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ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン2 〈レビュー・感想〉 スティーブ兄貴の恋愛指南

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トレーラー

 
評価:85/100
 
作品情報
配信日 2017年10月27日
話数 全9話
アメリカ
動画配信サービス ネットフリックス

短評

 
 安定した面白さはシーズン1とほぼ変わらず、先が気になるストーリーも、作品を彩る個性豊かなキャラクターの魅力も健在。
 
 しかし、強引に新キャラを登場させたりCGを使ったど派手なシーンを増やしたりと、やや凡庸な大作ハリウッド映画の続編のような作りとなり、まとまりがあった前シーズンと比べやや取っ散らかってしまった。
 
 それでも圧倒的に長所が勝り、シーズン1ほどではないものの、並のドラマを凌駕するほどの中毒性がある。
 

あらすじ

 
 時代はシーズン1から一年後の1984年ハロウィンが近づきお祭りムードが高まるホーキンスの町で、畑のかぼちゃが大量に腐るという奇妙な事件が発生する。
 
 不審に思ったホーキンス警察署の署長であるジム・ホッパーはこの件を調査するも、次から次に作物が腐る似たような事件が多発し調査は難航。
 
 しかし、それはホーキンスの町全体を揺るがす危機のほんの前触れに過ぎず・・・・・・。
 

ザ・ダファー・ブラザーズのサービス精神という名の作家性

 
 このシリーズの核でもある、見る者を楽しませることに心血を注ぐ大盛りのサービス精神は相変わらずで、シーズン1同様多少の不満を覚えようが、見ている間はずっと安心して作品に身を任せられ、幸福な気分に浸れます。
 
 アニメで言うとガールズ&パンツァーの水島努監督、ゲームで言うとメタルギアソリッドの小島監督など、それが見る者の満足に直結するような高精度なサービス精神はもはやそれ自体を作家性と呼んで良いのではないかと思うことがありますが、本作の中核のクリエーターであるザ・ダファー・ブラザーズも同様。
 
 今シーズンは、ザ・ダファー・ブラザーズがほとんどの回を監督していたシーズン1に比べるとやや他の監督回が多く、作風にバラツキもあるものの、それでも全体としては非常に安定しており、相変わらずのセンスの良さを披露してくれます(ただ、一話の冒頭のあまりにもヘタ過ぎるカーチェイスは別)。
 
 サービス精神と言えば、『ゲームデザイナー小島秀夫の視点』というブログを書籍化した本の中で、小島監督は、
 
自分で云うのもなんであるが、僕の趣味嗜好はごく平凡だ。特異なセンスを持っているのではない。天才でもない。世の中のユーザーと同じセンスを持ったクリエーターだ。だからこそヒットビジネスを生業として続けてこられたと思っている。
 
 と、自己分析しているように、くだらないマーケティングに頼る必要もなく、自分の好みを押し通せばそのままユーザーが喜ぶ作品に自然と近づいてしまう感性のクリエーターはことエンタメ業界では無敵だなと感じます。
 
 それプラス、オマージュを捧げる対象が大好きゆえに生半可なものは作れないという覚悟が作品をここまで輝かせるのかなと考えさせられました。
 
 本作を見ているとつくづく自分は自己満足のアート系作品を作るようなタイプの人よりも、このようなビジネスという視点を強く持ち、ヒットするしないを考慮して作品を作れるプロ意識の高いクリエーターに惹かれる傾向が強いんだなぁと実感させられます。
 
 ・・・・・・と絶賛しつつ、これから不満が続きます。
 

ストーリーからキャラクターに主導権を明け渡し、散漫になったシーズン2

 
 シーズン1は、少年少女の淡い青春ドラマと巨大な陰謀を絡ませる中毒性の強いストーリーでグイグイと引っ張る作りだったのに対し、今シーズンは前シーズン終盤に起こった事件の事後処理が並列して描かれ、やや盛り上がりに欠けます
 
 過去に起こった出来事なんて大胆に省略すればいいのに、いちいちあの時にこんな事が起こっていましたという、アメリカドラマ特有の説明臭い回想シーンを入れるせいで、今シーズンはテンポがあまり良くありません
 
 それにストーリーが主導権を握っていた前シーズンに対し、今回はキャラクターがそれを奪ってしまい、全キャラを満遍なく立たせようとしすぎるあまり話がやや散漫となり、普通のアメリカドラマに近くなってしまったような印象です。
 
 キャラクターを大事にし過ぎるため、スポットを当てる人物をまったく削らず、それどころか新キャラまで増やしたせいで、一人一人の掘り下げをしつつ、それぞれの人物が追う事件を最終的に一つに絡めるという脚本の難易度が大幅に増し、結果的に無理を感じる瞬間が多く、気になりました。
 
 作中にパロディ的に登場する映画のゴーストバスターズの1に対する2のような、ハリウッド映画にありがちな美しくコンパクトにまとまっていた一作目に対して、足し算的に要素を増やしたような続編のあり方をなぞってしまっており、シーズン1の満足度に比べるとやや弱いです。
 
 ただ、傷心のスティーブがいつの間にかダスティンの兄貴分的な存在となり、恋のアドバイスをするなど、シーズン1の時点では考えられないような登場人物同士の絡み方も堪能できるため、一概にダメというワケでもありません(多分きっちり脚本を作り込もうとしたらこのような接点のない者同士を絡ませるという展開は起こらないはず)。
 
 不満はそこそこ多いものの、それはシーズン1があまりにも素晴らしすぎたための反動で、今シーズンも並のドラマに比べ面白さでは群を抜いています。
 

インパクトがなくなった映像表現

 
 シーズン1はホラー映画ではありがちなものの、電球始め照明をやたら点滅させる手法で異常を表現する手法を多用したり、きちんと裏の世界のセットを作り役者にそれを触らせたりと、世界観を映像で体感させられていたのに、今回はそこら辺の表現がふわふわしており、物足りなさを感じました。
 
 ネットフリックスにある本作のメイキングを見ると、シーズン1に比べ今シーズンはVFX(CG)量が10倍ほど増したという話をしており、物足りなさの原因はこれだなと合点がいきました。
 
 80年代の映画にはほとんどないようなグリーンバック臭い場面が増えたせいで、ジョー・ダンテ監督のグレムリンをやりたいであろうシーンが、よくある今時のモンスター映画のような安っぽい絵面になってしまっており、イマイチ魅力がありません。
 
 ホーキンスの町を襲う事態がシーズン1よりスケールが増した分CGを多用しなくてはいけないという事情は理解できるものの、シーズン2を見た後だと、手作りによる温かみを重視するシーズン1は本当にバランス感覚が優れていたなと懐かしくなりました。
 

最後に

 
 全体的にシーズン1に比べ準備期間が足りなかったのかなと思うような、細部にやや配慮が欠けた強引さが目立ちます。
 
 それでもトータルで見たら並のドラマを遙かに凌駕する面白さで楽しめました。
 
 
ゲームデザイナー小島秀夫の視点

ゲームデザイナー小島秀夫の視点