝つと信じているので、この点もPSには極めて分が悪いという感想しかありません。
 
結局、任天堂はPSに人気RPGを根こそぎ奪われた後、ポケモンはじめコツコツと新規IPを開拓しそれを育て続け、逆にSONYは任天堂が育てた人気タイトルを奪いそれを消費するだけで独自の価値を生み出すことができず、RPGが豊富という日本国内においては強力な優位性をズルズルと失っていったとしか思えません。
 
アメリカはシューター系とか、それぞれの国ごとにジャンルの好みがあるように、世界でも有数のRPG大好き民族である日本という市場においては魅力的なRPGタイトルなくしてハード競争に勝つなど到底不可能で、SONYはRPGというジャンルを自社のファースト・セカンドタイトルとして供給せず、ひたすらグラフィックがキレイな映画もどきのどうでもいいアクションゲームにばかり注力し、RPGイコールPSというアドバンテージを自ら放棄してしまった愚は挽回不可能だと思います。
 

日本人がどれだけRPG好きなのかピンとこない人はテレビゲーム総選挙のベスト100を見ると一発で分かると思います

 
やや話が逸れますが、昔から映画もどきゲームを作りたがるSONYの行動の意図が読めません。任天堂はハードの売上を牽引するマリオやポケモンやゼルダといった自社タイトルに力を入れるという至極当然のことをしているのに、SONYはなぜかそのようなことをせず、ひたすら映画もどきゲームを量産するという謎行動に走るばかりで意味がわかりません。
 
マリオやポケモンやゼルダの新作をやりたくて任天堂ハードを買う人はたくさんいても、『アンチャーテッド』や『ラストオブアス』や『ホライゾン』シリーズや『ゴッド・オブ・ウォー』の新作をやりたくてPS本体を買う奇特な人は少数としか思えず、SONYが何をしたいのかビジョンがまるで掴めません。
 
SONYが日本市場を重視しようが軽視しようがそんなのSONYの勝手ですが、少なくても今のセンスの欠片もないPSのポンコツRPGラインアップで日本国内で通じるワケもなく、任天堂のほうが遙かに日本のRPG好きのツボをおさえているという印象です。
 
やはりその国の国民性をキチンと踏まえてゲームを作らないとゲームが売れるワケもなく、任天堂は日本のユーザーの好みに寄り添いながらも決して甘えず、妥協せず傑作タイトルを数多く作りユーザーを心から楽しませ信頼を積み上げているのに、SONYは日本のユーザーの好みにキチンと向き合っておらず、海外ユーザーの好みをそのまま日本に押し付けるのみで、結果日本でPSのゲームソフトの売り上げがジワジワ落ち続けるのも仕方がないとしか思えません。
 
SONYの根本の態度が変わらない限り、たとえPS5が普通に買えるようになっても日本国内においてはユーザーからの信頼が厚い任天堂に勝てるとは到底思えません。
 

小説(マンガ) 3冊

 
投資を始めると企業の決算書を読む機会が増え、もう少し財務三表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)から企業の経営状態を正確に読み解けるようになりたいと思い、それに関連するマンガを多く読みました。
 
つくづくマンガ大国日本に生まれて良かったと思うのが、決算書の読み方を学ぶというそれほど需要が無さそうなジャンルのマンガが大量に存在することです。これのおかげでまず最初にマンガを読んで漠然としたイメージを掴んでから個々のより詳しい本に移るという流れがスムーズで、いきなり難解な本を読んで挫折する確率を減らせます。
 
プロのマンガ家は大体頭が良いので、そのような人たちが丁寧に知識を噛み砕いて分かりやすいマンガを描くことで難解なジャンルのハードルを下げることを計画的に行えば日本という国の国力を底上げできるではないかとすら思えます。
 
 
・『数字で考える習慣を持ちなさい 女子高生コンサルタント レイの数字眼』 著者:小宮一慶 漫画:蒼田山
 

 
凄腕の女子高生コンサルタントであるレイが数字を駆使して悪の企業と対峙したり、経営が傾いた会社を救うべく奔走する『女子高生コンサルタント レイ』シリーズの一冊です。
 
