えんみゅ~ -えんためみゅーじあむ-

アニメ、映画、海外ドラマ、ゲームなどのエンタメ作品総合レビューブログ ※グローバルメニューは左上です

えんみゅ~

[アニメ]CHAOS;CHILD(カオス チャイルド)〈レビュー・感想〉 決して映像化が成功しないカオスシリーズの呪い

f:id:chitose0723:20190401115907j:plain

PV

 

評価:55/100
 
作品情報
放送期間 2017年1月~3月
話数 本編全12話+TV未放映のサイレントスカイ編
アニメ制作会社 SILVER LINK.

短評

 
 原作ゲーム版の展開をただなぞるだけなのにも関わらず、あらゆる美点を殺し尽くす改悪要素で埋め尽くされた駄作。
 
 シリーズ構成と脚本がずさん過ぎてまともに基本の内容すら理解できないトンデモ映像作品。
 

ガタガタのシリーズ構成と各話脚本がもたらす恐怖体験

 
 アニメが始まると冒頭から寒気を覚えるほどダサイ前作カオスヘッドの「その目誰の目」のシュプレヒコールが叫ばれ、その絶望的なセンスの無さに期待値がマイナスに転じ、即どん底に突き落とされました。
 
 本作は監督自らがシリーズ構成と全話の脚本を担当しているものの、ここの出来の悪さが常軌を逸しており、ただ単に話を見続けるだけで苦痛なほど。これほどまでに壊滅的な出来になるならプロのシナリオライターに任せたほうが絶対にマシ。
 
 シロウトが思いつきで書いたのかと思うほど話の筋がぐちゃぐちゃで、今何をやっていて話がどこに向かっているのか頻繁に見失うばかりで、一つも起こっている出来事に集中できません。もはや実写映画版のデビルマンを思い出すほど、油断しているとあっという間に前後の流れがぶつ切られ、迷子になります。
 
 構成が酷すぎるのに加え、本来なら互いに密接な関係にあり分断できないはずの設定を平気で片方だけ削ぎ落とすなど、無茶苦茶な改悪を加えているので、原作のゲームをやっているとアニメ版は何をどうしたいのかさっぱり意図が掴めません。
 
 ドラゴンボールで例えると、ゴクウが地球人ではなくサイヤ人という宇宙人であること。サイヤ人の中にはより戦闘に適した体に変身できる力を持った者が少数存在することなどの事前情報を一切伝えないまま、突然ゴクウがスーパーサイヤ人になり、なぜ体が金色に光り出したのかまるで理解できないような状態。
 
 前提となる設定をほぼ説明しないまま唐突に何か深刻な事態が起こるので、もはやヘタなコメディにしか見えません。人が猟奇的に殺されるたび雑な脚本と不器用な演出のせいで笑いが漏れ、細やかな描写の積み重ねと巧みな映像テクニック、演出のリズム感が要求されるホラーとしてはまったく成立していません。
 
 重苦しさを画面で語らず登場人物にわぁわぁぎゃあぎゃあ泣きわめかせるため、やかましいだけの下品なホラーに成り下がっており苦痛でした。登場人物の悲痛な想いは見る者が想像し読み取るもので、押し付けるものではありません。
 
 本作を見ると、ホラーとコメディというジャンルが紙一重で、少しでも間違えるとパロディになってしまうのが良く分かります。
 
 序盤から後々重要となるニュージェネの再来事件の被害者のエピソードを飛ばし、さらにあらゆる細かい伏線までも削られているため、中盤くらいからアニメオリジナル展開でも始まるのかと勘違いするほど、どう話を展開して畳むのか想像できず、終始不安に苛まれ続けます。
 
 なのにも関わらず終盤に突入するとそのまま説明不足と伏線無しの状態のまま原作ゲームとほぼ同じ展開になり、案の定グダグダのまま終わるため、なんのこっちゃ分からずポカンとさせられるばかり。
 
 こんなことになるのはもう最初の一話の段階で必要な描写を抜いてしまったことで簡単に予想できるため、まるで目の前にある丸見えの落とし穴に向かって緩やかに歩を進め、直前で避けるのかと思ったらそのままただ落っこちるのを延々と1クールかけて見せられただけのようで、気味が悪いです。
 
 それでも唯一原作でもボリュームが少ないトゥルーエンドをほぼ忠実に映像化したTV未放映のサイレントスカイ編だけはなんとか見られる程度には仕上がっています。
 
 ただ、見終わった後は一話の時点でもうダメと分かり切っている話を延々十二話かけてやはり全然ダメなことを確認しただけという徒労感しか残りません
 

力士シールのデザイン変更に象徴されるユーモアセンスの後退

 
 ゲームオリジナル設定ではなく、本当に現実にも存在する、カオスチャイルドという作品の根幹であり、科学アドベンチャーシリーズお馴染みの虚実を曖昧にさせる働きをする力士シールというキーアイテム。これがアニメ版ではデザインが改悪されておりガッカリでした。
 
 

f:id:chitose0723:20190401121458j:plain

原作ゲーム版の力士シール
 
 この一見マヌケでどこか微笑ましさすら感じさせるシールが、実は恐ろしいものというギャップが魅力だったのに、アニメ版のデザインは最初からおっかないのでギャップが生まれず、科学アドベンチャーシリーズ特有の尖ったユーモアが薄まっています。
 
 力士シール以外も、猟奇事件描写がヘタ過ぎてギャグみたいなのに、逆に原作で豊富にあったコミカルな部分はごっそり削られており、もうあべこべ。
 
 原作のゲーム版はソードアート・オンラインのキリト役でお馴染みの声優の松岡禎丞さんが非常にノリノリなテンションでコミカルな演技を披露し、何カ所か声を出して笑ってしまうくらい魅力的だったのに、アニメ版は主人公が堅物キャラ過ぎてほとんど存在感がありません。
 
 

f:id:chitose0723:20190401121725j:plain

f:id:chitose0723:20190401121743j:plain

f:id:chitose0723:20190401121803j:plain

 

 アニメ版のエロマンガ先生も松岡さんの演技力のおかげで一話で爆笑させられたので、多分ラブコメの主人公を演じさせたら松岡さんは日本でもトップクラスの実力があるのに、妄想狂の主人公に妄想させないというアニメ版のスタンスは宝の持ち腐れで非常に勿体ないです。
 
 松岡さんがいるのであれば、その演技力を信じてホラーとユーモアを半々くらいのバランスにしたほうが見やすかったはずなのに、アニメ版はやたら不機嫌で怒っているようなシーンばかりで全然印象に残りません。
 

最後に

 
 押さえるべき勘所を外しまくり、脚本も無残にぶっ壊れ、尺も足りず、原作とほぼ同じ展開にも関わらず受ける印象が天地ほど異なる原作ゲームの劣化コピーにすらなっていない失敗作。
 
 何一つ面白味がないのに無駄にネタバレするだけなので、絶対に原作ゲームをプレイする前に見てはいけない本当に駄作中の駄作。
 

原作ゲーム版

 

 

CHAOS;CHILD第1巻限定版 [Blu-ray]

CHAOS;CHILD第1巻限定版 [Blu-ray]

 

 

CHAOS;CHILD - PS4

CHAOS;CHILD - PS4