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強引な中毒性にのみ依存してしまった砂漠探索アクションRPG 「アーク オブ アルケミスト」(PS4版) 〈レビュー・感想〉

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プレイ動画

評価:60/100
作品情報
ジャンル アクションRPG
発売日(日本国内) 2019年2月7日
開発(デベロッパー) コンパイルハート
開発国 日本

短評

 
 バトルや探索などゲーム内のあらゆる要素が荒削りを通り越して作りかけのような不完全さでアクションRPGとしては完成度が低め。
 
 お金を代価にキャラクターのステータスを強化できる成長システムや、拠点に素材やお金を投資すると強力な武器や防具、アクセサリーが購入可能になる拠点の発展要素は中毒性だけが浮きすぎて極めてバランスが悪い。
 
 結果、戦闘もダンジョン探索も退屈なのに中毒性だけは強力という歪なゲームになっている。
 

作りかけ要素を寄せ集めたようなダンジョン探索

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 ゲームをプレイする前はてっきり徐々に行動範囲が広がっていくオーソドックスなアクションRPGなのだと思っていました。しかし、実際にプレイすると拠点をベースにしながら古代文明の遺産が眠る砂漠をひたすら奥へ奥へと進んでいくダンジョンRPGに近い構造でやや予想が外れる結果に。
 
 そのため一応スケールの大きい世界観設定は用意されているものの、ダンジョンをひたすら進みながら時たま思い出したように会話で世界の謎が明らかになっていくという雑さで、大して面白味はありません。
 
 拠点に帰還した際に唐突に挿入される本筋と関係ないキャラクター同士の掛け合いを延々聞かされるのも苦痛だし、別段何か深みがあるわけでもないただ殺風景なだけの砂漠を進み続けるのも単調だしと、ゲーム部分と物語部分はまったく馴染んでおらずそこに期待しても肩透かしで終わります。
 
 中盤くらいで明らかになる死にゆく世界に秘められた衝撃的な事実は国産RPGのカタルシス展開が大好きな自分としては非常に好みです。ただ、とにかく伏線も何もない準備不足の状態でいきなりぽんと設定だけ提示されるためまったく乗れませんでした。
 
 メインのダンジョンもやっつけで作ったような構造で、だだっ広いだけで中身がスカスカです。
 
 一応、火・水・風・土の4つのオーブでギミックに干渉し、謎解きしていくというアドベンチャーっぽい要素もありますが、思考の柔軟さを求められるパズル的な工夫はなく、指定の場所で言われた通りのオーブを使用するだけ。そのため、プレイヤーが周りを観察して推理するなどの余地は皆無で謎を解いたという達成感は乏しいです。
 
 唯一テンションが上がるのは、序盤で砂に埋もれて開けられないとか、その時は行き方が分からない場所にあるためスルーした宝箱を中盤で入手したオーブの力で回収に戻る部分ぐらいです。
 
 

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光る部分もあるものの、基本はボタンを連打するだけの作業バトル

 
 戦闘はシンボルエンカウントではなくリアルタイムアクションです。この広さのダンジョンで、それほど大作でもない割りにリアルタイム戦闘は頑張っているなとは思うものの、とにかくボタンを連打するだけの単調さで終始戦闘は作業でしかありません。
 
 敵の挙動を観察しながら立ち回るような戦略性のあるアクションゲームというよりも、ハクスラアクションRPGタイプに近く、ただただ接近して斬りまくるだけ(武器によっては遠距離攻撃も可能)で、深みは皆無です。
 
 そもそも敵を倒すとランダムで素材をドロップするので、ハクスラゲームに分類してもあまり違和感はないほどです。
 

 
 戦闘は終始退屈ですが、中には気に入ったアイデアもありました。それはギアアクションというオーブを使った特殊アクションの中でも、フィールドに設置できるタイプの像やトラップです。
 
 

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 これは回数制の魔法のような役割を担っており、敵を自動で攻撃し続けるタレットのような役割をする像や、設置すると周囲の味方を回復し続ける像。敵の攻撃を引き付ける囮の像や、敵が接触すると爆発するトラップの像など、オーブの組み合わせで使えるギアアクションが変化します(『メタルギア サヴァイブ』の迎撃ユニットや防衛ユニットの簡易版のような感じ)。
 
 魅力の乏しいバトルの中で唯一これだけは発展の余地があり、もっと作り込めばこれ単体で大量の敵の進行を喰い止めるタワーディフェンス的なシチュエーションを作ることもできそうなので、中途半端さが悔やまれます。
 
 ギアアクションを強化してダメージを増やすなどカスタマイズが不可能なため、中盤以降は回復以外は使い道がなくなり不要な存在と化すのが残念でした。
 

乱暴な中毒性を生むシミュレーションゲーム的金欠病

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 本作は一応RPG要素(成長要素)はあるものの、レベルが上がってもスキルツリーで能力が開放されるわけでもなく、なにか新しい能力を習得するわけでもなくハッキリ言ってただの空気でしかありません。
 
