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【#22】目指せFIRE!! 投資家デビューを果たした6月 | 月刊ミニ・ブックレビュー 2022年6月号

はじめに

 
今回のミニ・ブックレビューは2022年6月に読破した本をブログでのレビュー記事あり・なし問わず紹介します。
 
今月は資産運用の一環として投資を始めようと思い立ち、楽天証券に口座を開設したり、マイナンバーカードを取得したり、どの銘柄を買おうか、どんなポートフォリオを組もうかひたすら悩み続けたりと、丸々一ヶ月ほぼ投資のことばかり考えて過ごしました。
 
まず楽天証券に口座開設の申し込みをすると審査に一週間ほどかかり、ようやく郵送でログインIDやパスワードが到着。
 
いざ投資を開始しようと思うと、今度は楽天証券のサイトにログインするためにはマイナンバーが必要と気付きあわててマイナンバーカードを申請。
 
なんだかんだでマイナンバーカード交付書が郵送で届くまで約三週間ほどが経過。届いた交付書を持って市役所の市民課にマイナンバーカードを受け取りに行くとマイナンバー通知カードが必要と言われ、そんなもの見た記憶がなくその場で通知カードを紛失扱いにしてもらう書類を記入しようやくマイナンバーカードを取得。
 
なんだかんだで投資を開始するための準備に四週間ほどを費やしました。
 

6月の頭に投資を始めようと決意し初めて株を買えたのが6月の末だったので本当に1ヶ月丸々投資の準備だけの月でした

 
ただ、この期間で投資について勉強を重ねたため、最初に買おうと思っていた株は自分の運用方針には合わない銘柄だと気付けるなど、時間がかかった分間違いを回避することが出来結果オーライといった感じです。
 
最初は投資に対して熱に浮かされたように前のめりの姿勢だったのに、調べれば調べるほど投資は本気でのめり込み過ぎると収入を全て未来の蓄えに回し現在の生活を犠牲にする行為であると気付き、徐々に熱が冷めいざ始める頃には無理のない額だけ投資に回そうと冷静になれました。
 

お金持ちは投資で財産を築いたのではなく、本業で稼いだお金を種銭にして投資に回しているだけという、このカラクリに気付くのにかなりの時間を要しました

小説 1冊

 
・『バビロンの大富豪 -「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか-』 著者:ジョージ・S・クレイソン 訳者:大島豊
 

 
1926年にアメリカで出版されて以来、約100年に渡って世界中の資産家に読み継がれる名著『The Richest Man In Babylon』の翻訳版です。
 
本の中身は、古代バビロニア(バビロン)を舞台に、資産の増やし方や仕事によって信頼を勝ち取る極意、そもそも働く意義とは何なのかを説くオムニバス形式の寓話集です。
 

これを小説と書くのは若干無理がありますが、ぎりぎりオムニバスの短篇小説としても読めます

 
まったく同じ原作を元としたマンガ版『バビロン大富豪の教え』も読みましたが、正直マンガ版のほうが取っ付きやすく初めてならマンガ版のほうが優れていると思います。
 

 
原作はオムニバス形式なため登場人物がごちゃごちゃで誰が誰だか把握し辛いですが、マンガ版は主人公をバンシルという一人の少年に固定し、原作のバラバラな話を全てこの少年が人生を通して経験していく出来事に再構成しており登場人物の関係性が遙かに整理整頓されています。
 
ただ、マンガ版はどうしても子供をターゲットにしているせいかバビロンで過酷な労働を強いられる奴隷に関する描写が取り除かれており、その点は若干気になりました。
 
活字版は死ぬまでバビロンのために働かされる奴隷たちの悲惨な実態や、奴隷の処刑を楽しそうに見学する権力者など、バビロンの光と闇が両方描かれますが、マンガ版だと単にサクセスストーリーになっており、話がやや軽く感じます。
 

このせいで栄華を誇ったバビロンも最終的には滅んでしまうという歴史の意味合いが若干変わって見えます

書籍 7冊

 
・『本の世界をめぐる冒険』 著者:ナカムラクニオ
 

 
ブックカフェを経営する著者が、世界中の本(本のみに限らず情報を載せるメディア広範)の歴史と、書店や図書館の未来像について語る本です。
 
タイトルに本の世界とあっても、内容は情報を載せるためのメディアの進化史の話であり、紙の束である本の話は全体の一部に過ぎません。なので紙の質感やら紙の匂いがどうたらというノスタルジックな本の話にならずメディア史として読めますが、100ページにも満たない(ラストに参考文献が10ページ近く並ぶので実質90ページもない)ため、どうしてもダイジェストでしかないという不満も残ります。
 
 
・『知らないと恥をかく 世界の大問題13 -現代史の大転換点-』 著者:池上彰
 

 
世界中の時事問題を根っこの部分まで遡り解説する『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズの最新刊です。
 
13巻は当然本の大半がロシアのウクライナ侵攻に関する解説で、ロシアが軍事侵攻に至った歴史背景を簡潔に知ることができます。
 
このシリーズは安定の面白さなのでどの巻を読んでも損することはありません。
 

 
・『プログラミング教育はいらない -GAFAで求められる力とは?-』 著者:岡嶋裕史
 

 
日本の未来にとっていかにプログラミング教育が重要なのかを解説する新書です。
 
プログラミングを覚える過程で問題を細分化して考えるクセが身に付くこと、社会がITによってブラックボックス化していくことに対抗するためにはプログラミング教育によってIT全般に対する苦手意識を潰すことが有効という主旨となっています。
 
