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【OVA】シリアスな死の連続か~ら~の~ほのぼの雪祭り |『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』| レビュー 感想 評価

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PV

評価:75/100
作品情報
劇場公開日
ソフト発売日
2018年10月6日
2019年6月7日
話数 全1話
アニメ制作会社 WHITE FOX

アニメの概要

 
この作品は、TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』のOVAです。
 
時期は、ウルガルム討伐直後の話で、丁度1期の前半が終わりこれからより過酷さを増す後半へ突入するその束の間の平穏な時を切り取った小休止的なエピソードとなります。
 
そのため、ストーリーらしいものは存在せず、ひたすらエミリア陣営のキャラクターたちが1時間バカ騒ぎし続けるゆるい話で、終始ほのぼのムードが漂い肩肘張らず気楽に見ることが出来ます。
 
本編の殺伐とした雰囲気から離れることで、登場人物たちがシリアスさの裏に隠す素朴な一面を覗かせる貴重なOVAです。
 

最強のボケクイーン、ラム

 
リゼロ本編は主人公スバルが大切な誰かを救うため、ひたすら惨たらしい死に耐え続けながら死に戻りというループ状態を繰り返すという壮絶さだったものの、このOVAにはそのような暴力シーンは一切登場しません。
 
序盤は久しぶりのリゼロだったこともあり、スバルのキャラクターやセリフ回しがやたら古くさく感じたり(そもそも所持している携帯電話がガラケーなのが時代的に不自然過ぎたり)、笑わせ方が相変わらずノリツッコミだらけで若干くどかったりと、正直あまり好ましい印象を抱きませんでした。
 
しかし、シリアスさから距離を取ったほのぼの展開が続くことで緊張もほぐれ、キャラクター同士のコミカルなやり取りを自然と楽しめるようになりました。
 
このリゼロなのにリゼロの象徴のようなシリアス展開が皆無という点が非常に新鮮で、シリアスを抜くとリゼロという作品はこんなに無邪気な表情を浮かべるのだと、シリーズの新しい側面に気付けます。
 
そして何よりも本作で最も輝いているのがボケキャラとして神がかっているラムでした。
 
本編では双子の妹であるレムの魅力に隠れていたのが嘘のようにボケ担当としてのキレ味が増し、ラムのボケが自分の笑いのツボを直撃し続け、終始ラムのワンマンショーでした。
 
ダウンタウンの松本人志さんが、人を笑わせるためには相手を警戒させないよう面白いことなんて言いませんよという風な自然体を装い、リラックスした状態から不意打ち的に面白いことを喋るほうが効果的というような持論を持っており、それに当てはめると最初からいかにもボケをかましそうで見る側をボケ待ち状態にさせるレムよりも、いつも無表情なのに唐突にボケを繰り出すラムのほうが言動が予測できない分効果が高いのかなと、なぜかお笑い論についてあれこれ考えさせられます。
 
途中からラムが画面内にいるだけで別段何もしていなくても突発的な笑いが起こりそうな気配すら漂い、こと笑いに関しては他のキャラを完全凌駕しています。
 
本編ではそれほどでもなかったものの、このOVAを見たらラムのボケキャラとしての存在感がたまらなく好きになりました。
 
スバル始めリゼロのメインキャラたちの笑わせ方は自分の好み(映画的な構図や間の取り方、場面に漂う空気で笑わせる手法)とは異なり、TVのバラエティ番組的なしつこさで若干苦手ですが、今回はラムの好印象に引っ張られて全キャラ余すことなく魅力的に見えます。
 

最後に

 
雪祭りで変な雪像に対してひたすらツッコミを入れていくとか、エミリアやレムが酒を飲んでエッチに酔っぱらうなど、どう考えてもわざわざOVAで1時間かけてやるほどの話ではなく、後味も非常にさっぱりで、見ても見なくても本編の理解には一切支障はありません。
 
しかし、リゼロの本編では気付けなかった作品のほっこりする一面を発見できたり、ラムのボケキャラとしての圧倒的なポテンシャルの高さに魅了されたりと、本作を見たことでリゼロという作品に対しての好感度が大幅に向上し自分的には大満足な作品でした。
 

Re:ゼロから始める異世界生活シリーズ

 

 
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