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月刊ミニ・ブックレビュー #13 2021年9月号

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はじめに

 
 今回のミニ・ブックレビューは2021年9月に読破した本をブログでのレビュー記事あり・なし問わず紹介します。
 
 今月は、今更ながらPS4スリムをSSDに換装しゲームを延々とプレイしていました。
 
 SSDに換装しようと思ったキッカケは、『アサシンクリード オリジンズ』のファストトラベルの耐えがたい長さです。一回ごとに通常ゲームの起動時間くらい(約40秒ほど)待たされるため、長時間プレイしているとファストトラベルが憎たらしくなってきます。
 
 チョロッと一周だけプレイするならオープンワールドゲームの移動が不便でもさほど問題ありませんが、数百時間やり込もうと思うとジワジワ確実にゲームのモチベーションを削ってきます。そのため、ロード時間の短縮のため、思い切ってサンディスクのSATA SSDの中でも高性能なウルトラ3Dを買いました。
 
 
 結論を言うと、PS4の内蔵HDDをSSDへと換装して大正解でした。
 
 PS4本体の起動時間が半分にまで短縮され、PS4のメニュー画面を操作する際に感じるあらゆる動作のもたつきも改善。ゲームのロード時間も軒並み減り、快適さが以前とは比べものにならないほど向上しました。
 

SATA SSDの中でも割高なため高性能なサンディスクのウルトラ3Dを奮発した甲斐がありました。その結果、メインPCよりPS4のストレージのほうが高性能というアベコベな状態です

 
 自分はファミコン、スーファミで育っているため、そこまでグラフィックの綺麗さにこだわりがなく、レスポンスの改善やロード時間が大幅に減るほうが嬉しく、SSD化による恩恵は絶大でした。
 
 ネット上の検証記事や動画を見るとPS5はさらに高速らしく、ロード時間短縮のためだけにPS5を購入してもいいと思うように。ただ、PS5本体の値段がバカ高いためさすがに躊躇します。
 
 ネット上の書き込みを読むと、店に売っていないから買えないという意見ばかりで、自分のように本体の値段が高すぎて買えないという経済的な事情のものは皆無で、自分の生活ってそんなに世間に比べて貧しいのかと恥ずかしくなります。
 

小説 2冊

 
・『クレオパトラ』 著者:宮尾登美子
 

 
 アレクサンドロス大王の側近であったプトレマイオス1世を祖とするプトレマイオス朝エジプト最後のファラオ、クレオパトラ7世の生涯を描いた歴史小説です。
 
 クレオパトラに対し並々ならぬ想いを抱く宮尾登美子さんの手で描き出される読書好きで聡明、全身全霊でカエサルやアントニウスと恋をした等身大の人間としてのクレオパトラ像は非常に魅力的です。
 
 それに、ローマの英雄カエサルも爽快な快男児として登場するため、恋愛小説を読むようなトキメキもあります。
 
 ただ、元が新聞連載のため歴史小説としては重厚さが足りず、やや物足りなさもありました。
 
 この小説を読んだことで紀元前1世紀の古代エジプトや学術都市アレクサンドリアに興味を持ち、20世紀フォックスを経営危機に追い込んだ曰く付きの4時間を超える大作『クレオパトラ』や、女性天文学者ヒュパティアが主役の『アレクサンドリア』といった歴史映画にも手を出し、9月はずっと古代エジプトの月でした。
 

ちなみにこの小説がキッカケで同時代である『アサシンクリード オリジンズ』を再プレイし、その結果ハマりまくってシーズンパスを購入しDLCまでやり尽くし、挙げ句の果てにこのゲームを快適にプレイするためだけにPS4をSSD化するまで至りました

 
 余談ですが、『クレオパトラ』同様超大作ハリウッド映画『ベン・ハー』を見たら事前の予想と異なり歴史映画ではなくキリスト教映画で驚かされました。
 
 この歳まで『ベン・ハー』は勝手に王道の歴史映画だと思い込んでいたため、まさかハリウッド黄金時代の名作『素晴らしき哉、人生!』同様の善人が神によって救われる宗教的な映画だと知って恥ずかしくなりました。
 

 
・『かい』 著者:宮尾登美子
 

 
 大正・昭和の高知県(土佐)を舞台とし、作者である宮尾登美子さんの両親と自身の出生の秘密を描く自伝的な純文学であり、自費出版ながら作家としてのデビュー作でもあります。
 
 この小説は大正・昭和の日常生活が現実を凌駕するほどリアリティがあり、文章も美しく、登場人物はみな多面的な魅力があり、物語としても構成が見事と、何から何まで非の打ち所がない完璧な完成度でした。
 
 リアリティの出し方も単に小手先の説明量が多いだけという安易なものではなく、それらが最終的に全て主人公・喜和きわの人生を変える一瞬の出来事の緊張を限界まで高める効果を発揮し、自分がその場に立ち会い運命の瞬間を目撃した気分になるほど、並みの小説では決して到達できない域に達した大傑作でした。
 