この本では日本の人口やGDP、平均給与など、日々ニュースで見かける数字を深く読み解くことで数字同士の繋がりを見抜く“数字眼”を鍛えるという内容です。
 
国の人口とGDPを知るだけで様々な情報を読み解けるなど、読んでいてためになるものの、やや個々の話が散発的でまとまりがなく、読み終えると結局何が言いたかったのかうやむやになるため、満足度はそれほど高くはありません。
 
 
・『女子高生コンサルタント レイのキャッシュフロー パーフェクトレッスン』 著者:小宮一慶 漫画:蒼田山
 

 
こちらも『女子高生コンサルタント レイ』シリーズの一冊です。
 
豆知識の羅列のような内容だった数字眼に比べると、コチラは財務三表の一つであるお金の出入りを示すキャッシュフロー計算書を読み解くということに特化しており、遙かに内容が充実しています。
 
このマンガを一冊読むだけでキャッシュフロー計算書に書かれた数字の意味がある程度読み解けると同時に、なぜ企業の経営状態を知る上でキャッシュフロー計算書が非常に重要なのかもストーリーを通して理解でき、シリーズの中でも学びが多い一冊です。
 
 
・『超高速 会計勉強法』 著者:國貞克則 漫画:伊咲一郎 脚本:井上博文
 

 
『財務3表一体理解法』という本をマンガ化したものです。
 
このマンガは作画と脚本をそれぞれ別の人物が担当しているため、画力が高い上にシナリオも過不足無く、しかも下敷きとする元の本の完成度も高いためか内容もかなり充実しており、今月読んだ財務三表関連のマンガでは最もバランスが取れた一冊でした。
 
マンガなので画力が高いとストレス無くスラスラ読める上に、財務三表の項目をバラバラに覚えるのではなく全て関連付けて覚えるという手法も新鮮で、楽し過ぎてロクに勉強もできないままあっという間に読み終えてしまいました。
 

マンガの長所でもあり同時に弱点でもある、勢いが付くとページをめくる手が止まらなくなるという問題に直面します

 
決算書を読み解くためというよりは会計の初歩を学ぶためのマンガですが、軽く簿記の復習にもなり元の『財務3表一体理解法』という本も読みたいと思わせてくれる一冊でした。
 

書籍 8冊

 
・『シンプリスト生活』 著者:Tommy
 

 
デザイナーでありながらYouTuberでもある著者が、なんでもかんでも物を捨てることを良しとするミニマリストではなく、自分の偏愛を中心としたシンプルな生き方“シンプリスト”という考え方を紹介する本です。
 
他者と一切被ることがない自分の偏愛こそを何よりも優先し、偏愛を中心にライフワークを構築するという考え方は、自分が求める人生観に非常に近く読んでいて著者の迷いのない生き方に憧れを抱くほどでした。
 
最近はミニマリストに限らず、人生のどこかの段階で自分の生き方に疑問を抱き人生を一端リセットした人と、ずっと同じルーチンで生きる人が何となく見分けられるようになりました。
 
リセットした人は“質”を誇る傾向が強く、そうでない人は“量”を誇る傾向が強いと思います。リセットした人は毎日自分がやりたいことをしているかどうかが大切で量には興味がなく、逆にリセットしない人は積み上げることに熱心で質にはあまりこだわらないように見えます。
 
例えば、量にこだわる人は何百本のゲームをプレイしたとか、何千本の映画を見たとか、何万冊のマンガを読んだとか、やたら数をアピールしたがりますが、リセットした人間にとっては数字はどうでもよく、その時間が楽しかったのか、充実した時間だったのか、自分の人生にプラスの影響をもたらしたのかという点を遙かに重視します。
 
この本もそのような量より質の生き方を説いており、自分も量を重視する生き方から質を考える生き方にシフトしたのでこの本のシンプリストという考え方が非常にしっくりきました。
 
