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月刊読書記録 #04 2020年12月号

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はじめに

 
 今回の読書記録は2020年12月に読破した本をブログでのレビュー記事あり・なし問わず紹介します。
 
 ここ数ヶ月は読書ブログ化するために読まれる気配もない記事や、もはや作品自体に興味がなくなりリライトするのが面倒な記事は削除していく方針に切り替えたので、全体的に記事数は減っていく一方でした。
 

ゲームの場合はアップデートで改良されていくため初期の間違った情報が残り続けるなど面倒なんですよね。ソフト自体が手元になく、もはや書いてある内容が正しいかどうか確認できないような場合もなるべく消すようにしています

 
 少し前までは、時間をかけて書いた記事を削除するのはさすがに精神的にキツく、長らくリライトもされず適当に放置されている記事が多くありました。しかし、最近は記事そのものよりも、その記事を書く過程であれこれ悩むことで作品の良し悪しを見抜く審美眼を鍛えられる経験のほうが遙かに貴重だと気付け、記事そのものへの執着は消え躊躇無く消せるように。
 
 さらに、減った分の記事を新たに補おうという意識が生まれ、記事を書くことに対するモチベーションも同時に高まるので一石二鳥です。
 

小説 2冊(上下巻をカウントすると3冊)

 
 今月は今年の中でもワーストと言っていいほど小説を読めませんでした。2作品ともにページ数が控え目で、2冊合わせても長めの小説一冊分にすら劣ります。
 
 
のぼうの城 上・下 著者:和田竜
 
 
 
 一つ前に読んだ歴史・時代小説が『火天の城』でその次が『のぼうの城』という二冊連続で“~の城”というタイトルで、両作品とも城に関連する内容だったことにレビューを書いている途中で気付きました(ただの偶然)。
 
 原作に比べ単純化され深みのなくなった映画版より圧倒的に面白いので、映画を先に見ている場合でも問題なく楽しめます
 
 ネットで調べるとそもそも『天地明察』のように、ライトノベルのような文体で書かれた読みやすさ重視の歴史・時代小説の走りらしく、楽しい上にスラスラ読めました。
 
 ちなみに、今まで歴史小説と時代小説はほとんど同じ意味だと思い特に使い分けていなかったのが、どうやら堅い内容が歴史小説で、エンタメ重視のものが時代小説らしいと知り、面倒なのでこれからは歴史・時代小説と呼び方を改めようと思います。
 
 
罪人の選択 著者:貴志祐介
 
 
 貴志祐介作品の中でも、短編の防犯探偵・榎本シリーズが寒い笑いに走った作風で苦手だったため、同じ短編である本作も読む前は不安でした。しかし、こちらはクドイだけの笑いとは無縁で、貴志祐介さんの得意とする神経質なまでに細部にこだわり抜いた架空の生き物描写が読み応え抜群でどの短編も満足のいく完成度です。
 

なぜか防犯探偵・榎本シリーズだけ、貴志祐介作品の中で笑いのセンスが浮きまくって酷い有り様ですね

 
 一流の作家は好む題材のセンスが良く、貴志祐介小説を読んでいると生物学に興味が湧き、関連する本が読みたくなります。
 
 これといって突出した完成度の短編はないものの、久しぶりに作家性が前に出た癖の強さが心地いいSF短編を堪能できました。
 

書籍 4冊

 
極悪鳥になる夢を見る 著者:貴志祐介
 
 
 作家貴志祐介の誠実さが溢れるエッセイ集で爽やかな余韻が残ります。
 
 エッセイとしての完成度はそこそこ程度ですが、貴志祐介作品を読んでいればいるほど作品アイデアの元ネタや、なぜあのようなメッセージ性の強い小説を書くのかその人間性のルーツが垣間見られ非常に有意義でした。
 
 注意すべきは、あくまで貴志祐介作品が大好きで、ある程度の数の著作を読んでいるということが前提という点です。
 
 
バッタを倒しにアフリカへ 著者:前野ウルド浩太郎
 
 
 この本は、AmazonのKindleでポイント50%還元セールをやっており、何の気無しに読み始めたら面白くて一気読みしてしまいました。
 
 サバクトビバッタに関する話という、貴志祐介さんの『罪人の選択』を読んだ直後で生き物を扱った本へ関心が強かったタイミングともドンピシャでした。
 
 サバクトビバッタのフィールドワークが中心ながら、大学で博士号を取得しても就職先はないし、研究費もロクにでないというポスドクが抱える過酷な現状を知ることも出来、有意義な一冊でした。
 

ニコニコ動画のイベントに参加した際の楽しい思い出話が時代を感じさせます

 
山はどうしてできるのか 著者:藤岡換太郎
 
 
 地学ってメチャクチャ面白い!!
 
 この学問は、地球の仕組みが理解できた際の快感がミステリー小説で謎が解ける瞬間よりも強烈で、読めば読むほど虜になります。
 
 本の内容を理解し、頭の中でプレートの動きがシミュレーション出来るようになると、脳内で疑似地球を想像し、海溝を設定しプレートを動かすことで脳内地球に山を作る遊びすら可能で、もはや天地創造が自由自在な神になったような気分にすらなれます。
 
 山への理解と難解な本を読破する達成感が同時に味わえるため、今月読んだ本の中でも特に衝撃的な一冊でした。
 

昔、ブルーバックスを勉強のため嫌々読んでいたのが嘘のようです

 
戦国武将の解剖図鑑
 
 
 最近は、歴史ものの作品をより楽しむために日本史、中でも戦国時代に関する勉強を集中的にしているので、その一環で読みました。
 
 各武将ごとに2ページほどの簡単な解説と、その武将の家紋、身に着けていた鎧兜のイラスト、愛用の美術品などの情報が載っているため、詳しく集中して勉強するというより、たまに手にとってイラストで各武将の特徴をおさらいする用途に非常に向いており、買って良かったと思います。
 
 特に武将ごとに甲冑(直江兼続の愛の字が特徴の兜など)が簡素に紹介されているのと、家紋がセットで載っているのが地味に便利で、大河ドラマを見る際や歴史・時代小説を読む際に側に置いておくと非常に役立ちます
 

各武将のお気に入りの茶器など、所有していた美術品が載っているのは完全に漫画の『へうげもの』の影響ですね

 
 このような分かりやすさを重視する図解系の歴史本は、その時その時の人気歴史作品の影響をもろに受けており、自分が買った本も真田幸村(NHKの大河ドラマ『真田丸』の主人公)の表紙の上にさらに明智光秀(同じく大河ドラマの『麒麟がくる』の主人公)の表紙カバーが二重に被さっており、若干安易だなとも思います。
 

その分ドラマや映画、小説に頻繁に登場する武将が多めで素直にありがたいですけどね

最後に

 
 今月はブルーバックスの『山はどうしてできるのか』以外はどれも読みやすい本ばかり選んでしまい、もう少し歯応えのある本を読まないと成長できないという焦りを感じた一ヶ月でした。
 
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