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【海外ドラマ】残念・・・有終の美、飾れず |『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』| Netflix | レビュー 感想 評価

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トレーラー

評価:75/100
作品情報
配信日 2018年11月2日
話数 全8話
アメリカ
映像配信サービス ネットフリックス

ドラマの概要

 
序盤はクレアを傀儡にし、利権を得ようと企むシェパード兄妹との陰湿な嫌がらせ合戦という、いかにも『ハウスオブカード』らしい内容で見やすいものの、後半はシーズン5と同様シナリオの焦点が絞り切れていないせいであっちへこっちへよろめくような話し運びが連続し、まるで安定しません。
 
もはや擁護不可能な脚本の質の低下に加え、ケヴィン・スペイシーのセクハラスキャンダルによる強引な主役の交代など、傑作だった『ハウスオブカード』の思い出を汚しに汚しまくって終わる、最悪な最終シーズンでした。
 

あらすじ

 
フランク・アンダーウッドの突然の大統領辞任を受け、副大統領だったクレアが昇格し、アメリカ初の女性大統領が誕生した。それから数ヶ月後、フランクはホワイトハウス内で謎の死を遂げる。
 
フランクの元部下で、死後も彼を崇拝するダグ・スタンパーは、クレアが隠蔽したとされるフランクの残した遺言の内容を知ろうと行動を開始するのだが・・・。
 

崩れ落ちるカードの家のごときガタガタの脚本

 
シーズン5は登場人物の言動に一貫性がなく、物語にスケールも感じず、散々な内容だったものの、今シーズンも同程度の出来で、傑作だったシーズン1~4と比べると格段に見劣りします。
 
主演俳優であるケヴィン・スペイシーのスキャンダルの影響で、主役がフランクからクレアに変わったことも不満の要因としては大きいものの、シーズン5の時点ですでに内容はボロボロだったため、例えフランクが続投していたとしても結果にそれほどの違いは無かったと思います。
 
そもそも、クレア役のロビン・ライトもケヴィン・スペイシーに負けず劣らずの名優だけに、フランクが不在でも作品の格をまるで落とさないのはさすがでした。
 
前半部分はまだ『ハウスオブカード』らしい、野心を持つ者同士が利権を争い表面上は友好的な態度を取りながら水面下ではネガティブキャンペーンを展開し、敵陣営を潰そうと躍起になるという展開で見やすくはあります。ただ、その面白さもあっけなく崩れ去り、結局すぐまた迷走状態に逆戻りで大半は話がどこに向かっているか分からず退屈でした。
 
クレアもフランク同様コチラ側がまったく想像もしていない奇抜な行動で驚かせてくれるものの、やはり根本の脚本がガタガタな煽りを受け、うまく突飛さが生きず、ただただ行動が一過性でスベっているようにしか見えません。
 
登場人物たちが第四の壁を破ってコチラ側に話しかけ、悪事の共犯者の気分にさせられるという手法もほとんど慣例に従ってやっているだけで特になんの効果もなく、見ていて逆に虚しくなります。
 
今シーズンの最大の敵であるシェパード兄妹も、キャラクター自体はどうとでも転がせそうなほど幅を持たせて描いているのに、話数が全13話から全8話に削られている影響か、クレアに対する脅しがやや性急に感じられ貫禄不足でした。
 
それにシェパード兄妹の妹であるアネットの息子を中心に起こる、シェパード家の本当に取って付けたような安っぽいにも程があるホームドラマ展開も酷く、『ハウスオブカード』史上ここまで適当に家族間のイザコザを描いたのは初めてなんじゃないかと思うほど周囲から浮いており、呆れました。
 
総じて満足度は恐ろしいほど低く、これまで楽しかった思い出までぶち壊して終わるためむしろケヴィン・スペイシーのスキャンダルが発覚した直後に打ち切っていたほうがシリーズへのダメージが少なかったのではないかと思うほどです。
 
唯一、これまで犯罪を犯し、うやむやになっていた者が罪を認め、事件を自白するくだりがあるのだけは救いでした。これがあるおかげでフランクたちが犯した事件の被害者のことも一応は決着するので、そこだけはスッキリします(ただ、ある重要な人物は一切罪を償わずに終わります)。
 

最後に

 
多分ケヴィン・スペイシーのスキャンダルが無く、順風満帆に行っていたら間違いなくドラマの歴史に名を残し、傑作中の傑作として後世まで語り継がれていたであろうことを考えると、このあまりに不出来なシーズン5・6は悔やまれる限りです。
 

ハウスオブカードシリーズ

 

 

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