ただ、本の半分ほどが自身の生活習慣やお気に入りのインテリアの話、仕事のデザイン論に終始するため、シンプリストという概念を深掘りしていく内容なのかと期待しているとやや退屈です。
 
個人的にオシャレなインテリアに囲まれた部屋で暮らしたいという幸福感がまったくピンとこないため、中盤以降はあまり興味が持てませんでした。
 

自分の場合、オシャレなインテリアに囲まれた部屋で暮らしたら虚しくて死にたくなると思います

 
 
・『年収300万円FIRE 貯金ゼロから7年でセミリタイアする「お金の増やし方」』 著者:山口貴大(ライオン兄さん)
 

 
経営者でありYouTuberでもある著者が、年収300万円でも達成可能なFIRE(サイドFIRE)のための基礎的な知識を解説するFIRE本です。
 
FIREに関する本を一冊も読んだことがないなら別段問題ありませんが、正直FIRE本としては可もなく不可もなくといった無難な内容で、どこかで見たことがあるような情報の羅列といった印象しか受けません。
 
そもそも著者は自分で立ち上げた会社を売却した資金でFIREを達成しており、この本に書かれた内容も実体験ではないためあまり具体性がありません。
 
FIRE達成者でFIREのやり方をレクチャーする人たちに共通の問題は、自分がFIREを達成した方法とは異なるテクニックを初心者向けとして教えることだと思います。その手法はハッキリ言って机上の空論に近いものがあり本当にそのやり方で大丈夫なのかという不安が拭えません。
 
せめて自分がFIREを達成した細かい手順も同時に並べて、この方法だと難易度が高すぎるから初心者はコチラのほうが良いなど比較しながら語ってくれないと信憑性がありません。
 
「自分はこうやってFIREを達成した。その過程でこのようなトラブルに遭遇しこんな手段で乗り切った」というその人だけが語れる実体験こそが何よりも貴重なのにありがちなマニュアルを語るだけで独自性も思想性も希薄でした。
 
 
・『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外に役立った』 著者:堀江貴文
 

 
ホリエモンが獄中で読んだ約1000冊の本の中から特にオススメの書籍やマンガを紹介するブックレビューです。
 
ホリエモンは幼少期から読書漬けで育っていることもあり本やマンガの目利きは相当なレベルで、紹介される本はどれも読みたいと思わせる内容のものが多く普通に参考になります。
 
書評はホリエモン自身の実人生やビジネスと重ねて語られており、ホリエモンという個人が好きであればあるほど、ホリエモンがなぜこの本に胸を打たれるのかが分かりより楽しく読めます。
 
読書をするようになって分かったのが、結局年がら年中本を読んでいるだけの人より、人生ひたすら挑戦の連続で生きている人に影響を与えるような本のほうが役に立つ率が高いということ。これは映画だろうとマンガだろうと基本的には変わらず、他人の人生や行動そのものに影響を与えるような力を秘めたものが自分自身が読んだ際も得る物が多いというのが実感です。
 
 
・『年率10%を達成する! プロの「株」勉強法』 著者:栫井駿介
 

 
つばめ投資顧問という会社の代表かつ投資系YouTuberでもある著者が、投資初心者を対象に投資の初歩的な知識を解説する株投資本です。
 
タイトルに株の勉強法とありますが、実際は勉強法というよりは投資を始める際の基礎知識(どこの証券会社に口座を作ればいいか、最初はどんな株を買えばいいのか、など)や、投資をする上での心構えを説明する程度で、勉強法と言われると若干疑問符がつきます。
 
投資を始める前の右も左も分からない状態に読む本で、すでに投資をしている場合はインデックス投資がオススメなど既知の情報が多くそれほど得る物はありません。
 
 
・『総合商社で働いて10年目に見える世界』 著者:加藤瞬
 

 
この本はKindleで自費出版されたもので紙媒体は存在しません。ページ数は100ページもないため1時間もかからず読めます。
 
投資を始めて長らく悩まされていたのが日本特有の“商社”というものの業態がまるで掴めないことでした。これまでは業務が不明瞭な対象に投資してはいけないと思いずっと先送りし続けてきましたが、商社の社員が商社の日常業務を紹介する自費出版本をいくつか読み、漠然と商社というもののビジネス戦略が見えるようになりました。
 