例えば『RPGツクール』という自分でRPGを作ることが出来るシミュレーションゲームをやるとゲーム内に表示されるオブジェクトはただのハリボテで、そこにイベントを組み込むことで単に見た目をそれっぽく見せているだけというゲームの基本的な構造が把握できます。
 
それと同様にデジタル化されパッと見複雑に見える社会や経済のルールに惑わされず根本の仕組みを見抜くには、早期のプログラミング教育でIT耐性を身に付ける必要があるという主張は納得出来ました。
 

 
・『ブロックチェーン -相互不信が実現する新しいセキュリティ-』 著者:岡嶋裕史
 

 
ビットコインなど暗号通貨に使われるセキュリティ“ブロックチェーン”の仕組みを解説するブルーバックスの科学本です。
 
この本はこれまで読んだブルーバックスの本の中でも分かりやすさで言うとベスト3に入るほどスラスラ読めました。
 
特に、コンピューターがデータの改ざんや破損をチェックする際のセキュリティの仕組み部分の解説が最も面白く、普段何気なく使っているPCの中でこのような処理がされていると分かると感動します。
 

 
・『メタバースとは何か -ネット上のもう一つの世界-』 著者:岡嶋裕史
 

 
『プログラミング教育はいらない』と『ブロックチェーン』と同一の著者が、メタバースについて持論を述べる新書です。
 
この本はハッキリ言って期待ハズレでした。読む前はブロックチェーンのようなメタバースを成立させるテクノロジーについての解説なのかと思っていたら技術的な話は最小限でほとんど文化論や社会論の話です。
 
メタバースとは異世界転生もののようなリアルの世界に対して不平等という感情を抱く者や居場所が無いと絶望する者たちのリセット願望を満たすための疑似世界でもあるという指摘は面白く、メタバースに対してこのような捉え方もあるのだという学びはあります。
 
しかし、上記の二冊を読む際にも若干気になっていた物事をやたら斜に構えて見たがる性格がより前面に出ており、正直読んでいて不快に感じる箇所も多々ありました。
 
とにかく自分はオタクでコミュ障だからリアルの女性より二次元の女の子と一緒に仮想世界で死ぬまで暮らしたい、リアルは嫌だ、現実から逃避したいという話が延々と続き、なぜお金を払ってこんなネチネチと世を拗ねるオタクの愚痴のようなものを読まされるのかと若干うんざりもします。
 
客観的なメタバース論というより、多分に著者の偏見や願望を多めに含んだ歪んだメタバース論であり、この本を読むとメタバースに対してどちらかというとネガティブなイメージを持ちます。
 
 
・『投資ド素人が投資初心者になるための 株・投資信託・つみたてNISA・iDeCo・ふるさと納税 超入門
 

 
株と投資信託の違いや、証券会社の特定口座と一般口座など、投資に関する様々な基礎知識が網羅された投資の入門書を読むための入門書という位置付けの本です。
 
この本は投資を始める前にとりあえず投資とはどのようなものなのかイメージを掴むための一冊としては最適でした。
 
インデックス投資が何なのか分からないとか、投資信託やETF(上場投資信託)の違いが分からないといった初心者がつまずきそうな問題を丁寧に解説してくれるため、まずこの本を読んでおくと次から投資関連の本を読む際や情報に触れる際に混乱せずに済むようになります。
 
ただ、このような投資初心者向けの本はどれも少なからず投資に関して希望を持たせるような内容のものが多く、後々投資に関して調べれば調べるほどそんなに都合の良い話はないと気付くため、あまり美味しい話を間に受け過ぎるのも毒だなと思います。
 

投資をすると簡単にお金持ちになれる気がしますが、実際は銀行の利息より投資の利回りのほうが少し高い程度で資産を爆発的に増やす力など到底ありません

 
・『お金の大学』 著者:両@リベ大学長
 

 
会社経営者でありながら投資家で、かつYouTuberでもあるというマルチな才能を発揮する著者が、収入アップや貯蓄、投資といったマネーリテラシー全般について分かりやすく解説する本です。
 
初めてこの本の表紙を見た際は、お金について語る本なのにやたら初心者向けっぽいファンシーなイラストで100%うさん臭さしか感じませんでしたが、YouTubeの動画でお金に対するマジメな態度を見るとそのイメージも払拭されました。
 
正直、YouTubeの動画と内容がほとんど被っているため、動画を多く見ている場合はそれほど目新しい情報はありません。
 

レビュー記事でも書いたとおり正直この本を読むよりYouTubeの動画を視聴するほうが得るものが多いと思います

 
それでも資産形成をするにあたって有益な情報が一通り網羅されておりパラパラめくるだけでもためになり読むと確実に得します。
 
余談ですが投資を始めると投資以外の行動全てがムダ遣いに思えてしまい、投資を始める前よりお金を使うことに恐怖がつきまといます。この本は適切なお金の使い方もマネーリテラシーの一つとして組み込まれており、改めて投資している人を前提として書かれた本なのだと気付けました。
 

本の中で「貯める」と「使う」のバランスには生きるセンスが問われると書かれており、投資を始めると全てのお金を投資に回したくなるのでこの部分が身に沁みて分かります

最後に

 
今月は普段読み慣れない投資に関連する本や情報ばかり漁っていたためいつもと異なる頭の使い方をしてやたら疲れました。
 
ただ、新しい情報に触れると世界の見え方に広がりや奥行きが生まれ、投資をする前と後では景色が変わるため今後もコツコツ投資の勉強を続けたいと思います。
 

例えば、世間的に有名なのは子会社のほうでも株は親会社が発行しているので親会社の名前のほうを覚えるクセが付くなど、確実に世の中の見え方が変わります

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