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【#16】月刊ミニ・ブックレビュー 2021年12月号

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はじめに

 
今回のミニ・ブックレビューは2021年12月に読破した本をブログでのレビュー記事あり・なし問わず紹介します。
 
12月は大河ドラマ『風林火山』にドハマりして、結局まともに読書ができないというこれまでと同じ失敗を繰り返す月でした。大河ドラマは日本のあらゆるコンテンツの中でも最高峰なので、最初は他のことと平行して少しずつ見ようと思っても結局ぶっ続けで見る羽目になり、生活リズムが完全に崩壊します
 

 
大河ドラマを見終わると今度はPSプラスのフリープレイで配られていた『ジャッジアイズ』にハマり、コチラもかなり長時間プレイしました。
 

 
ただ、クリア後もプラチナトロフィーを目指してコツコツプレイしていたらついにPS4のコントローラーが壊れてしまい、ゲームをまったく遊べない状態に。前々から右スティックが軽くドリフト状態だったのが本格的に壊れ、ゲーム中カメラがずっと高速で左回転し続ける状態になり、右スティックを使うPS4ゲームはまともにプレイできなくなりました。
 
コントローラーを買い換えるにも初代PSもPS2もPS3もサードパーティ製のコントローラーは性能がゴミだったので純正以外は使いたくありません。コントローラーが粗悪だと、ゲーム中に思った通り動かない場合ゲームの操作性が悪いのかコントローラー側の問題なのか区別が付かなくなるので純正以外の選択肢はありえず、その純正コントローラーすら中古以外はロクに売っていないとなるともうお手上げです。
 
PS5はそもそも買えず、PS4本体も生産中止、PS4の純正コントローラーですら新品にプレミアが付いて高くて買えないと、もう日本のPS市場は半分崩壊しているような状態で、しかも現状XboxもswitchもPCゲーもソシャゲにも興味が無くゲーム全般ここらが引き時かなと思います。
 

昔はゲーム依存症のような状態だったのでむしろ自然治癒して良かったのかもしれません

 
12月だけでなく今年一年を振り返ると、大河ドラマ『義経』を見てから原作小説を読み、宮尾登美子さんという偉大な作家に出会えたのが一番の収穫です。宮尾文学を読むようになってから小説観がガラリと変化し、文章がヘタな凡作小説を一切受け付けない体となりました。
 
日本の歴史に名を刻む本物の文豪とはそこらの流行作家とこれほどまでに格が違うのかということを徹底的に叩き込まれ、これまで良いと思っていた小説にすら興味がなくなりました。もう宮尾文学を知る前の自分には絶対に戻れません
 
今でこそ大河ドラマを見た後に原作小説を読むというのは当たり前の習慣になったものの、当時は2000ページオーバーの分厚い原作を読むかどうか散々迷ってから手を出したので、この時に読むことを選び本当に良かったと思います。
 

『義経』の原作小説がどれくらいのボリュームかというと『指輪物語』の旅の仲間、二つの塔、王の帰還を全て合わせた文庫版全9巻くらいの量です

小説 1冊

 
・『風林火山』 著者:井上靖
 

 
戦国時代の武将である武田信玄に仕えた軍師・山本勘助かんすけが主人公の歴史小説です。大河ドラマ『風林火山』の原作小説でもあります。
 
合戦などより山本勘助と武田信玄、そして信玄の側室(愛人)でありながら勘助が想いを寄せる片思いの相手、由布ゆぶ姫の三角関係のような愛憎劇が魅力です。
 
ただ、歴史小説としては歴史考証の間違いが多く文章も素っ気ないため、完成度は高くありません。
 

大河ドラマ版と読み比べると大河ドラマ版がいかに凄まじい完成度なのか一発で分かるので比較のため読む分には損はありません。大河ドラマ版は最高です

書籍 3冊

 
・『名画で読み解く プロイセン王家12の物語』 著者:中野京子
 

 
名画からヨーロッパ各国の王朝(王家)の歴史をひも解く『名画で読み解く』シリーズの一冊で、今巻はプロイセン(ドイツ)のホーエンツォレルン家が解説されます。
 
ドイツは勤勉で質素なプロテスタントの国なため他の王朝に比べると一段と地味で華やかさに欠け、権力闘争や暴力が渦巻く他の王朝に比べるとさほど刺激的な内容ではありません。
 