この本はあまり総合商社を俯瞰せずあくまで個人の視点に絞っており、総合商社の特定部署に配属された場合は日々このような業務に追われるということを軽く疑似体験できます。
 
総合商社の業態を知るというという点においてはやや物足りないですが、商社で働く際の空気や、社員のメンタルの片鱗が窺えるので読んで損はありません。
 
それに、商社のトレーディングビジネスはAmazonのビジネス戦略に近いという指摘も目から鱗でした。
 
 
・『総合商社のリアル これが商社マンの1日だ』『総合商社のリアル2 中堅商社マンの体験記』 著者:ドチ
 

 

 
この本もKindleで自費出版されたもので、ページ数は100ページにも満たず短時間で読めます。
 
『総合商社で働いて10年目に見える世界』はあくまで個人の視点に絞って自分自身が入社してから体験した出来事を赤裸々に語っていたのに対し、こちらは一歩引いて総合商社の業務を俯瞰で説明しつつ、フィクションを交えながら部署ごとに総合商社の社員の1日をシミュレーションして説明するという内容です。
 
基本どちらも総合商社に就職したい学生向けに書かれた本なため商社の日々の業務の空気を伝えることが主眼で、投資情報を調べるためといった用途には向きませんが、読めば商社の日常業務がイメージ出来るようになり、商社という謎に包まれた存在がやや身近に感じられるようになります。
 
 
・『お金持ちの教科書』 著者:加谷珪一
 

 
経営コンサルタントである著者が、約150人の富裕層の人たちにヒアリングし、お金持ちの行動・思考パターンをまとめた本です。
 
注意点としてはお金持ちになるためのノウハウが書かれた本ではなく、あくまでお金持ちの観察記録のような内容で、別段この本を読んだからといってお金持ちにはなれません。
 
この本は歯に衣着せぬ発言がズバズバと繰り出され、あまりの面白さについつい一気読みしました。
 
タワマン(タワーマンション)居住者は破産予備軍とか、お金で幸せは買えないが不幸は減らせるとか、家や自動車は“必要”ではなく“欲しい”という動機で買う人が多いなど、非常に鋭い指摘が多く、2014年出版とやや古い本ですが今読んでも十分楽しめます。
 
多分、1年前にこの本を読んでいたら自分が持つ金持ちイメージとこの本で語られる金持ち像がずれており、内容がまったくピンとこなかったと思います。しかしロバート・キヨサキの『金持ち父さん』シリーズや数々の投資本や金融リテラシー系の本を読んだため、現在ではこの本が言わんとしてることが手に取るように分かります。
 
ところどころ首をかしげる内容もあるにはあるものの、全体的には金持ちは変人が多い(変人ゆえに普通の人では思い付かないビジネスで儲けられる)とか、情報感度が非常に高いとか、時間単価に対してシビアとか、金持ちは凡人に比べるとリスクを取ることに積極的とか、チャンスと分かれば脇目も振らず喰らいつく行動力が抜きんでているなど、本当に金持ちにヒアリングしたんだなという説得力があり、嘘っぽさがありません。
 
それに著者自身も億を超える資産を運用する富裕層側の人間でもあるため資産が減ることに異常な恐怖を覚える富裕層の悩みへの共感や、世間では富裕層と言われるも実は大したことがない富裕層っぽいだけの人と、自分など遙かに超える超富裕層への客観的な分析などちょこちょこ実体験も混じっておりリアリティがあります。
 

最後に

 
今月は痛風に苦しめられロクに活動ができず、まるでパッとしない一ヶ月でした。去年の痛風発作は一週間程度で治まったのに、今年は異常に痛みが長引いて未だに完治しません。
 
やはり、体が不調な状態でモチベーションなど上がるはずもなく、何をするにもダラダラとしか動けず、健康な体こそ人生で最も大切な資本であると痛感した月です。
 

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