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【海外ドラマ】イギリス発の毒っ気炸裂SF社会風刺ドラマ! |『ブラック・ミラー シーズン1』| Netflix | レビュー 感想 評価

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評価:80/100
作品情報
放送期間(イギリス) 2011年12月4日~18日
話数 全3話
イギリス
ネットワーク チャンネル4(現在はネットフリックスで配信)

ドラマの概要

 
この作品は、イギリスのSFドラマ『ブラック・ミラー』シリーズのシーズン1です。
 
1話完結型のスタイルで、『トワイライトゾーン』と『モンティ・パイソン』の社会風刺を混ぜ合わせたような奇っ怪な作風が特徴です。
 
1話完結型のエピソードそれぞれのアイデアに出来不出来の差はあるものの、全体的には志の高さと確かなセンスを感じさせる良作です。
 

現代版トワイライトゾーンチックな奇譚&近未来SF風モンティ・パイソン的社会風刺ドラマ

 
アメリカの古典ドラマで、一話完結で毎回凝りに凝ったアイデアを披露する『トワイライトゾーン』(日本で言うと『世にも奇妙な物語』)。
 
本作はそれにイギリスを代表するコメディグループであるモンティ・パイソンの毒っ気のある風刺要素を取り入れたような一風変わった作風です。
 
本作を見ると、未だに階級社会が根強いイギリスはモンティ・パイソンやサシャ・バロン・コーエンといった風刺を得意とするコメディアンや、優れた風刺コメディドラマなどが生まれやすい土壌なのかなと考えさせられます。
 
役者もいかにもコメディアン風な人とは正反対のマジメそうなタイプをキャスティングし、風貌や所作ではなくあくまで設定から生じる違和感やギャップで笑わせようとするヒッチコック映画のようなユーモアセンスとも共通するものがあり好感が持てました。
 
総じて、イギリスの毒っ気たっぷりの風刺作品の凄さを見つけられる一作でした。
 

不満あれこれ

 
本作で最も不満なのはインパクトの足りないオチの弱さです。
 
この手の寓意性を売りにするような作風なら、スッキリとしない余韻に浸りながら自分なりに物語から得た教訓を何度も反復して整理する過程が何よりも貴重なのに、終わり方があっさりし過ぎて記憶に残りません。
 
初期の頃の『X-ファイル』が未解決のまま事件が終わるせいで、良い意味で物語体験がしこりとして記憶の片隅に残り、その整理のつかないもどかしさこそが何よりも魅力と感じられるように、本作ももう少し見る者に重い課題を残す工夫があればなお良かったと思います。
 

最後に

 
突出したインパクトや派手さはありませんが、SF風刺ドラマをどのように語るのかという戦略に秀でた良作でした。
 
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