この小説があまりに衝撃的すぎて、他の小説を読む気が失せたのも今月の読書量の少ない原因の一つです

書籍 2冊

 
・『世界のエリートが学んでいる哲学・宗教の授業』 著者:佐藤優
 

 
 元外交官の佐藤優さんが、大学で行った哲学や神学に関する講義を書籍化したものです。
 
 本の中で特に面白かったのは、アメリカのマッカーシズム(赤狩り)をモデルとし、ナショナリズムを説明する講義でした。
 
 ナショナリズムとは元からある問題をきつけるのではなく、ある人間が出世したい場合に元々存在しなかった問題をねつ造し、仮想の敵を作ることで大衆の憎悪を煽り自己の評価を上げるテクニックでしかないとこの本では語られます。
 
 ナショナリズムとはそもそも目的を持たず、そのため問題そのものに意味など無く、さらに一度仕掛けると修正が効かず、焚き付けた本人すら取り消せない一方通行のものであるという指摘も恐怖を感じました。
 
 同時に、実は世の中に蔓延する社会問題とされるものの中に、一人の人間が自己の注目度を上げるためだけに意図的にねつ造された問題もどきが混じっていると考えると頭が痛くなります。
 
 ただ、一部興味深い講義はあるものの、全体としてはこのような哲学・神学的な見方や考え方があるという非常にあっさりした表面的な説明に終始し、佐藤優さんの本の中ではやや薄味でした。
 

この方向性の本だと『思考法』のほうが圧倒的に内容が濃く、読み応えがあります

 
・『テンプル騎士団』 著者:佐藤賢一
 

 
 中世、イスラム勢力によって占領された聖地エルサレムの奪還のため派遣された十字軍の中から、エルサレムに巡礼するキリスト教徒を盗賊などから護衛する目的で自然発生的に生まれたテンプル騎士団。その善意の集団がどのような経緯で中世ヨーロッパ全土を股にかける巨大勢力へと成長し、後世様々な伝説と共に語り継がれる存在となったのか、その歴史が解説される本です。
 
 宗教的熱狂が生み出したまったく無計画で無謀な十字軍の遠征という特異な環境が作った歴史上類を見ないほどデタラメなテンプル騎士団の栄枯盛衰は、知的好奇心をこれでもかと刺激されメチャクチャ面白く読めました。
 
 最初はただの善意でキリスト教徒を守るだけの信仰心にあつい組織のはずが、徐々に十字軍を支える死を恐れない軍隊へと組織規模を拡大し、果ては中東やヨーロッパ全域をカバーする中世の巨大銀行へと変貌を遂げ、しかし最期はフランス王フィリップ4世とローマ教皇の手で一斉逮捕され、拷問・処刑で悲惨な結末を辿るテンプル騎士たちの生き様に心底魅了されます。
 
 特に興味深かったのは、テンプル騎士団は来日した宣教師フランシスコ・ザビエルが所属するイエズス会のようなキリスト教の修道会の一つで、そのためテンプル騎士も全員修道士であり、それゆえに悪事を働かず信用を得て方々から多額の寄付寄進がされ、最終的にはヨーロッパの様々な王に金を貸すまでの巨大銀行のような集団と化していったという数奇な歴史です。
 
 この本を読んでいて思い出すのが、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』でした。信仰心があつく禁欲的で勤勉なためむしろ金が集まり、それゆえに強大な権力を持ち暴走が始まるという皮肉な構造がプロテスタントが生まれる前にすでにテンプル騎士団で起こっていたのかと思うと、宗教と資本主義の不思議な関係に思いを馳せざるを得ません。
 

最初は『アサシンクリード』シリーズへの理解を深めたいという軽い動機で読み始めたのに、まさかテンプル騎士団とアメリカの構造がそっくりという壮大な話へ至り、大満足な一冊でした

最後に

 
 今月はほぼ『アサシンクリード オリジンズ』だけで終わってしまい、読書に手が回りませんでした。まだ数百時間は古代エジプトの神々しい砂漠を走り回りたいので来月も読書量は少ないと思います。
 
 

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 最近は、ゲームが趣味の中心でなくなったおかげで、ゲームの最新事情に詳しくなろうという気負いや義務感が完全に消え、プレイしていてほんの少しでも退屈なゲームは躊躇なく途中で止めることが出来るようになりました。
 
 そのため、『ニーア オートマタ』も『メトロ エクソダス』も『ファイナルファンタジー7 リメイク』も全てつまらなくて途中でやめるなど、ゲームに対し柔軟な対応が取れます。
 
 昔なら絶対にこれら有名どころのゲームを我慢してクリアするまで嫌々プレイし続け時間を無駄にしていたのが嘘のようです。
 
 おかげで昔より好きなゲームだけ長時間プレイするようになり、ゲームライフが充実するようになりました。
 
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