 その代わりにキャラクターの能力値を自由に弄れる楽しさを味わえるのが拠点の発展要素です。
 
 砂漠で入手する素材や、素材を換金して得るお金を拠点の施設に投資し新しい施設を建てれば建てるほどより強力な武器や防具、アクセサリーが購入可能となり、さらに訓練施設に投資すればキャラクターが持つアビリティの強化上限を上げられるようになるなど、拠点への投資で様々な恩恵が得られます。
 
 

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 さらに多数いるキャラクターのステータスも少量の素材とお金があればいつでも強化が可能となります。
 
 その結果起こるのが凄まじい金欠状態です。
 
 素材がどれだけ豊富に余っていようが、お金がどれだけ潤沢だろうが、投資やキャラクターのステータス強化を十分に行う額はそれの数十倍、数百倍上回るため、莫大なお金を入手してもあっという間に使い果たして無一文に逆戻り。このゲームで最初から最後まで懐に余裕があるという状態は皆無でした。
 
 キャラのステータスを上げたい……お金がない。
 
 アビリティを強化したい……お金がない。
 
 強力な装備が欲しい……お金がない。
 
 拠点に投資したい……お金も素材もない。
 
 その癖、ダンジョンを歩きまわっていると高額で換金できる素材がぽんぽんと入手でき、喜び勇んで拠点に戻るとあっという間に獲得したお金はすっからかんとなり、また高額な素材を求めてダンジョンを徘徊するのくり返し。
 
 良く出来たアクションRPGに比べ、ゲームバランスが悪いということを逆手に取ったかのような、金と素材さえあれば序盤から何でもやりたい放題という放任的なやり込み要素のせいで、「あと少し、あと少し・・・・・・」とダラダラプレイ時間が伸びてしまいます。
 
 ここまで来るとRPGの中毒性というよりも経営シミュレーションゲームやリアルタイムストラテジーのマネジメント的な、あっちに投資すればこっちは後回しになってしまうといった、常に金策で四苦八苦させられる気分に近く、中毒性の出し方が通常のアクションRPGとは異なるような奇妙な感覚でした。
 
 結果、ダンジョン探索は退屈で戦闘は作業的でキャラクターや物語は薄くて魅力がないのに中毒性だけが突出して強いというかなり歪な作品に感じます。
 

なんならログインボーナスでも入れて毎日お金が手に入ったほうがやる気が出そうです

 

不満あれこれ

 
 本作は隅から隅まで欠点だらけで挙げ出すとキリがありません。
 
 まずバトルに関する不満
 
・バトル中のエフェクトが無駄に派手すぎて、視界がエフェクトで埋まって何も見えなくなる時があること
・オブジェに近づくとカメラが突然コントロール不能となり頻繁に自キャラを見失ってしまうこと
・そして、ボスの強力な攻撃の予備動作が分かり辛いこと、などなどです。
 
 中でも一番ストレスだったのが、ボスの即死級の攻撃の予備動作がほとんど分からないこと。
 
 本作は回避ボタンがあるのにザコ敵戦ではほとんど使うことがなく、基本ただ攻撃ボタンを連打するのみです。しかし、ボス戦はたまに強力な即死級の技を使ってくるため回避する必要に迫られるのに、その攻撃がほとんどノーモーションに近く、最初はなぜパーティが全滅しているのか理解できませんでした。
 
 あまりにも序盤は敵の予備動作が見分けられず、慣れるまでPS4のビデオクリップ機能でプレイを録画して全滅する少し前に敵が何をしているのかを確認するという作業を何回か繰り返しました。
 
 ただでさえ敵の挙動を観察して回避するという習慣がまったく付いていないにも関わらず、ボスだけいきなり即死級の攻撃をしてくるのはやや乱暴に過ぎると思います。
 
 次は、フィールド周りの不満。まずダンジョンに設営できるキャンプが拠点への帰還と完全に効果が重複しているため存在理由がほぼ皆無なこと。いつでもどこでも瞬時に拠点に帰還できるのに、わざわざお金をかけてそれと同じ効果を発揮するだけのキャンプを設営する意味がほとんどありません。
 
 キャンプを設営すると仲間が戦闘で死亡した際にバトルに復帰するまでの時間が短縮されるという利点もあるものの、即時に拠点に戻ってもう一度出撃したほうが手っ取り早く、存在理由が最後まで不明でした。
 
 最後は土のオーブを使って地面にブロックを設置して、通常は移動できない高い場所に昇るというアクションを行う際に、どこが昇れる場所なのかパッと見で見分けがつかないこと。
 
 

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 これは操作性が悪いことと相まって、相当な回数苦しめられました。単に自キャラが地形に引っかかって昇れないのか、そこは元々昇れない場所なのか何回も試さないと結論が出せないため非常に不便です。
 
 何度飛び乗ろうとしても失敗し「じゃあ、ここは昇れない場所なんだな」と半ば諦めムードで何の気なしにジャンプしたら今度はあっさり昇れて困惑させられるということが何度かあり、もう少し見た目で昇れる場所なのか否か判断できる工夫が欲しかったです。
 

最後に

 
 クリアまで約12時間ほど。
 
 ところどころ磨けば光りそうな箇所はあるものの、アクションRPGとしては厳しい出来であまり満足度は高くありません。