それでも、中野京子さんの本なため一定水準以上の面白さは確実にあり、読むとドイツに対する見方が確実に変わります。
 

 
・『ビジネスの武器としての「デザイン」』 著者:奥山清行
 

 
イタリアのフェラーリなどでカーデザイナーとして活躍した著者が、デザインをビジネスに活かす方法を語るビジネス書です。
 
著者がデザインした車両

 
『フェラーリと鉄瓶』、『100年の価値をデザインする』など、過去に読んだ本は一切ハズレがなく、この本も工業デザインに対する独自の美学が語られ興味深く読めました。
 
しかし、過去に語っていたデザイン論やブランド論が若干重複しており、さほど目新しさがないのは残念です。
 

 
・『日本半導体 復権への道』 著者:牧本次生
 

 
日本の総合電機メーカー日立ひたちの技術者として人生の大半を半導体に捧げた著者が、半導体の歴史を解説する新書です。
 
タイトルだけ読むと半導体ビジネスに関する経済的な話が中心のような印象を受けますが、実際は半導体の基礎知識やその歴史、技術者としての激動の半生を綴った回顧録のような内容となっています。
 

タイトルは『日本半導体の歴史』などのほうが適切だと思います

 
中でも日本の半導体事業が好調で世界シェアトップを争っていた時代に技術者として最前線に立ち、実際に現場の空気を吸ってきた著者の話がメチャクチャ刺激的で面白く、ほとんど一気読みしました。
 

ここは、まんま『プロジェクトX』です

 
日立の歴史上最年少で部長に昇進するという異例の大出世をしたかと思いきや半導体事業の赤字を理由に降格させられたり、また半導体需要が高まり出世街道に返り咲いたと思うと今度は日本とアメリカが結んだ“日米半導体協定”の煽りで格下の工場に左遷されたりと、日本の半導体の歴史そのものをなぞるような著者の浮き沈みが激しい人生は非常に読み応えがあります。
 

余談ですが、この本を読むと日本に半導体技術で負けそうになると圧力をかけて潰そうとしてくるアメリカに腹が立ち、アメリカ嫌いになります

 
世界有数の半導体大国だった日本がアナログの技術に固執した結果世界中が一斉にデジタルへと転じる際に乗り遅れ、アメリカや韓国、台湾に半導体の技術力で惨敗し今に至ると、保守的な日本の問題点が半導体の分野にもそのまま現れていることが見て取れます。
 
この本は学びが多く詰まっており、なぜ中国が世界中から非難されても台湾を支配したがっているのか、なぜアメリカは中国のファーウェイに制裁を加えたのかなど、これまでは政治的な問題だと思っていたニュースが半導体の奪い合いであることが分かり国際情勢の見え方がガラッと変わりました
 
ただ、半導体に関する基礎知識や歴史、半導体を巡る国際情勢の説明も、全体的に広く浅くの内容でもう少し踏み込んで欲しいと不満を感じる箇所も多々ありました。
 
それにタイトルにある日本の復権への道というのも、単に車の自動運転やロボティクス産業というこれから伸びる分野に力を入れるべきと言うありきたりな提案でそこも若干肩透かしでした。
 

著者はジャーナリストではなく技術者なので、技術的な話に絞ったほうが専門性をより活かせたと思います

 
多少の不満があっても、今月読んだ本の中では読む前と後で世界の見え方が最も変わった一冊でした。
 

最後に

 
ここ数年、読書中心の生活に切り替えてから興味を持てばアートだろうと科学だろうと歴史だろうと政治・経済だろうとどんなジャンルの本でも読むというスタンスできましたが、そろそろ読むジャンルを絞らないと浅く広くしか知識が身に付かないという危機感が生まれ、来年は突き詰めるテーマを絞ろうかと考えています。
 
 
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